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中編4
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水蜘蛛の糸

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皆さんは、

昔話の

『水蜘蛛の糸』と言う話を、

ご存知だろうか?

多分、柳田国男氏の、作品だった気がする。

知らない方の為に、

ざっと、あらすじを話させてもらう。

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『ある、釣りの名人がいた。

いつものように、池で魚を釣っていた。

すると、

池から、水グモが現れて、

男の、右のわらじに、糸をかけた。

男は、気にせずに釣りをしていたが、

その水グモは、

男が、魚を釣る度に、

何度も、何度も、

男のわらじに、糸をかける。

とうとう、糸は、

ロウソクくらいの太さになり、

さすがに、

気味悪くなった男は、

その糸の束を、わらじから抜き、

隣にあった、大木の根にかけた。

その、

数分後だろうか、

大木が "ミシミシッ " と、

音を立てた。

大木が、" ズズズーッ " と、

動き始める。

そして、

そのクモの糸は、

その大木を、根こそぎ倒してしまうと、

とうとう、

池に引きずり込んでしまった。

男は、

" あの時に、

わらじから、糸を外さなかったら、

俺が、あの木のように、

池に引きずり込まれていたのか、"

と、恐怖に震えたと、言う。』

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そんな感じの内容だったように、思う。

( 諸説あるとは、思いますが )

しかし、これは、

『水グモの糸』

の話だけには、限らないのかも、知れない。

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とある、人間がいた。

ごく普通の、人間。

性別 : 男性

年齢 : 25歳3ヶ月11日 現在

血液型 : A型

星座 : 牡牛座

身長 : 174.2cm

体重 : 66.6kg

職業 : IT系企業 サラリーマン

趣味 : 映画鑑賞 · ネットサーフィン

彼女いない歴 : 3ヶ月

好きなタイプ : 新垣結衣

友人 : 多い

性格 : 温厚 逆ギレ型

そんな、

ごく普通の人間の彼を、仮にMとしよう。

ある朝、

Mは、会社に遅刻しそうになっていた。

( 昨日、夜更かししたからなぁ、、)

今更、後悔しているようだ。

しかし、

会社を目の間にし、

こんな時に限って、横断歩道の信号は『赤』。

( あー!もうっ!!

今日は、朝イチで、重要な会議があるのにっ、

クソっ、やべぇな、、、)

そう、苛立ちながらも、

信号の色に敏感になりつつも、

ある中年男性に、目が行った。

どうやら、

彼も、サラリーマンらしく、

かなり、焦っているみたいだ。

一刻も早く、横断歩道を渡りたそうだ。

( あの、おっさんも、寝坊したんかな?

プププッ、、

オレと同じようなヤツ、多いんだな、)

と、内心、バカにして笑いながらも、

しかし、

Mは、気付いてしまったようだ。

その男性の右足に、

小さな男の子が、抱きついている事に。

( 、、、えっ?、、何だ、、?)

しかし、周りは、気付いて無いみたい。

すると、

その男性は、焦りながら、

隣にいた、OLの若い女性の左足に、

自分の右足を、近づける。

おっさんが、足を動かす度に、

男の子の腕は、

あたかも輪ゴムかのように、

足に巻きついて行く。

それからは、2、3秒の出来事だった。

その女性は、

まだ『青』にはなっていない横断歩道へ、

飛び出した。

車に轢かれた。

右から来る車、左から来る車、

何台にも、何台にも、

轢かれた。

車、トラック、車、車、車、バイク、、、。

Mは、恐ろしかったようだ。

その光景が、では無い。

最初は、中年男性の右足に、

抱きついていた男の子が、

いつの間にやら、

女性の左足へと、抱き移っていて、

車が行き交う道路へと、

引っ張って行った姿が、見えてしまったから。

Mは思う。

( 、、あの、おっさん、

何かしら、感じたんかな、、、

もしかして、

自分の右足に、抱きついている男の子が、

オレと同じく、見えてた、、とか?

それで、焦って、

自分の左足から、あの女の右足に、

男の子を、引っかけた、とか?

、、、あ、、

そう言えば、、オレが小さい頃に、

昔話で聞い事あるな、、、

『水グモの糸』って、言う話。

何で、思い出したんだろ?

確か、、、

自分の、わらじ?に、かけられたクモの糸を、

隣の木の根にかけたから、

そいつは助かった、とか、

何か、そんな感じだったっけ、、、。

それと、同じみたいに、

あのおっさんも、気味悪く思って、

あの女の右足に、男の子を引っかけた、、

とか?

いやいや、有り得んだろ?

バカか、オレは。

そんな事、考えるなんて、

疲れてんだろな、きっと、、、)

しかし、

その騒ぎのおかげで、

Mの遅刻は、お咎めなしだったようで、

Mにとっては、

かなり有難い出来事となった。

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それからも、

Mが、遅刻しそうになる度に、

決まって、その横断歩道が『赤』の度に、

あの男の子が、右足に抱きついている人間を、

見るようだ。

そんな時は、必ず事故が起こる。

Mは、思う。

( あーぁー、またかぁ、、、。

まぁ、オレとしてみたら?

遅刻しそうになっても

怒られないから、良いけど。

でも、オレは絶対に、

木の根には、ならないけどね 笑。)

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