長編13
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隣の夫婦

今住んでいるアパートは築十五年程の木造二階建てで、見た目はごく普通の何処にでもありそうな建物だ。

最寄りの駅から徒歩で十分程の住宅地の中にある。

都心まで電車で二十分ほど、また家賃も安いことから、就職して東京に出てきてもう五年もここに住んでいる。

ここまでは何ら問題がないのだが、実は俺の部屋の隣が精神的瑕疵アリ物件、つまり事故物件なのだ。

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ここに引っ越してきた時、二階の角部屋になる隣には二十代後半のOLが住んでいたが、俺が引っ越して二年ほど経った時に彼女は部屋で大量の睡眠薬を飲み自殺した。

彼女を時折見掛けることがあったが、髪の長いちょっと美形の女性で、どこか暗い雰囲気があり自殺と聞いた時にさもありなんと言う感じだった。

近所の噂によれば、結婚を約束していた男に捨てられたという、ありきたりの理由だったようなのだが、それ以降その部屋に住む人は半月と持たず次々と引越して行き、ここ半年ほどは誰も住んでいなかった。

隣に住む俺は何ともないのかと聞かれれば、そんなことはない。

夜中に隣から物音が聞こえたり、すすり泣く女の声が聞こえたりすることはしょっちゅうだ。

もちろん当初は薄気味悪く引っ越そうと考えた。

しかし少なくとも俺の部屋にいる限り、音と声だけで直接その幽霊の姿を見ることもなく、ぐずぐずしているその内に慣れてしまった。

このような安普請のアパートに住んでいれば、隣の部屋の声や音が聞こえるのは当たり前だろう。

直接自分に何も起こらなければ、それが生きている人間だろうと幽霊であろうと何も変わることはない。

大音量で音楽を鳴らす奴、夜中に大きな声をあげて宴会に興じる奴、はたまた夜な夜な大きな喘ぎ声をあげる女などに比べれば全然マシ。

要は慣れだ。

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◇◇◇◇

ところがその隣の部屋に、俺とそれほど歳の違わない夫婦が引越してきた。

引越しの日の夕方に揃って挨拶にきたふたりは、事故物件に住むようなタイプには見えなかった。

佐藤武久と名乗った旦那はちょっと精悍な感じのサラリーマンといった風情で、知佳と紹介された奥さんは小柄でショートカットの可愛い雰囲気の人だ。

「佐藤武久さんと知佳さんですね。陣内博人と言います。よろしく。」

夫婦は同じ会社の同僚だったが、結婚直後に佐藤武久がゲームの製作会社を興したがそれに失敗し、多額の借金を抱えてしまった。

そしてここが事故物件だと判っていて引っ越してきたのだと言った。

もちろん家賃が安いことが一番の理由だがそれだけではなかった。

佐藤武久は、事故物件に住んでいる状況をウェブで配信して少しでも収入を得ようとしているのだと正直に話してくれた。

挨拶に訪れてきた時から知佳がスマホを握りしめてこちらに向けていたのは、この挨拶の様子を録画していたのだ。

「顔出ししなければ、別に構わないですよ。」

俺に文句を言われるのではないかと思ったのだろう、多少不安そうな顔を向けた知佳に俺は笑顔を向けた。

そして俺が知るところの隣の部屋に出る幽霊について話をすると、佐藤武久はうんうんと頷いて聞いていたが、知佳は眉間に皺を寄せた。

「誰もいない部屋で泣き声がするなんて・・・本当に出るんですね。」

「ええ、僕も幽霊は半分信じていませんでしたけど、今はもう認めざるを得ないですね。」

不安そうな顔をする知佳を振り返って、佐藤武久は肩を竦めた。

「まあ、ちょっと怖いけど少しでも登録数を増やすためにはやっぱり真実味がないとね。」

「でも、隣に住む陣内さんが優しそうな人で良かった。今後ともよろしくお願いします。」

「幽霊に関しては何の力にもなれないと思いますけど、粗塩を貸すことくらいはできますからいつでも言って下さい。」

俺がそう言って笑うと、ふたりはにこやかに部屋へと戻って行った。

さて、あのふたりは何日持つだろうか。

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◇◇◇◇

それから数日の間、ふたりと顔を合わせることはなかった。

おそらく生活のタイミングがずれているのだろう。

しかし、夜の静かな時間帯には部屋の中を歩く音や話す声が小さく聞こえているので普通に生活しているように思える。

まだ何事も起こっていないのだろうか。

そこで彼らが金儲けの為に動画を配信すると言っていたのを思い出した。

