短編2
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奇声

田舎の親戚から聞いた話です。

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昔住んでいた町での体験です。

私は町に一つしか無いスーパーで買い物を済ませた後はドライブをすると決めていた。

日用品をまとめ買いした後に直行する筈が、その日は変なものを見たのを覚えている。

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スーパーの駐車場で5歳くらいの駄々っ子が「キャーキャー」と奇声を張り上げていた。

母親はせっせと車に荷物を積み込んでいる。

他愛の無い光景だったが急に異物が入り込んだ。

ニホンザルだ。

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真っ白な小猿がじっと子供を見つめている。

山奥なので猿自体はそんなには珍しく無いがアルビノとは珍しい。

もしかして親猿が近くに居るのだろうか?

私は食料を奪われまいと周囲を警戒する。

子供はまだ「キーキー」と奇声を発し続けていた。

その時だった。

物凄い勢いで子供の顔に無数の針が刺さった!

「えっ!?」

我が眼を疑い何度も眼を擦る。

どうやら針の様に見えていたのは毛の様なものだった。

しかし子供は気付いていないのか顔面毛むくじゃらになりながら奇声を発し続けている。

その内に子供の手足にも毛が生えてきた。

子供の体はどんどん縮んでいきその姿は完全な小猿となった。

私はあまりの出来事に脂汗をかきながらその場に腰を抜かしてしまった。

「帰りましょ」

母親の声で我に返る。

しかし母親の視線は子供の方を向いていない。

もう一匹の小猿の方を向いていた。

「うん」

小猿が子供の声で言葉を発した。

ヨチヨチ歩きで小猿が母親に近付いていく。

「あらあらどうしたの?素っぱだかになっちゃって・・・」

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小猿の手を母親が握った瞬間・・・小猿はあの子供の姿そのものとなった。

母親は毛むくじゃらの我が子の方にようやく視線を向けた。

「なあにあれ?お猿さん?裸になって一緒に遊んでたの?変な子ねぇ・・・ばっちい事は駄目って言ってるでしょ?もうあの服は駄目ね・・・」

母親は裸のソレを車に乗せるとそのまま走り去っていった。

かつて人間の子供だった者は茫然自失といった表情だ。

「そうだ!ドライブだ!ドライブ行かなきゃ!ドライブ!ドライブ!」

私はそう叫びながら今見た現実から逃げ去る様にドライブに出発しその町に戻る事は無かった。

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