短編2
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貯命箱

名古屋の友人から聞いた話です。

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おまいら願いを叶える貯金箱とか信じる?

漫画の話じゃない。

1円玉が寿命1年分。

つまり1円玉100枚入れたら寿命100年分消費してしまう。

その代わり結構無茶な願いも叶えてくれるらしい。

俺はオカルト作家である祖父の金庫から勝手に持ち出したこの貯命箱へ今50円硬貨を入れようとしている。

あくまでも実験だが、もし本当に願いが叶うならばスタイル抜群で性格の相性も最高な絶世の美女の幼馴染みが手に入る筈だ!

頼むぞ!

落とした50円玉がチャリンと音を立てた瞬間・・・可愛らしい声と共にスタタタと階段を掛け上がってくる音が聞こえた!

「もぉー○君!今日は一緒に映画観に行く約束してたじゃーん!もしかして忘れてんの?」

急いで用意していた定規を貯命箱に差し込み50円玉を掬い取ろうとする。

急げ!急げ!

「ねぇ!あれ?鍵開けてよ!何で鍵閉めてんの?怒るよ!」

狂った様にドアを叩く女の子の声はメチャメチャ弩ストライクの声優ボイスだが流石に寿命50年とは釣り合わない。

俺はガタガタと震える手で何とか50円玉を掬い取る事に成功した!

チャリン・・・

ひぃ!

俺は悲鳴を上げた。

机に落ちた50円玉は半分透けていたからだ!

ゴクリ・・・固唾を飲んで観察を続ける。

5分位経っただろうか?

もう50円玉は元通りだ。

その時、ドアの向こうからまたあの可愛らしい声が聞こえる。

「あれ?私・・・何で知らない人の家に居るの?」

恐る恐るドアを開けてみる。

同い年位の絶世の美女がそこに立っていた。

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彼女の話を聞くと2日前からの記憶がゴッソリと抜け落ちているという。

彼女は東京の中学に通っているらしくこの歳で芸能活動をしているインディーズアイドルらしかった。

「疲れてるのかなぁ?これ夢遊病?マジ怖いんですけど・・・あ、今マネージャーさんに迎えに来て貰いますから。何かご迷惑掛けちゃったみたいですいません。ここ何処ですか?」

名古屋です。

「はァ!?」

彼女とは今でもお友達としてのお付き合いは続いています。

50円玉の様子を見ながらあまり親しくなり過ぎない様に注意を払ってね。

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