短編2
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昔の家

僕の曾お婆さんの家が少し変だった話をします。

長くは無いので見てくださると嬉しいです。

これは僕が小学3年の時の話です。

うちの曾お婆さん、もう93歳になる人なんですが曾お祖父さんは早くに亡くなり1人で一軒家に住んでいました。と言っても長男夫婦が独り身の曾お婆さんの面倒を見るため一軒家に増築して2世帯住宅のようにしていた為多少広々とはしていました。

正月になると曾お婆さんの家に親族が集まり新年会をするのが毎年の恒例だったのですが、例に漏れずその年も向かいました。

といっても小学生が大人が呑んで話をする空間に居座るはずもなく普段は足を運ばない曾お婆さんの家を探検していました。

とはいえ一軒家と言っても古めの家ですし、そもそも探検する程は広くありません。1階2階あろうとも直ぐに見終わって、さあどうしようかと思い皆がいる居間に向かっていると階段の下に扉があったんです。

ん?こんなとこに扉なんてあったっけ?と思いながら近づいてドアノブを回してみる。

カチャリとノブが周り開きました。

おー!こんなの見た事ない!今まで探検してたのに見落としてた!と喜んで扉を全開にします。そこは上に向かう階段でした。

そう。まずここがおかしいんです。だって階段の下に扉があったんで開けたら上に行く階段があった。この階段はなんなんだ?イメージで言うとトトロの2階に上がる階段のような広さと急さでした。

小学生の僕はそんな事気づく訳もなく1段目に足をかけてさあ上るぞ!と次の足を踏み出そうとしました。が、その時上から『ギィィィィィ』という重めの木の扉が開く音がしました。その音が形容しがたいんですがとにかく怖いんです。得体の知れない恐怖を感じて急いでドアを出て閉めて居間に飛び込みました。

その後は母親に泣きつきながら説明です。

階段の下に階段があったとわけも分からず話しました。

当然家の勝手知ったる親族はみな夢でも見たんだろと笑い相手にされませんでした。

嘘じゃない!と主張はしたのですが、ほら見て!と手を引いて連れていくもそもそも扉がなくなっていました。

あの時は本当に訳分からず大声で泣きました。

うちの曾お婆さんの家は少し変です。

僕以外にも親戚の子供には見えるようでそれから10年経ちましたが何年かに1度似たような事件が起きています。

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単に記憶の混乱では?

そういえば、たしか冬目景の漫画で、建築物の記憶を辿る不思議話の作品シリーズがあったはず。

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