中編5
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よくある話

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この話は、

私が、中学時代の時の話です。

ほぼ実話ですが、

記憶が曖昧な所もありますので、

多少、脚色があります。

以前、ある方に、勧められて、

投稿する事にしました。

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中学3年生の私は、

引退前の最後の大会で、名古屋に遠征に

来ていた。

1泊して、次の日が大会。

バスで、名古屋に到着する。

何故だか、宿泊場所はビジネスホテル。

ツインの部屋。

私は、1番仲の良い友達Yと、同じ部屋にした。

暫くして、

「他の部屋に、遊びに行こっさ!」

って、事になり、

私達は、

廊下の1番突き当たりの、

右側にある部屋に泊まる事になっていた、

友達の部屋に向かった。

入口のドアが開いている。

私とYは、

「ねー!

そっちの部屋って、どんなんやー?」

と、話し掛けながら、近づいて行った。

すぐに、気付いた。

その部屋に泊まる、友達2人、

入口に突っ立っている。荷物も持ったまま。

、、、、、、?

「どしてん?」

2人は、黙ったままだ。

「何で、中に入らんの?」

Yも、不思議そうに聞く。

暫くして、2人は言った。

「、、中に、部屋ん中に、

入りたく無いげん、、、入れんげん、、」

私は、

「え?何でやー?

ほら、入ろっさ!で、何かして遊ぼー?」

私は、部屋に入ろうとして、躊躇した。

一瞬、ゾクッとした。

( 何や? これ、、、)

足が進まない。

でも、私が怖がると、

みんなが、余計に不安になると思い、

私は、部屋に入った。

「Kちゃん、大丈夫!?」

私は、返事をせずに、

いや、出来ずに、部屋を見回した。

( 、、何が? 何のせいでや、、、?)

とにかく、

みんなを不安にさせないように、

「えー? 別に大丈夫やよー?

私がおるんやし、みんなも入ってみぃ?」

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暫くして、他の3人が、部屋に入って来た。

「ほら?大丈夫やろ?」

私の嘘は、どこまで吐き通せるのか、

かなり焦った。

すると、

その中の1人が、ボソッと言う。

「何か、この部屋、変じゃないけ、、?

怖いんやけど、、、」

すると、誰かが返事した。

「こんなビジネスホテルって、

前に、事件とか、、自殺とか、、?

そんなのがあった部屋に、

お札が貼ってあるって、聞かんけ、、?」

みんな、一瞬、止まる。

空気まで、一瞬、止まる。

「やめてま、そんな話すんの。怖いわ、、」

誰かが、言った。

そうして、変な雰囲気が漂う。

誰かが、ボソッと言う。

「、、ねぇ、探してみんけ、、、?」

「えーっ!!イヤやわ、そんなんっ!!」

周りは、一斉に反対する。

「、、でも、

確かめてみたい気もせんけ、、?」

私の、その一言をきっかけに、

みんなは、部屋中を探し始めた。

在って欲しいような、無くて安心したいような。

でも、

在った事によって、

この部屋の、異様な雰囲気の、

理由付けにしたかったのかも知れない。

原因不明って、気持ち悪い。

ベッドの下や、クローゼットの中、洗面所、、

それぞれが、

それぞれ、探した。

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「やっぱ、そんなの無いんじゃない?」

と、誰かが言った、

その時に、私の目に付いた物。

それは、

ベッドの頭の上の、壁に掛けられている

小さな額縁だった。

中に飾られる絵は、変な風景画だった。

何か、ぼやけてる感じの絵だった。

何故だか、誰も、それに注目してなかった。

お札が貼ってある可能性が、

1番高い、アイテムなのに、、。

私は、冗談ぽく、

「ねぇ、ねぇ、

こういう絵の裏とかって、ヤバそうじゃないけ?

よく、怖い話とかでも、聞かん?」

そう言って、

軽い感じで、その場のノリで、

その、小さな額縁を裏返した。

とにかく、みんなを安心させたかった。

、、、、、、、、、、、、

、、、、、、、、。

みんな、黙った。

暫く、沈黙が続いた。

しかし、

みんなの目は、それを、凝視していた。

私はそっと、絵を表に戻す。

そうして、

「先生に言って、

私らの部屋で、4人で寝よっさ、」

と、言った。

先生は、言う。

「じゃあ、4人で寝なさい。」

その、あっさりとした、まるで日常会話のような、

そんな先生の返事が、私達にしてみたら、

逆に怖かった。

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次の日、

無事に大会を終え、私達は優秀な成績を収めた。

中学生くらいの年頃なら、

周りの友達にも、

面白半分で、この出来事を話すんだろうが、

私達に至っては、その話を2度としなかった。

確かに、

『ビジネスホテル』に『お札』。

切っても切れない縁と言うか、

当たり前に存在する事なんだろうが、

中学生の私達には、

あまりにも衝撃的だったんだろう。

所詮、

テレビの世界の話だと、思っていたから。

あくまで、非現実的な。

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今回の話は、

この話を読んでる方にしてみれば、

途中で結末が、想像できたかも知れない。

いや、できただろう。

しかし、

いざ、その光景を目の当たりにすると、

ただ、単に、怖い。

そうして、

お札の存在も、何も知らないのに、

中学生の私達が、4人とも、

その部屋には、誰も入りたがらなかった事も。

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それ以来、

私は、ホテルや旅館に泊まる時、

必ず最初に、部屋中を隈無く点検する。

あの時に見た、

額縁いっぱいに、ビッシリと貼られていた、

何十枚もの、赤いお札。

1番近くで見た、

私だけが、知っている。

まるで、

障子紙の破れた所を、塞ぐかのように、

破れたお札の上に、

更に、お札が貼り付けられていて、

しかし、

それが、また破れて、

更に、その上に貼り付けられている、お札。

そんな風に、

繰り返し、繰り返し、貼られているお札。

たぶん、厚さは、

5ミリくらいにはなってたように思う。

そうして、

1番上には、

真新しいお札が、3枚貼られていた。

その内、2枚は、すでに破れかけていた。

私は、

その光景を、今でも忘れられない。

今後も、忘れられないだろう。

随分と、ありきたりな話なんだろうが、

実際に体験すると、

中々、怖いものなんだなと、今でも思う。

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