酒場で知り合った弁護士さんから聞いた話です。
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これは私がある小学生の暴行事件の弁護を受け持つ事になった時の事です。
「サイコパスが必ず悪に走ると言う訳では無いが、誰も見てない時に悪が地面に落ちてりゃ奴等は必ず拾い食いする。」
どうして彼等を嫌うんだ?
君に激しい暴行を加えられたと言っている。
逆に君が悪く無いと言う生徒も沢山居たよ。
何があったのか話を聞かせて欲しい。
彼の部屋には所狭しと模型や天文学やSFの原書が山積みになっていた。
彼の尖った喋り方とは裏腹にその人間性が部屋中から滲み出ている感じがした。
・・・サイコパスって奴等の事か?
学校で何があった?
例えば・・・
奴等にイジメられたとか・・・?
「きっと・・・言っても信じないんだろうな。」
絶対に信じるし誰にも口外しない。
信じて欲しい。
「別に疑ってくれていいよ。
それに言い触らされて困る話じゃないが信じないだろーなーって。」
成る程。
それなら教えてくれないか?
「・・・宇宙人」
ん?
「宇宙人を信じる?」
・・・個人的には信じていないけど。
宇宙を隅々まで調べた訳じゃ無いから可能性は0では無いと思うよ。
「あれは偶然だった。神社の境内で天体観測していた時。」
うん。
「宇宙船に拐われた事がある。
と言ったらドラッグのやり過ぎだと思うだろ?」
いいや・・・
その場に居た訳じゃ無いから否定する権利は無い。
そりゃ凄い事だ。
ぜひ話の続きを聞かせて欲しい。
「連中は自分達の事をムヅヒゾマ星人と言っていた。
連中の一匹と仲良くなって色々質問してみた。
UFOの中で彼等の世界はどんな社会なのか聞いてみたんだ。
彼等はレプティリアンの技術奴隷種族だった。
生まれてからずっと宇宙船の中で暮らしていた。
ムヅヒゾマ星人はある宗教を信じていたよ。
自分達が奴隷として扱われる事を神聖な事であると心の底から信じる宗教を。
誘拐した地球の人々に様々な人体実験を行う事もレプティリアンに嫌々強制されている事だったらしい。
が、それも神聖な行為らしかった。
神聖な責務に励んでいればいつか宇宙の果てから優しい神々が助けに来てくれるんだとさ。」
・・・全て事実とすれば・・・
とても悲しい話だね。
きっと宇宙の果てにも楽園は無いんだ。
「俺は隙を見て連中から逃げ出した。
そして奴等に復讐したって訳さ。
どうだい?
随分とイカレてるだろ?
アニメとポルノに影響されやすいお年頃の馬鹿が狂った白昼夢を見て衝動的に暴れて罪の無いお友達を半殺しにしちゃったのさ。
ただ、それだけだ。」
・・・私も恐らくこの事件の原因を作ったのは奴等だと思う。
自業自得だ。
けどあれだけの暴行だ。
君が全く悪く無かったという訳にはいかないだろう。
今なら正当防衛が認められる可能性がある。
個人的には示談に持ち込むべきだと思うよ。
「最後にアンタにみやげをやるよ。あいつらは延々400万年もの間、虚無への祈りを捧げながら技術奴隷を続けているそうだ。
俺はそんなのもう御免だ。
ああいう大人にはなりたくない。
毎日UFOを探してあんな連中に憧れてたかと思うと虫酸が走る。
だから今の状況を変えたかったんだ。」
分かるよその気持ち。
私も昔はそうだった。
何か歯車が一個違ったら君と同じ事をしていただろうから。
「そら、みやげだ。
そいつをムヅヒゾマ星人からちょろまかしてUFOのドアを破壊して脱出したんだ。
飛び降りる時は死ぬ程怖かったなぁ・・・
その時復讐するって心に決めたんだ。」
うん。
レトロで良いデザインだ。
どこで買ったんだい?
「そこのツマミを絞ってそいつであの雲を撃ってみろよ。
奴等を撃った時は威力を最小にしてたんだ。
最大出力で試してみたい。」
ほほー
これはスタンガンの類なのか?
よーし、それじゃーあの生意気なカラスの群れをやってやろうじゃないか。
社会のゴミ掃除だ!
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私は腰を抜かし地面にへたり込んだ。
龍の咆哮にも似た凄まじい轟音はいつまでも空に反響していた。
そのせいであの日何機か戦闘機がスクランブル発進したそうだ。
あれだけの凄まじい一撃を放ったのに恐ろしい程に反動を感じなかった。
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この物騒な宝物はムーで調べた神代文字を刻んだステンレス製の説明書と共にホームセンターで買った石棺に入れてこっそりと近所の小さな神社の境内に埋めさせて貰った。
神保町で仕入れた大昔の和紙に宝の地図を描き込み罰当たりにも御神体の真裏に貼り付けさせて頂いた。
ロマンをありがとう。
どうかブラックメンに拉致されません様に・・・という二人の捏造者の祈りを込めた。
それから暫く後になって大規模な改修工事があの神社で始まった。
きっと誰かに宝を発見されたのだろう。
周辺では地元の政治家、自衛隊、米軍の関係者と思しき集団も目撃され色々な集団が境内を隅々まで調査している感じだった。
小さな祠みたいな感じだった神社は改修工事後には荘厳なものとなっていた。
その神社は今では地元のUFO愛好家やパワースポットマニアの聖地となっている。
何で今になってこの話を暴露したかって?
晴れて彼が宇宙飛行士になる事が決まったからもう隠す必要は無くなったのさ。
作者退会会員