みなさん、隙間に恐怖を感じた事はありませんか?
クローゼットがちょっと空いてる隙間、カーテンの隙間、ベッドの隙間。扉の隙間。隙間は至る所にあります。
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これは、私が子どもの頃に体験した、隙間に関するお話です。
私の実家の近くには、人形を供養しているお寺があります。
そこには、全国からいわゆるいわくつきと呼ばれる人形が集められ、本堂とよばれる御堂に供養されています。
仲よかった友達の家に遊びに行く途中に、その御堂はありました。
その日も遊ぶ約束をし、その時間に間に合うように早めに家をでました。
その人形が供養されている御堂は道路に面しており、目につきたくなくても、つい気になって見てしまいます。
私は霊感があるため、その御堂を絶対見ないようにしていました。
その日もその御堂近くにさしかかった時、ふと誰かに見られている視線を感じました。
それは、明らかにその御堂からのものです。
見たくない、見たくないと思いながらも、その視線が気になり、つい目を向けてしまいました。
すると、いつもは南京錠がされ閉まっている御堂がその日は何故か、ちょっと隙間があいています。
しかも、視線は明らかにその隙間から、こちらに向けられています。
なんだろ?だってここ、人形だけだよな。
そう思いながらも、私は何故かその御堂に近づいて行きました。
そして、その隙間を恐る恐る覗きこみました。
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shake
誰かと視線が合いました。
わあ!びっくりした私は後ろに尻餅をつきました。
良くみると南京錠が今日は外れているではないですか。
その隙間からは、まだこちらを誰か見ていると言うより、睨みつけています。
怖い。でも気になります。
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なんて考えていると、御堂の扉が少しずつ、少しずつ開いていきます
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shake
ヤバい、なんかヤバい、逃げなきゃ。
しかし、足は動きません。
その間にも隙間は、少しずつ、少しずつ広がっていきます。
ヤバい。身体動け、足動け。
御堂の扉が完全に開きました。すると、そこには、フランス人形や日本人形などありとあらゆる人形がおびただしい数、祀られています。なんだこれ。
まだ、足は動きません。
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shake
すると、中に祀られている一体の日本人形がこちらに向かって動いてきます。
あーこいつだ。さっきの視線は。
私はすぐにわかりました。
そして、早くこの場を去らないと。
日本人形は一歩ずつ、一歩ずつ、こちらに向かっています。
あと一歩で御堂からでるという所で、急に御堂の扉がバタンっと閉まりました。
そして、南京錠がかけられ、お札がはられました。
と、その瞬間身体が動きました。
「君、君、大丈夫かい。たてるかい?」
お寺の住職さんに声をかけられました。
「なにか見たかい?」
私は怖くて声がでませんでした。
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住職曰く、この人形達はあまりにも強大な力のため、全国から精鋭を集めて、お焚き上げをするのを待っているそうです。
これ以来、隙間が怖くてたまりません。
またあの人形と目が合ってしまう気がして。
作者蒼波