私の守護霊は強いやつらしい。
随分と昔のことだが、その話をしよう。
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今、私たちは神社に来ていた。
神社に近づいた瞬間、神主さん…というのか、その人が近づいてきた。
神主『…え、人、?』
神主『…あぁ、びっくりした。』
神主『神さん来たんかと思った。』
神主『あんたら、やばいな、特にあんた…神様クラスやよ、』
そういって私のことを指差す。
私『はい??』
神主『男性の方で…美形で…浴衣…?を着てる…』
神主『心当たりないかい?』
私は目を見開いた。
そして、泣いた。
…私の話をしよう。
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約、7年前
私が5歳のときかな。
多分、幼稚園時代。
お父さんとお母さんはもう離婚していて、
お母さんはもう私に完璧を求めていた時だった。
帰りはお母さんはお迎えにこないので徒歩で帰る。
なんの気なしに近くの公園で遊ぶことにした。
そこには先客がいた。
浴衣を着ている男の人だった。
その人は片手に扇子を持っていて自分を仰いでいた。
対して暑くもないのに。
その人は私に気がつくと、声をかけてきた。
『どうしたの?迷子?』
優しくて、標準語でその人は話す。
私は遊びにきただけ、と明るく返す。
『じゃぁ、僕と一緒に遊ぼっか!』
そう、ニッコリ笑顔になる。
その人とは砂遊びしたり、ブランコをしたりして楽しかった。
その人はじゃぁまた、と言い
手を振っていたので私も振り返した。
次の日も、また次の日も、
毎日お兄さんと遊んだ。
『ねぇつむぎ、』
その時にはもうお兄さんは私の名前を知っていた。
私はなんとなく、これで最後かも知れないと感じ取って涙を浮かべた。
私『う”ぁ”…ッ、』
なんで、って何回も言った気がする。
お兄さんはぎゅってわたしを抱きしめてくれて、
泣き止むまでなでてくれた。
泣き止んで、私は兄さんに言った。
私『…最後に…なまえ、教えて…、?』
不安な顔をして聞く。
『__________。』
そこで私の記憶は消えていた。
それから4日ほど、高熱で寝込んでいた。
私は熱が治ると、すぐに保育園に行った。
帰り道、あの公園に寄った。
…何もなかった。
私は夢だったのかな、そう思った。
でも、そんなはずないって思いたくて、
近所の駄菓子屋さんのおじさんに聞いてみる。
おじさん『はて、公園…?そんなもんはなかったよ。』
嘘だと思った。
一瞬だけど目が泳いだからだ。
私は何日か引きこもった。
ずっと泣いてたから目が赤く腫れて、
痛かったのを覚えている。
私はいろんな人に何を聞いても
教えてくれなくて、
子供ながらに変な理解をした。
あの人はみんなの記憶から消えてしまったのか、と。
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私『…こんぐらい。』
私はRとYにその話を話した。
R『お前なんで相談しないんだよぉぉお!!』
私『いや騒ぐじゃん』
Yは疑うような目で、
Y『…記憶ってのは都合のいいように変わるからな。』
R『…っし、今度行ってみようぜ!そこ!!』
私『…まじで?』
Y『ま、いいだろ、別に。』
R『んじゃ来週の土曜、つむぎん家に集合!!』
私『なんで私ん家!?』
R『お前が逃げ出さないため!!』
…ということで、Rの計らい(?)で、
私はもう一度あそこに行くことになった。
作者つむぎ