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「夢で逢えたら」 (ノラ酔っぱらい編)

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「夢で逢えたら」 (ノラ酔っぱらい編)

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      「夢で逢えたら」

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久しぶりにSに会った。

開口1番、お前太ったなぁ〜(笑)

確かにノラは、ここ3年で横に余計に伸びている。

まだ、お昼を少し過ぎた時間だ。

呑むには少し早い。

ノラ

「どうする?早いけど呑んじゃうか?」

「あ、行きたい所有るのからソコに行かないか?」

ノラ

「ドコ?」

「オレの実家の近くなんだけど、何かヤナ感じがする所有るのよ、お前まだ現役みたいだしさぁ、追っ払ってみてよ」

ノラ (オレはお祓い屋かよ!!)

「オレは何もしないよ?」

「大丈夫ノラじゃ無くて、お前の中の人に期待してる」

ノラ

「何か、面白く無いんだけど」

「成功したら、おごりで良いよ!」

ノラ

「マジで?言うたな? OK行こう!!」

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Sの車で10分も掛からない。

袋小路の狭い道。

周りの家は、人が住んで無いハズだけど人の気配がする。

変な感じだ。

Sは、車から降りて来ない。

ノラ

「お前は、行かんの!?」

「オレ、無理。 気持ち悪いから、すまんけど、右手側の塀から手で、なぞって袋小路回って来てみて」

ノラ

「そんだけ?」

「それで良いから、、、」

言う通りに、右手側の壁から右手でなぞりながら、袋小路の壁をなぞり続けた。

戻って来たノラは、Sにどうなったか聞いた。

「思っていたより、お前の中の人動かないなぁ、、、何でかな?」

ノラ

「知らんょ」

「夜に、もう1回だけ試そうか」

ノラ

「夜? 夜まで何すんだょ〜、呑まないならマジで帰りた〜い」

「そう?んじゃぁ飲み行く?」

ノラ

「行きますッ!!」

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昼から呑む酒は美味い!

ツマミも刺し身に、串焼き、カルビ、最高に美味い。

Sの恋話、ノラの畑の話し、楽しい時間は早く過ぎて行った。

気がつくと夜中の12時過ぎていた。

ノラはベロンベロン。

Sは、酒をセーブしながら飲んでた。

器用な奴だ。

「さあ、仕切り直して行きますか!?」

ノラ

「どこに?」

「もちろん、昼間の所だよ」

ノラ

「面倒くさいから、また明日」

「んじゃぁ、金払えよ?」

ノラ

(、、、、、払いたくない)

「よし、行くかぁ!!」

ノラは完全に酔っぱらいのオッサンになってた。

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タクシーで、昼間の袋小路に来た。

ノラは、Sに起こされフラフラと昼間と同じ様に右から壁を撫でながら回る。

外灯が、点いたり消えたり、鬱陶しい。

袋小路の奥に、黒く塗られたサッカーボールが落ちていた。

蹴ろうとした瞬間

「バッチンッッ!!」

外灯が、切れた。

月明かりでボールを探しても、見当たらない。

酔っていたせいか身体が重い。

段々と腹が立って来た。

何で、こんな事を今しているのか?

むしゃくしゃしてたノラは叫ぶ。

「ああッ、良い気分が台無し!!」

もう、面倒くさい、、、、

ベロンベロンなノラは、フラフラ走り出す。

また、黒いサッカーボールが有った。

何度も何度も、憂さ晴らしに、蹴りながら袋小路から出た。

Sが、タクシーから降りてきて、

「お疲れさんッ」とビール缶をくれた。

「おお、サンキュー!!あんがとさん」

Sと一服しながらどうなったか聞いた。

「この袋小路は、もう霊は入れないね〜」

「お前の中の人は、本当は人の中にいる人じゃ無い感じがする」

酔っぱらいのノラは、頭が全く回らない、意味が分からない説明だった

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後日、改めてSから説明して貰った。

いつからかあの袋小路は、霊の溜まり場に、なっていた。

県外から3年ぶりに帰ってきたら、通るのを辞めた位に動物の腐ってる異臭、もう人の形を辞めた黒い塊が、昼夜問わず出る様になっていたらしい。

いわく付きの場所でも無い。

ノラは、何で?と聞いた。

S曰く

「流れて、辿り着いただけだと思う」

ノラ

「んで、どうなった?」

「あぁ、黒い奴も全部キレイに消えてる。

お前が、蹴ってた黒いボールってのは、人の頭だ、知らなかっただろ?」

ノラ

「オレ、幽霊見たんか?」

「見えて無い、感じただけだよ。

見えてたら、グチャグチャに潰れて泣き叫ぶグロい頭なんて蹴れないから」

ノラ

「、、、、、、声なんて聞こえなかった」

「だろうね、あんな悲惨な消し方は、初めて見たよ、後ノラの中の人はハンパないなぁ、マジで神様クラスだな」

ノラ

「何の神様よ?」

「神様か、崇拝されてる人か、分からないけど、袋小路に入ってから気配は少し有るけど存在感が全く掴めない。

ヤッパリ普通の感じゃないんだよなぁ」

ノラ

「ん〜、それってヤバイ?」

「どうかな、聞いた事も無いし、ユタでもミエナイし、全く分から無いよ」

ノラ

「まぁ、分からんもんは、分からん、しょうが無い」

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Sは笑いながら、

「ありがとう」って言った。

ノラ

「何で?」

「ウチの猫も、あの袋小路に居たんだ」

ノラ

「高校の時のフワフワの白い猫?」

「うん、逃げた猫」

ノラ

「もう20年も前だろ?死んでどんくらいだよ?」

「死んだのは、いつかは分からんけど、夢に出てくるのよ、その場所があの袋小路」

ノラ

「猫は、どうなった?」

「昨日の夢で、遊んでたから成仏したか、まだ何処かに遊びに行ったかな」

ノラ

「そうか、猫の為だったんか」

「ん、それも有るけど、あの袋小路は溜まりすぎてたから」

ノラ

「ふ〜ん、そうか」

まあ、無事に終わり、タダ酒も呑めた。

良しとしょう。

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ノラの中に入ってる人は、誰だろう?

とぉ〜い先祖のユタか?

神様は、無いだろぅし。

ノラが、死んだ時には分かるかなぁ。

一度、話してみたいもんだ。

             

            ノラより  完

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