短編1
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10分前の夫

昨日友人から聞いた話です。

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昨日の節分の日でした。

夫が仕事から帰って来た時の事です。

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「ただいまー開けてくれ!」

インターホンの画面越しに夫の姿を確認したのですが少し違和感を感じました。

何と言うかいつもの夫じゃない様な。

よく見るとカバンも持っていないし。

酔っ払ってどこかに投げ捨ててしまったのだろうか?

そう考えているとふいに夫が拳を振り上げました。

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「おーい!なぜ開けない・・・どうしてわかったんだ?もういい死んでもらうから。」

そう言った夫の手には包丁が握られていました。

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無表情のままインターホン画面に向かってに包丁をやたらめったら振り下ろす姿は狂気そのものです。

私が腰が抜けて呆然とその様子を眺めていた時に3才になる息子がリビングからトコトコとやって来て「おにわーそと!」と言って画面に向かって豆を撒きました。

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すると夫は牙を剥き出しにしてどこかに走り去っていきました。

10分後に本物の夫が帰宅しましたがインターホンがズタズタにされている事に驚いていました。

あの10分前の夫は一体何者だったのでしょう?

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鬼だね、鬼!
誕生日だったのさ!

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