短編2
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ぢんにくあぢ

 東京の友人Bから聞いた話です。

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自分には奇妙な記憶がある。

小さい頃、近所にゴンタンというかわいい子犬が居てよく餌をあげていた。

こういうのはよくある他愛の無い記憶だろう・・・

しかし自分の記憶はかなりおかしなものだ。

ゴンタンという変な名前がどうのという話ではない。

まずゴンタンは喋った。

「おはよう」とか「おなかへった」みたいな簡単な挨拶位は朝飯前だった。

自分はハンバーガーの肉をよく与えていた。

ゴンタンのお気に入りの餌だったからだ。

ある日、小学校帰りにゴンタンを見付けた。

公園のベンチの上に座っている。

話し掛け様とするとゴンタンが変な事を言ったのだ。

「もうはんばあがあはいらない」

何で?と聞き返すと

「もっとおいしいはんばあがあみつけた」

とゴンタンは振り返り様に言った。

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振り返ったゴンタンの黒い瞳は点の様に小さくなり白目には血管がくっきりと血走っていた。

その時のゴンタンの瞳を思い出すと今でも気持ち悪さが込み上げて来る。

ゴンタンの口元は赤黒く染まっていた。

「はんばあがあとおなじあじがするものみつけた」

「みんなははんばあがあだったんだね」

「これからはみんなをたべることにする」

「みんなをたべてぼくもみんなになるんだ!」

気が付くとゴンタンは消えていた。

翌日、近所でホームレス男性の惨殺死体が発見されたと報道された。

気持ち悪い記憶だ。

子供の創造力は豊かと言うが・・・

そんな風にずっと考えていたがその数年後、ハンバーガーから人間の歯の一部が発見されたというニュースを朝食後に観て激しく嘔吐する事になる。

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