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これも私がアパートで
独り暮らしをしていた時の話です。
(ちなみに前のときと同じ物件です)
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その夜、私は「呼吸が苦しい」
ことに気が付いて目を覚ましました。
目を覚まして思うことは、
「意識しても呼吸ができない」
「手足が動かせない」
「指先も動かせない」
という事実。
「金縛りだ」
と察するのに、左程のときは必要ありませんでした。
時刻はわかりませんでしたが、
闇の濃さから深夜なのは間違いありません。
そこまで考えている間に、異変は起きていました。
布団の一角が沈むのです。
足音はなく、しかし確かな質量を持って。
それは子供の体重でそこを踏み、歩いている、
ちょうどそれくらいの感触でした。
「足跡」は布団を踏みながら周回します。
眼は開いていて、室内の様子は見えているのに、
「それの姿」は見えません。
やがて3周ほどしたところで「それ」は消えました。
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後に同じ方に遭遇したことはありません。
同じ部屋で遭遇したのは、また別の方でした。
その話は、また別の機会に・・・
作者塵