鬼顔

知人から聞いた話です。

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その日私は失恋した。

3年付き合った彼氏に3股掛けられたのだ。

悲しくて公園のベンチで朝から夜になるまで泣き腫らした。

それでも悲しみは収まらず怒りは絶頂に達していた。

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公園の花壇に目が向かう。

何本か紫蘇らしきものが生えていたが花は何も植えられていない。

正直怒りをぶつけられるなら何でも良かった。

気が付くと私は花壇に生えていた紫蘇の葉を根こそぎに引き抜いていた。

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家に帰って洗面台で顔を洗ったが鏡を見て悲鳴を上げた。

本当に鬼の様な酷い顔をしている。

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それから一週間は経っただろうか？

その公園を通った時にあの時の花壇が見えた。

紫蘇は枯れてはいなかった。

逞しく抜かれた地面へ根を再び張っていた。

しかし・・・

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その葉には苦痛に歪む人間の顔が浮かび上がっていた。

それは紛れもなくあの時の泣き腫らした私の顔だった。

「みてみてー！この葉っぱの模様なんか鬼みたーい！」

「ほんとだー！」

無邪気な子供の声が公園中に響いていた。