短編2
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Kの夢

これ、俺の大学時代の後輩の話なんですけどね。

そいつ本名は出せないんで、仮に「K」としますね。

そのKなんですけど、昔から妙な習慣がありまして。

夕飯で肉類を一切食わないんですよ。

部活の帰りとか、みんなで飲んだりするじゃないですか。

そんなときもそいつずっときゅうりの浅漬けやら野菜類をつまんでるんです。

でも別にそいつ、仏教徒とかベジタリアンってわけじゃないんです。朝や昼は普通に牛丼やビーフカレーとか食べてましたから。

まあ、そんなKなんですけど、たまたま先週飲む機会があったんです。

で、話の流れで、夕食に肉類を食わない理由を聞いてみたんですよ。

そしたらKが急に深刻な顔になってね。

「先輩、自分のその習慣のわけを教えるかわりに、それに関わる変な話を聞いてもらえません?」

って言うんです。

なんか怖くなりましたけど、まあ良いよって答えたらKが話してくれましてね

信じがたい話なんですけど、

Kって夕飯で食べたものが、生きている状態で夢に出てくるらしいんですよ。

野菜類は別に出てこなくて、あくまで動物とか生き物。

魚、鶏、牛、豚とか、そこら辺ですね。

まあ、夢に出てくるとはいえ、別に襲ってくるわけじゃなくて、ただKを見つめているだけらしいんですけど、

やっぱ気持ち悪いらしいんですね。

それが嫌で、夜は動物性の食物は摂らなくなったと、つまりそういうことらしいんです。

それが本当かは疑わしいなと思ったんですけど、とにかくはKが夕飯で肉類を食べないことに納得することができました。

で、まあここから怖い話なんですけど・・・

じつはKって、最近母親を事故で亡くしているんです。

もともとKって、いわゆるマザコンの匂いはあったんですが、母親を亡くしてからは本当に気落ちしていたんです。

俺から電話したときも、母さんに会いたい、母さんに会いたいばかり言ってましてね。

でもしばらくして・・・

Kは気づいたんだですね。

夢の中なら、母親に会えるんじゃないかと。

それであるとき・・・

Kのやつ、母親の仏舎利を、寝る前に齧ったそうなんです。

そしたら・・・

「え、K、お前母親の遺骨を?」

「はい、先輩。骨壷開けて何個か食べました。そしたらその夜・・・」

「母親に会えたのか?」

「はい、会えました」

「そうか、良かったじゃん」

「いや、それが・・・」

「どうしたんだ?」

「その・・・母さんだけでなく・・・」

「うん・・・」

「母さんにストーカーしていた近所のジジイも出てきたんです・・・」

・・みなさん、この話どういうことだと思います?

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