サービスエリアにて。車怪、番外篇

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サービスエリアにて。車怪、番外篇

※適切で無い描写が御座います。下半身の話題が嫌な方は閲覧されませぬ様に………

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さて、引っ越しの際に荷造りが間に合わず、翌日が休みだと夜な夜な高速道路を走らせて、旧居………まだ鍵を返していないアパートに入って、後片付けと僅かな荷造りをしては、車輛に積んで在住地に戻る長距離ドライヴを繰り返していて、前の大家さんの手違いで退去日が延びた為、私は苦手だった掃除もこの時とばかりにやっていた。

携帯電話が片付け中に行方不明になり、泣く泣く機種変更した矢先に、ショップの店員さんの御厚意で追跡して貰うと、異動以来通った覚えの無い隣町から夜更けにキャッチした電波が最後………しかも、公衆電話から掛けて大家さんの手違いが発覚して、致し方無く帰宅した退去予定日翌日と言う、にわかには信じがたい事態も起きてはいたが、それは又別の話。

そをな夜更けのドライヴにて、休憩と用足しで個室に籠っていると、おじさんの唸り声やカラカラとトイレットペーパーの取り出される、金属と紙のすれ合う回転音が響いて用を終えた私は、個室から出た。

隣の個室には誰も居ない。

「フヒヒヒ」

身震いするも、いわゆる頭に電球の灯った、むかしの漫画の表現になった私は、気色悪い笑みを浮かべて、車輛へと戻った。

長距離運送大型トラックの空ぶかしが、夜更けのサービスエリアで、低い合唱を響かせている。

Concrete
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