中編3
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人がいない夜勤にて

すみません。久々に体験したのでまた書きに来たのですが、これが怖い話になるのかは不明です。

5日ほど前、職場で夜勤をしていた時の話です。

夜勤といっても土曜の夜中なので勤務上出てきただけで仕事らしい仕事というのはありませんでした。

ですので軽く書類作成などをしたあとはスマホをいじって時間を潰していたのですが、職場の遠くの方でシャリンッていう錫杖?の音が聞こえてきました。

辺りを見渡しても誰もおらず、そもそも会社としては休日なので僕以外に出勤しているものもおらず一瞬空耳かなと思い再びスマホに目を落としたのですがやはり数十秒後にシャリンッと鳴りだす。

職場には僕と玄関あたりに警備の人がいるだけ、遠目に見てみると警備の人はこちらに背を向けてテレビの方を見ていました。

そもそも音の方向自体そちら側ではなかったためなんの音か気になった僕はライト片手に音のする方へ歩き出しました。暇だったのもあるし心霊好きなのでもしかして?という期待と好奇心が大きかったんだと思います。

音のした方へ歩いていると段々と音が近くなってきました。

どうやら2つ離れた部屋の角あたりにある机で音が鳴ってるっぽいなと思いそちらを見に行く。

すると机の傍に錫杖らしきものが浮いていました。

というのも近づいてわかったのですがどう見ても透けてるんですよね。

しかも浮いている。

え?どうやって浮いてるの!?と手を伸ばしたところ

シャリンッと大きな音がなりました。

びっくりした僕はその場に立ち尽くしていたのですが、その浮いた錫杖、スーッと宙を動いたと思ったらノロノロと部屋の外に出ていく。その一部始終を動画に収めながら着いていくとやはりゆっくりしたスピードで警備室の方へ移動していきます。

警備室の方では警備の方がこちらを見ており、「え?○○さん何してるんですか?そんな所でスマホ構えて…」と。

どうやら警備の方には錫杖は見えておらず、説明がめんどくさかった僕は「いやー。暇なんで」と雑に返事をしながらやはりスマホ画面を錫杖に向け着いていきます。

すると錫杖が警備室内に入った途端、シャリンッと大きな音が鳴りました。

首を傾げて何処まで行くのかを考えていたところ、突然警備の方が胸を押えて苦しみ出しました。

急いで駆け寄り声をかけるもそれどころじゃない感じで蹲り呻き声を上げる警備の方。これはやべぇと直ぐに119に通報。20分ほどで救急車が到着しその後は事情説明やら上司に連絡やらなんやらで2時間ほど対応をしていました。

いつから消えたのかは分からないのですが錫杖は既に見当たらず慌てて出社した方々に説明しつつ勤務に戻りました。

後日警備の方は入院されたのですが、僕自体は部外者なのでそこまで詳しくは説明などされず、ただ持病が発病した。命に別状は無い。通報が遅ければ亡くなっていた。ということだけ伝えられました。

これだけでもとても不思議な体験なのですが、実は本題はここからで、勤務に戻った際に発覚したのですが、自分が先程座っていた位置にめちゃくちゃデカい書類棚が倒れていました。

通報等でほとんど意識してなかったのですが、実は通報中に遠くでガシャンと物が倒れる音とバキッと何かが潰れる音がしていたのです。

もしあのまま暇つぶしをし続けていたらきっと自分は棚の下敷きになっていたでしょう。

最初錫杖の音は警備の方を助けるための何かだと思っていたのですが、もしかすると助けられていたのは僕だったのかもしれません。

案外両方まとめて助けるために出てきた錫杖だったのかも。

余談ですが書類棚には転倒防止用に細工がしてあり、震度の強い地震が来ても大丈夫なようにされていたので多分書類棚の横にいたあの背の低い女がやったんじゃないかなって思います。あの女他の人には見えないからってこっちみて笑いながらなんか喋ってたし。

Concrete
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