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短編2
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日常怪談「冷蔵庫」

ある夜、俺は友人の家で宅飲みをしていた。

彼とは大学からの付き合いであった。

しかし社会人になってからはしばらく連絡をとっていなかったこともあり、この日はビール缶を片手に募る話に花を咲かせ、夜中まで盛り上がっていた。

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「ところで、そっちは最近忙しそうだな」

「まあな、プライベートでもちょっと手を焼いてて」

彼の部屋は忙しいというわりに随分と綺麗にしてあった。それとは大違いの自分の汚部屋を思い出して、俺は少し恥ずかしい気持ちになった。

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「お前は昔から几帳面だったもんな。サッカー部の部室があんなに綺麗だったのも、マネージャーじゃなくてお前のおかげだってみんな感謝してたよ」

「あんな汚い部屋の掃除で、マネージャーの手を汚すわけにはいかなかったからな」

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そうして昔の話で笑い合った時、突然部屋の電気がふっと消えた。

「停電か」

俺が呟くと、そうみたいだな、と彼は言って、スマホのライトを点灯した。

「とりあえず、ブレーカー見に行くか」

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二人で廊下に出てブレーカーを触ってみたが、やはり停電のようで、電気はつかなかった。

「そういえば、お前まだマネージャーと続いてんの?」

俺は真っ暗な雰囲気を変えたくて、彼の恋愛事情について聞いてみた。

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「いや、もう手を切ったよ」

あの手の女はもう懲り懲りだ。彼の言葉に、もしかしたら彼は大学時代から彼女の尻に敷かれていたのかもしれないと思った。

彼が部室の掃除をしていたのも、強気な彼女の指示に逆らえなかったからなのか。

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そう思うと笑えてきて、俺は元気出せよと彼の肩を叩いた。

「そうだな、もう一本飲もうか」

彼はそう言って冷蔵庫を開けた。

そして追加のビール缶を探すために、真っ暗になった冷蔵庫の中をライトで照らした。

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彼はビール缶を2本取り出すと、すぐに冷蔵庫を閉めた。

しかし俺は、冷蔵庫の中にありえないものを見てしまっていた。

「なあ…」

俺が話しかけようとした時、わずかな光の中で彼が振り向いたのがわかった。そして、

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「お前ももう一本飲むだろ?」

と無邪気に言った。

「いや、そうじゃなくて」

「ああ、停電で冷蔵庫の中身がダメになるかって?大丈夫だよ、全部ちゃんと処理してあるから」

俺は脂汗がとまらなかった。

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俺はこの時だけでなく、これまでの彼の発言のすべてがおかしなことに気づいた。

「いや、そうでもなくて」

そして、俺は意を決して言った。

「さっき冷蔵庫の中に、人間の手首が…」

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その時停電が復旧したのか、消えた時と同様、突然に電気がついた。

ビール缶を持っていたはずの彼の手には、いつのまにか包丁が握られていた。

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