出来事の発端は、社会の時間だった。
N先生が、昔の人にとっての神様は何人居ると思う?、と発言した。
ひゃく、せん、
そんな声が沢山聞こえる。
その中で、冷静な声が聞こえた。
Yの声だ。
Y『いくらでもいたんだろ。』
Y『今もだけど、人々が崇めればそれはもう立派な神様だ。』
そう、Yが言った。
そして家へ帰る時、私はふと思いついた。
私も、崇めたら神様になるのかな。
学年1位とは思えない発想だが、小学6年生だ、そーゆー興味は湧く。
…まぁ、結果は分かりきっていたが。
そーゆーのは沢山の人が崇めるから神になる。
私は1人で崇めるのだから神様なんかできるわけがない。
そのはずだった。
私が依代…かな、
それに使ったのは第五人格っていうゲームのエマ・ウッズっていう人形。
私の推しだったし、目の前にあったから、私はそれを崇める対象にした。
流石に1日目は特に変化なし。
…だが、8日目になると、なんとなく運が良くなってきた。
雨が降ってほしいな〜とか、思ったら雨が降る。
休校になって欲しいな、とか思ったらインフルエンザの人がその日のうちに沢山でて念のため、ということで休校になったり。
まぁ、そんな偶然もあるよな、みたいな事も思いながら私はまた崇め続けた。
10日目ほどだったと思う。
テストでいい点取りたいな〜とか思ってた。
テストは案の定難しくて、6、7問くらい鉛筆転がして決めてた。
翌日、テストが帰ってきた。
私は驚いた。
100点だったのだ。
そのあと、算数も、国語も鉛筆でやってみた。
100点、100点、100点、
全部満点だった。
流石に偶然とは言えない。
ふと依代にしたエマ・ウッズのキーホルダーを見てみる。
それは普通のデザイン通り笑顔だったが、
私には不気味な笑みを浮かべているように見えた。
…ちなみに、少し経った現在もその人形は私の所にあるし、私は格段に運が良くなった。
後日談としてだが、
私はその人形を捨てようと試みたことがあったが、捨てても捨ててもいつの間にか私の机の上にあった。
そして、いつしか捨てるのすらも怖くなって今は私の鞄のファスナーにある。
ずっと笑顔のまま。
作者つむぎ