短編2
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ええあい

ここはとある地方の田舎町

妻が友人との旅行で一家で一台の車を持っていったものだから、今日の職場からの帰りは車ではなく電車になってしまった。

秋だから七時にはもう、周りは暗い。

駅員の居ない改札を入り、駅舎の中で、1時間に一度の上り電車を待つ。

あと30分待たねばならない。

携帯のネット漫画を読んで時間を潰そうか。

ふと、壁に貼られた指名手配のポスターが目に入る。

それは、平成中期の殺人事件のものだった。当時の犯人の写真がでかでかと貼られていた。

それは俺の写真だった。

事件の内容は、いわゆる猟奇殺人だった。

深夜に人が喰い殺された。なぜ喰い殺されたと分かったかというと、死体に歯形がくっきりついていたのだ。

それは仕方ない。

俺は狼男なのだから。

そこは良い。

しかし、納得がいかないのが「現在の予測顔」である。

なんでゾンビにされてんだよ。

この、20年でヒゲを生やしたとか、白髪になったとか禿げたとか、そういうのは想定されても、いくら何でも、ゾンビにはならんだろ。

しかも最新のAI技術で予測した挙句なのはどうなってんだ?

ディープラーニングの悪ふざけが過ぎるぞ。

はぁ、、、

呆れながら壁にかけられた鏡を覗く

そこには疲れた顔の男があった。

おもむろに顔の表面をゴシゴシと手でこする。

すると、

肌の表面から ボロボロと何かが落ちる。

それを見てまた溜息がてる。

、、、乾燥して粉を吹いていた。

はあ、空気も乾燥してきたなぁ

ボディクリームでも買うかなぁ

もし狼男である俺がゾンビになったらどうなるんだろう。

狼姿のときにゾンビになるか、人型の時にゾンビになるかで違いがでるんだろうか。

狼のときにゾンビになって誰彼構わず噛み付くようになったら、ただの狂犬じゃないか。それは家庭をもつ狼男として、プライドが許さない。

人型なら、まあ、いいか。、、、良くないけど。

そんなことを考えていたら、駅に電車がついた。

乗客はまばらのようだ。

開ボタンを押してドアを開け、乗車し、閉ボタンを押してドアを閉じた。

席に座り、ぼーっと携帯を見る。

すると千鳥足の酔っ払いが俺の横に座ってきた。

なんだよ、

こんなに空いてんのになんで俺の横に座るんだよ。

、、、でもスタイルの良いOLみたいだから、ちょっとラッキーだ。

おっと!?こちらに頭をもたげてきた!

おおおおお。酒臭くはないが、なにか熟成したような良い匂いがするぞ。

今度は俺の首筋にくちづけをしてきた、、、え!?

なんだこの急展開は!?

急にロマンスが始まったぞ!!?

そしてそして!!

彼女はさらに積極的に首筋へのキスを甘噛みに、、、

、、、、、、

あま、がみ?

ガブリと噛みつかれ、彼女の顔を確認した俺はふと思った。

ああ、、、

最新のAI技術ってのは凄いんだな、、、って。

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