短編2
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スパイス

オカルト雑誌の編集者から聞いた話です。

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パイロキネシスについて調べているとある老舗カレー屋に辿り付いた。

カレー屋のインド人亭主によるとある種のスパイスを接種すると人は余りの辛さからパイロキネシスを発現し口から火炎放射をするらしい。

私はそんな馬鹿なと思い、それなら証拠を見せろと言ったが亭主によると日本では絶対に証拠を見せられないそうだ。

亭主はタメ息を付くと、ある陰謀論を語ってくれた。

俄には信じ難い話だったが要約すると実は日本のカレー業界はA社とB社という2つの大企業によって裏から支配されており彼等が不可侵協定を結びスパイスの輸入をほぼ独占しているらしかった。

パイロキネシスを発現させるスパイスの製造には調合用の数十万種類のスパイスと熟練の調合知識と勘を持った職人が必要となる。

日本においてはこの数十万種類のスパイスの調達に困難が付きまとう。

日本のカレー業界を牛耳るA社とB社はお互いスパイスの争奪戦に鎬を削っている。

数十万種類ものスパイスを用意するとなれば当然2社との契約が必須となるが、それは不可侵協定違反となる。

つまり『アチラのスパイスを買うならばコチラのスパイスは渡せませんよ』という事か。

「A社トB社リョウホウノ

ゲキカラスパイスト

レトルトルーナドヲツカッテ

マゼテツクッタヒトモ

カコニハイマシタ。

ケレドシッソウシタソウデス。

イッパンジンニ

カレーヲタベルト

ヒヲフクナンテ

シラレタラ

カレーギョウカイワ

タイヘンナコトニ

ナリマスカラネ・・・

ホラ、アナタノウシロニモ

カレラガイマスヨ・・・

カレラハイツモ

カレーギョウカイヲ

カンサツシテイルノデス・・・・」

私は冷や汗を拭いながら振り向く・・・

するとカレー屋の前にはサングラスを掛け黄色いスーツに身を包んだ二人の男が立っていた。

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