短編2
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霊の世界も弱肉強食

イジメにまつわる怖い話。

結構凄惨なイジメがあった。

で、被害者は2階の階段から一階まで蹴り落とされて

足の骨を折った。

少し騒ぎになったが

被害者Bが泣き寝入りする形で

「遊んでる時の不注意」

って事で決着した。

勿論教師も生徒も皆気付いているが

そんな事を真面目に告発するバカは居ない。

加害者Aは成績優秀スポーツ万能で教師受けも良く

彼が居なければクラスは色々と成り立たないので

皆必要悪だと思っているから。

そんなある日

Aがソフトボール中にスライディング失敗して肩の骨を骨折した。

俺はその時ピッチャーやってたんだけど

変な物を見た。

骨折の痛みに悶えてるAの後ろで、

和服姿のババアが仁王立ちしている不気味な鎧武者に向かって

泣きながら必死で土下座して

何かを訴えている光景が見えたのだ。

え?と思って凝視すると

鎧武者もババアもすうぅと透明になって消えた。

Aは学校を暫く休んでいたが

約1ヵ月で復活した。

すると今度はサッカー中に両足を骨折した。

これは3ヵ月休んだ。

その時も一緒にプレイしていたが例の幻覚が見えた。

ババアと鎧武者だ。

相変わらずババアは鎧武者の足元を掴んで

必死に何かを訴えていた。

だがババアの顔は刀傷でズタズタの血塗れにされていた。

鎧武者の表情は仮面みたいなので隠れてて分からない。

ただただ無感動な感じ。

周囲に確認しても見えているのは俺だけだった。

余りにも骨折が続くので検査を受けたが

異常無しとの事だった。

だが次は又腕、その次は指、次は肋骨。

小学校を卒業するまでに

そいつは合計6ヶ所を骨折した。

話は変わるが

クラスメイトに守護霊が見えると主張する電波女が居た。

そいつ曰く

「もうAには守護霊が居ない」

「Bの守護霊か他の悪霊に殺されるのは時間の問題」

と言うのだ。

ある時

電波女に気があるフリして近づき

幻覚の事を詳しく聞いてみたのだが

Aの守護霊はBの守護霊に斬り刻まれてきにされて殺されたらしい。

最初は他の生徒の守護霊とAの守護霊が

必死にBの守護霊の鎧武者を思い止まらせていたのだが

Aのイジメがエスカレートするにつれて

次第にAの守護霊に加勢する霊は減っていったらしい。

霊と言うのは不滅では無く

強い霊によって弱い霊が潰されるのは珍しい事では無いそうだ。

「Bの守護霊は特に強過ぎて

AとAの守護霊は運が悪かったとしか言えない」

との事。

この時は霊の世界も

結局は弱肉強食って事が分かって何となくホッとした。

ちなみにこの電波女と俺は結婚した。

料理が糞の様にマズいので今は後悔している。

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