ヤマモンの長窩

　そう言えばこれも一応、封印作品に当たるのかな？

創作臭いけど結構印象に残っている話です。

確か2ch時代にどこかのスレッドで蒐集した話です。

元のコピペは間違って消してしまったので特定出来なかったです。

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これ中学生の頃にアニメの日本昔ばなしで観た話なんだけど、色々とおかしいんです。

大人になった後でいくら調べて見てもこれと同じ話がどこにも見つからない。

同エピソードが放送禁止になって欠番になったという話も特に聞かない。

気味が悪いので今まで人に話したりしなかったのですが。

確か「ヤマモンの長窩」というタイトルでした。

こういう話です。

記憶から再現したものなので細部は間違ってるかも知れません。

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『むかーし、むかし。

ヤマモン村の長窩(ながあな)と呼ばれる大穴がメギ島(女木島？)にあったんやと。

ある日の朝早く島のお社の恵比寿様が真っ赤に燃え上がる凶事が起こった。

メギ島のもんは信心深くこりゃー天変地異の前触れじゃろかと恐ろしうなり一目散にメギ島から逃げ仰せてしもうた。

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実は、とほーもねー事に大穴は延々、外(とつ)国にまで通じておっての、この時カラ(唐？韓？)国まで逃げ延びておった鬼ヶ島の鬼共が今こそ桃太郎の弔い合戦じゃとばかりに丁度大穴を通じて大軍で押し寄せて来よった所だったんじゃと。

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しかし間抜けな事にヤマモン一の不信心者であるタゴ作一人だけは凶事を気にも留めず黄昏時までずーっと眠り続けておったからとうとう逃げ遅れて鬼に捕まってしもうた。

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大穴に運ばれ食われるすんでの所でタゴ作は逃げおおせたが大穴の中で迷ってしまう。

タゴ作はある時はカラ国に、ある時は南蛮に、ある時は竜宮城に、ある時はオロシャに、ある時は雁道に、ある時は黄泉の国に、ある時は仏国土天竺の祇園精舎に、ある時はまた鬼ヶ島に迷い出てまたまた鬼共に追い回されるが肝心の日ノ本にはとうとう戻れず終いじゃった。

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タゴ作は途方に暮れておると遠くからチャンチキチャンチキシャンシャンシャンと鬼だの天狗だのの囃子が聞こえて来よる。

このままじゃ鬼に追い付かれるとタゴ作は恐ろしゅうなっての。

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おんぎゃくぎゃくえんのうばそくあらんきゃそわか！

おんぎゃくぎゃくえんのうばそくあらんきゃそわか！

と役行者様の真言を唱えながら大穴を闇雲に走り回った。

さて、どれだけ走ったろうか？

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とうとうタゴ作はうりゅうの島(瓜生島？)の大穴に飛び出る事が出来た。

久方ぶりの日ノ本で息つく暇も無くうりゅうの島のお社でも恵比寿様が真っ赤に燃え上がっとる。

こりゃー天変地異の前触れじゃあ！

おんぎゃくぎゃくえんのうばそくあらんきゃそわか！

とタゴ作が唱えると島民はタゴ作に恐れおののき大太鼓を作った。

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島民が一人残らず太鼓に飛び乗りドンドコドンドコ太鼓を叩くと大津波がうりゅうの島を襲いとうとう沈んでしもうた。

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島民はヤク島(屋久島？)に流れ着き九死に一生を得た。

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しかしタゴ作だけはまたも逃げ遅れて大穴の中に逃げ込んだんやと。

だから今でも大穴の中をタゴ作は鬼に追い回されながら走り回っとるのでヤマモンの長窩からは

おんぎゃくぎゃくえんのうばそくあらんきゃそわか！おんぎゃくぎゃくえんのうばそくあらんきゃそわか！と聞こえるんやと。

どっとはらい。』