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「理科室」というと、
なにかしら「七不思議に扱われやすい」
というイメージがないでしょうか?
私の学校にもありました。
今回はその話・・・
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私の友人が理科室に忘れ物をしてしまい、
「一緒に取りに行って」
と頼まれたことがありました。
私が断ったので、
友人は独りで夜の学校へ向かいました。
当時は今よりも防犯などの面でゆるく、
「忘れ物を取りに戻る生徒」のために
職員玄関は開いていて、
なんなら各教室のドアにも
施錠はされていませんでした
(窓は閉まっています)
本来の規則では、
「職員玄関から入り、
玄関わきの来訪者名簿に記帳し、
職員室ないし宿直室に声をかけて
職員に同行してもらうこと」
となっていました。
ちなみに
教室のドアが施錠されるのは
職員玄関が締められたあと、
その日の最後になる巡回のときだと、
仲良くなった用務員さんが教えてくれました
(この用務員は通常の教師よりも勤続年数が長く、
学校に伝わる怪談を教えてもらう中で仲良くなったのでした)
そういうわけで、
友人も難なく目的の理科室に単身でたどり着き、
忘れ物を回収して家路についたのでした。
問題はその翌日。
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「理科室に伝わる怪談」というのは、
「動く骨格標本」という話。
ガラスケースに納められ、
教壇のわき、黒板の横に佇む骨格標本は、
普段の授業でも異様な存在感を放っています。
それが夜になると動く、という。
ガラスケースには南京錠がされており、
普段の授業では使用されません
(なんの目的でそこに鎮座しているのかも不明ですが)
その朝、つまり友人が忘れ物を取りに
夜の学校に入った翌朝、
生徒昇降口に異常がありました。
「人骨らしきもの」が落ちていたのです。
しかしそれは
「石膏かなにかでできた人間の指」
であることがわかりました。
そして同時に
「骨格標本の指の骨が一本足りない」
ことも判明したのです。
職員の同行こそ頼まなかったものの、
名簿に記帳していたということで
友人が呼ばれて職員に話を訊かれることに。
しかし彼らも分かってはいたのです。
「ガラスケースは閉ざされたままだった」
という事実を。
ただ、「物音に驚いて急いで逃げた」
とだけ答えたと言います。
作者塵