短編1
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貴重な体験

30年以上前に聞いた話です。

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友人はとにかく勘が良い。

明日の天気を聞けばそれはテレビの天気予報よりも的中率は高かった。

彼は投資家でもあるのだがバブルが弾けた時も予め何重にも対策を練っていた。

何かある度に「予定どおりだ」と言わんばかりに淡々とトラブルを乗り越えていく。

当然、彼の会社での彼の地位は高まる一方だった。

そんなある日、彼からドライブに誘われた。

友人は走り屋でその界隈ではそれなりに有名だった。

ただ、彼の車に同乗した事のある社員からは呪われた妖車に乗ってるとか、もう何人も轢き殺してるとか変な噂もあった。

しかし直接彼の話を聞く限りただ無意味に思い付くまま何時間も車をドライブさせているだけの様だった。

変な通り名があるとか暴走族とチキンレースしてるとかいう訳でも無く別にどこか目的地がある訳でもない。

だけども別に友人のドライブ趣味にケチを付ける訳では無いがどこか違和感を感じる。

ドライブをした後の彼は何と言うか人格が変わった様になる事で有名だったから。

当日、ドライブが始まって数分で私は脂汗をかきながら車から飛び降りる事となる。

彼が走行中に目隠しとサングラスを付けたからだ。

曰く「こうしていつも勘を鍛えている」との事だった。

目隠ししながら何時間も車を暴走させる?

正気では無いと感じた。

今にして思えば貴重な体験を逃してしまったのかな・・・・

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