これは私が小さい頃の話。
私の家の親戚が旅館に泊まる日、
私はハッキリと覚えている。
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私は大人たちの武勇伝を聞くのが面倒くさくて自分の本をもって今日寝る部屋に言った。
大人達は残念そうな顔をして、変わってるなぁ、と聞こえて、また心が重くなった気がした。
部屋に着くと障子があって、なんも無しに見ていると手が出てきた。
私『ぱー、』
私『ちょきがふたつ、』
私『ちょきともういっぽん、』
私はあることに気がついて、すぐにそこの部屋から逃げた。
ギリギリで部屋から逃げて、扉を思いっきり閉めてぎゅっと抑えた。
…途端、悪寒が走った。
そして、確かに聞こえた。
「開けてくれぇ…開けてくれぇ…」
「2度目は…嫌なんだァ…」
そして、
「開けろぉぉおおおおお!!!!!」
…と、すごく大きな声で、掠れた声で、たしかに人間ではない声で、ドンドンと扉を叩いた。
それは、断末魔みたいで、それ以降声は聞こえなかった。
だが、私は怖くなってすぐに大人がいる所に逃げていった。
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後日談…というのか、
私が気づいた事について。
文中で言ったように、
ぱー、ちょきふたつ、ちょきといっぽん、
と言ったはずだ。
「パー」は5本指を使って表す、
「ちょきふたつ」はちょきはふたつだがそれがふたつなので4本、
「ちょきといっぽん」はちょきがふたつでもう一本で3本、
5本、4本、3本、
5、4、3、
…そう、カウントダウンだったのだ。
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その話をばあちゃんにすると、ニッコリ笑顔で「忘れなさい、」と言われた。
私はそのばあちゃんの顔が怖くて忘れられないし、その時いつも優しく話を聞いてくれるばあちゃんが忘れなさい、と言った理由もわからない。
作者つむぎ