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中編4
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ワイヤレスイヤホン

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うーん、、、

今から、1年半くらい前の事。

私の体験談です。

実話ですが、多少、脚色あります。

私が今も、

ワイヤレスイヤホンを愛用しているので、

ちょっと怖くて、

中々、書けなかった話なのですが、

何故だか、急に、『書こう』と、思いまして。

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( 買っちゃうおうかなぁー、、、

何か、楽ちんそうやし、

何か、カッコイイし。

まぁ、実際の所?

正直言って、あんまり必要ないんやけどねぇ、

でも、まぁ、良いじゃない、自分よ、、

よしっ!

決めた、買おう!!)

そんな心の声から、察するに、

ワイヤレスイヤホンの購入を決意した。

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私は、即行動派なので、

すぐに、ネットで購入する。

( 最初やしなぁ、

とりあえずは、お試しで、安さ重視するかー)

届くのは2日後。

ワクワクする。

楽しみがあると、

何だか、周りにも優しくなれるものだ。

家でも職場でも、かなり良い人に豹変。

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2日後、

郵便受けに入っていた、封筒。

さっそく開ける。

機械音痴の私だが、何とかペアリングして、

ドキドキしながら、音楽を聴いてみた。

(おぉー!聴こえるわー!!)

うん、当たり前。

そうして、次の日、

かなりのウキウキモードで、仕事に向かう。

早速、ワイヤレスイヤホンを装着する。

「フン、フン、フ〜ン、、、」

そうして、毎日、

私は、そんな私に浸っていた。

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それから、1ヶ月経った頃だろうか。

人混みの中を、

すり抜けるように歩いていた時に、

事件は発生した。

( 、、、あっ?

左耳が無い、、、?落としたんけ?)

急いで探そうにも、

沢山の人の群れには、立ち向かえない。

( くそぅ、

私め、しくじったな、、

とりあえず、電源が切れるまで、

右耳だけでも良いから、聴くか、、)

しょんぼりしながら歩く。

右耳しか無いから。

その内に、

右耳から、ノイズが入って来た。

そうして音楽も、途切れ途切れに。

( おぃっ!!

誰か、左耳、踏んだんかい!?

左耳無しでは、

右耳も、生きては行けんのや、、

こっちは、別れを惜しんどる最中やぞ!?)

私は、

ギリギリまで粘った。

右耳からは、

『‥‥‥あ、くて、、‥‥‥さ、でし‥‥』

と言う、頑張ってる音楽と、

「ザザッ、ザザーッ」

と、時折、聴こえるノイズ音。

しかし、それも頻繁になって来た。

音楽も、10秒に、1、2秒くらいしか、

聴こえなくなって来た。

( あー、、、

いよいよ、さよならの時が訪れたんやな、)

そう思い、

右耳から、イヤホンを、

外そうとした瞬間の、出来事だった。

( 、、、うん?

音楽、まだ鳴っとる、、?)

右耳から、声が聞こえたからだ。

(あれ? 一時、復活した、、んか?)

私は、右耳から聴こえる音楽を、聴いた。

まだ、

ノイズ混じりではあるが、

かろうじて、人間の声も聴こえる。

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暫く後に、私は気付いた。

これは音楽じゃあ無い、誰かの話し声だ。

( ワイヤレスイヤホンって、こんな機能もあんの?

あ、でも、

電話も出来るみたいやしな、

誰か、他の人の通話を、

拾ってしまったんかな、、)

私は、その話し声に、右耳を傾ける。

そうして、、、

私はそっと、右耳を捨てた。

( ほんなら、

次は、もっと、マシなの買うかぁー )

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で、

今のワイヤレスイヤホンは、3代目だ。

2代目は、私の不注意で残念な結果になった。

ただ、

2代目を購入する際に、

私には、かなりの躊躇いがあった。

1代目のせいだ。

あの時に、私が、左耳を無くし、

そうして、

右耳から、聴こえてきた話し声。

『…ねね…ねねね………ねええええ…え…ひひだだだ…りりり……りり、りっみみみ、ななっ………ないいと…ふ、べべんっで…でででし…よよよ………よよよっよよおお……おお…おお、し………よよよよよ…よよよう……ううう…うううう……うう…』

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後日談だが、私は、

そのネット通販の、” 購入履歴 ”を見てみた。

商品の説明を、じっくり読む。

値段の安さにばかり気を取られ、

私は、肝心な所を見てなかったみたいだ。

『中古品-ほぼ新品』

私は、

古着とかも好きだし、気にせず買うけれど、

イヤホンに関して言えば、

正直、気持ち悪かった。

誰かの耳に刺さっていた、イヤホン。

指輪などのアクセサリーと同様には、

考えられなかった。

もし、私が焦らずに、

じっくりと、ネットの商品説明を読み、

そうして、そこに、

『中古』

と、分かっていたら、絶対に買わなかっただろう。

あの日、両耳を無くした日、

家に帰ると、充電器だけが寂しそうに居たので、

速攻、踏みつけて捨てた。

充電されても困るし。

そうして、未だに、

あの声の主、原因すら、分からないままだ。

既に、両耳を無くしてしまったから。

出品者に連絡しても、

何の解決にもならない事も分かっていたし。

まぁ、今の3代目は、信用出来るけど。

右耳も、左耳も、無くては困るよね。

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