中編4
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3話続きです

お久しぶりです。雨が止みませんねぇ。前回はお騒がせして申し訳ありませんでした。

ちょっと落ち着いたので、ほんのり怖い話を3つ持ってきました。

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肩の凝りが一向に治らないということで、母は従兄弟の紹介で、とあるお寺でお払いをしてもらったそうです。

お払い終了後、原因を聞きますと、

隣のデスクにいる女性が、幸せそうに過ごす母を物凄く妬んでいるとのこと。

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毎日仲良く仕事してる仲間だったからこそ

ひぇ~と母は恐ろしく思ったそうですが、加えて

「それよりアンタ、お墓どうにかした方がいいよ」

と住職さんからお叱りを受けました。

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我が家の墓は結構自慢できちゃうほど立派に造られて、

尚且つ周辺を掃除することを欠かしていないため、

その言葉に母は納得がいきませんでした。

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ですから、母は何となく、祖母の生まれ故郷の方のお墓はどうだろうかと気になりまして、

先月従兄弟の人と、祖母方のお墓(先述したのは祖父方のお墓)へ確認がてらお参りしたそうです。

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母は初めて、自分の母親が生まれ育った地へ足を運びました。

墓地は、腰くらいの高さである雑草が生い茂り、梅雨のせいで足元は枯れ葉まみれ。

そして祖母の家族が眠るお墓は、

そこら辺にあるような石をポンと置いたような、お粗末な出来で…。

お供え物も、ましてや近年整備された様子もない祖母家のお墓の状態に、母たちは絶句したそうです。

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実はそのお墓についてですが、

先週の暴風雨でまた酷く荒れてしまったために、納骨した位置が分からなくなってしまい、

数日前私と母とコッソリ祖母家のお墓を見つけ、簡素ながらも建てて帰りました。

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そのせいか、私も母も頭痛が治らずじまいで……。

善意だろうが、お墓というものはあまりいじらない方がいいのかもしれませんね。

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私の友人のAさんから聞いた話です。

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Aさんは、子どもの頃に犬を飼っていました。

その犬は「ショウブ(仮名)」という一見ありそうで無さそうな、人っぽい名前を付けられていまして、

「生まれ変わっても私の家族でありますように」という意味が込められていました。

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ショウブは10年以上元気にしていましたが、Aさんが大学受験での合格発表の時に、結果を見届けるかのように亡くなったそうです。

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さて数年後、Aさんには、お腹の中に新しい命が宿りました。

名前の候補が沢山挙げられる中、どれにするか迷っているところを、ならお寺で子どもの名前を決めてもらおう、

と旦那さんの提案で住職さんに相談することになりました。

住職さんと三人で長く話し合った結果

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「ちょっと変わった名前かもしれませんが、

【ショウブ】という名前は如何でしょうか。」

と、候補にはひとつもなかった名前が出てきたのです。

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Aさんは動揺して、なんでその名前にしたのですかと尋ねると、住職さんは笑いながら

Aさんの後ろの守護霊が頻りにその名前を付けてほしいと懇願していたから、

とのこと。

現在、無事産まれてきた赤ちゃんには、その名前が付いています。

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近所に住む建築士のKさんから聞いた話です。

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鰻の蒲焼きが美味しい土用の丑の日。

土用の期間というのは、土弄りや工事をすると厄に見舞われるという逸話があります。

その原因は妖怪だったり、金神様が絡んでたり、諸説ありますが…。

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Kさんの同業者に、Dさんという男性がいました。

その人は所謂「昭和」という感じの親父さんで、

仕事のペースが遅い新人さんには工具を投げつけたりと、なかなか短気な方だそうです。

しかしDさんは、家族想いの人情深い人でもあったそうです。

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立秋の2週間ほど前のこと。

さっさと仕事を終わらせたいとのことで、Dさんは上司の指示や仲間たちの言葉を振りきって工事を進めてしまったそうです。

土用の期間ではあったものの……

Dさんは特に何も異変は起こらずで、その後彼自身に急病が、という事態もなかったそうです。

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普段から「霊なんざいない!」

と豪語する彼が更に鼻を高くして

「それみたことか!」

と周囲を嘲るために、Kさんはいつか絶対バチが当たるぞ、と警戒していました。

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その3年後、Dさんの息子さん夫婦に孫が産まれました。

ところがその子どもは、奇形児でありまして、

片方の膝から下がまるっと無かったそうです。

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更にその半年後、今度は娘さん夫婦に孫が2人も生まれたのですが、

これがまた奇妙なことに、

一人は足の指、

一人は腕が肩から無かったらしく…。

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Dさんは、ちょっと見てくれは変でも可愛いところがあると話していましたが、

日に日に仕事上で家族の話をすることが無くなり、

その後しばらく有り得ないようなミスをする事が多くなり、

とうとう仕事を辞めてしまったそうです。

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Kさんは、

「忠告無視して土掘ったんやけ、代わりに子どもらが手足を持っていかれたんよ」

と、煙草をふかしながら話していました。

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