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短編2
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ヒールの女

私の部屋は玄関から入って台所を通ってすぐ曲がった所にある。

だが、今日だけは寝るところが違った。

私の家は猫を飼っているのだが、

その猫が外へ逃げていき、私達も分からない所に行ったのだ。

私『2回目…ちゃんと見とくって言ってたのに…』

原因は兄で、扉を閉めたつもりがしっかり開いていなくて換気のために少し隙間をあけておいた所を頭で押して逃げたんだろう、と考えた。

それで、なぜ寝るところが違うのかと言うと、猫が帰ってこないか扉をチェーン付きで開けておくのだが、誰かが入ってこないか、

ということだった。

深夜3時頃、

コツ……コツ……コツ…コツ…

と、ヒールの音が鳴った。

…なんだろう、と思い寝たフリをして寝返りを打ち、薄く目を開けた。

コツ…コツ…コツ、コツ、コツコツコツ、

ドンドン足音が早くなって、私の部屋名前でその女は止まった。

ガッガッガッ、

女は扉を開けようとするが、チェーンはかかっている。

よかった、

そう私が安堵しそうになった時、

変な音がした。

擬音では表せないような変な音。

女が顔をねじ込ませているのだ。

嘘、嘘嘘嘘嘘、

ドクドクと私の鼓動が大きくなるのを感じる。

幽霊はこーゆーのを感じて近づいてくるって言うのを知っていたのに。

女はニヤリ、と顔を歪ませ、

顔をねじ込み、ついに首まできた頃、

グイッ、と顔が近づいてきた。

あり得ない、

そして、その女は『起きてる?起きてる?』と繰り返しながら首をのばしていく。

私はもうちょっとよく見ようと目を少し開く。

あの女と、目が合ってしまった。

怖くなってまた、寝返りを打ったフリをして、後ろを向いた。

またあの恐ろしい顔を見ないようにして、目をギュッとつぶる。

先程、目があった頃から、起きてる?じゃなくなって、『見えてる?見えてる?見えてるよネ???』と、ずっと繰り返しながら近づいてくる。

何も聞こえない、と思ったら朝になっていた。

私『…へ、?』

どうやら、いつの間にか寝てしまって居たらしい。

その後、猫もしっかり見つかった。

そして、あれから2年経った今でも、あのヒールを履いた女は見ては居ない。

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