/~ポックリさ~ん、ポックリさ~ん、御手~を拝借、ポックリさ~ん、ポックリさ~ん、回れ右っ♪
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「こっくりさんじゃ無ェのか。又ポックリさんねェ」
四露三太郎(よつゆ・さんたろう)翁の話を聴きながら、笠増克太(かさまし・かつた)は不思議そうな反応をする。
「ふっふ、厄介者を消し去り、侮る者を泣かす。向こうの世界へ連れ行くかは、誰にも分かりゃせん。じゃが、お前さんがこの話を聴いたからって、悪用しないのは分かっておるし、これを初めて知った時の儂(ワシ)も誰かを陥れようとした覚えは無い」
にぃっと、入れ歯の入った顔に笑い皺(シワ)を深く深く刻み込ませ、笠増に対して目を細める。
「おーい、誰と話してんだ。カッチン、早く戻ってハンドル握って」
ハスキーボイスが笠増を呼び、ボーイッシュな女性が手招きする。
「又来るよ」と笠増が声を掛けて、軽自動車に走り戻る………四露翁の居た筈の縁側は引き戸が閉まっており、埃を被っている。
作者芝阪雁茂
「ポックリさん」自体は遥か昔に出来ていましたが、取り敢えず初登場って事で。
御隠居と熊さん八っつぁんの落語っぽい中身にしようとしたけど、それも又難しい(汗)。サラっと妙なものが出来上がりました。