パソコンを立ち上げたが、もちろん彼らが配信しているアドレスなど解らない。

もちろん動画をあげるのに本名は使わないだろう。佐藤武久と知佳。

試しに“タケ、チー、事故物件、住んでみた”と検索してみた。

人間の考えることなど大差ない。一発でヒットした。

すでにこのタイトルで数本の動画がアップされており、視聴登録も千件近い数字になっている。

最初の動画は引っ越してきた日の翌日なのだが、それから数日でこの登録者数は凄い。

世の中には物好きが多いんだなと苦笑いをしながら最初の動画を再生してみた。

おそらくここへ引っ越してくる前に住んでいた場所だろうと思われる部屋にふたり並んで話をするところから始まっている。

―ハイ!それでは事故物件に住んでみる、という事でその様子をこれから配信していきたいと思います。―

ありきたりの導入に続いて、引っ越しの様子、そして俺のところに挨拶に来た様子などが顔モザイク入りで映っていた。

そして自分達の部屋に戻ると俺に関する感想も述べていた。

―事故物件の隣に住むなんて、どんな変人かと思ったけど、意外に普通でいい人っぽかったから良かったわ。―

ほっとけ。

そしてその部屋の紹介だと言って部屋の中を映して回る。

映像とはいえ隣の部屋の中を見るのはこれが初めてだ。

まだ部屋の隅々に段ボールの箱が積み上げられたままだが、俺の部屋と同じ間取りで、角部屋のため俺の部屋は隣との壁になっているところに胸高の窓がある。

ん?

今、窓に何か映ったような気がする・・・

少し戻してもう一度確認すると、楽しそうに喋るふたりの背後に見える窓ガラスに一瞬白い人影が写ったように見えた。

もう一度戻してその部分で停止してみると、その白い影は髪の長い女性のように見える。

しかし一瞬であり、バイクか何かのヘッドライトがそう見えるのかもしれない。

とにかくその窓の外はのっぺりとした外壁であり、人の立てるような場所はないのだ。

そしてそのまま一本目が終わり、そのまま続けて二本目を再生した。

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************

二本目はいきなり真っ暗な画面が現れ、そこに『深夜に声が聞こえる・・・』というサブタイトル文字が浮かび上がった。

それだけで解説も何もない。

夜中の場面のようで部屋の中は暗いが、カーテン越しに入ってくる街灯の灯りでうっすらと部屋の雰囲気は分かる。

―おい、何だよ。この声は・・・―

旦那の押し殺した声が聞こえる。

―これが陣内さんの言っていた女のすすり泣く声ね・・・―

おいおい、顔モザイクを入れても名前を出しちゃダメだろ。

画面が反転し、佐藤武久と知佳の顔がスマホ画面の灯りに照らされ浮かび上がった。

怯えた顔で画面に映る知佳のパジャマ姿が可愛い。

―このアパートに今日引っ越してきたのですが、今は午前零時、さっそく女のすすり泣くような声が聞こえています。皆さん聞こえますか?―

再び画面は薄暗い部屋の中を映す。

確かに小さく女のすすり泣く声が聞こえている。俺が自分の部屋で聞いている声と全く同じだ。

―声がどこから聞こえているのか、調べてみましょう。―

画面はそのままに番組の進行をする佐藤武久の声だけが聞こえ、画面は部屋の奥へと進み始めた。

―え、ホントに調べるの?やめようよ。怖いよ。―

知佳の声も聞こえるが画面はそのまま部屋の真ん中へと進み、そこで立ち止まると部屋の中をぐるりと見回した。

薄暗い中でベッドの上に座り、不安げにこちらを見ている知佳の姿も映る。

部屋は1DKの間取りで、カメラは居室の端から端へと移動し、ダイニングキッチン、そして浴室へと移動した。

―誰もいませんね。あれ?声も聞こえなくなってる。―

そして画面に特に怪しいものが映ることもなく、知佳の待つベッドに戻ってこの映像は終わっていた。

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*************

その次はごく短い動画で、昼間に撮影されたものだろう、ふたり並んで明るい居室のソファに座っている。

そして昨夜の感想を述べた後、今夜は音が聞こえたら心霊写真の撮影にチャレンジすると言って締め括られていた。

続く四本目のタイトルは、『ついに撮ったぞ!心霊映像&写真!』

女の幽霊をカメラで捉えたという事なのか。

俺も未だ見たことのない女の幽霊の姿を映したのなら、是非見てみたい。

動画は二本目と同じように暗い部屋でベッドの上にいるシーンからスタートしている。

すすり泣く声は、ベランダに通じている掃き出しの窓の方から聞こえているというのがふたりの一致した意見であり、佐藤武久はベッドから降りるとその窓へと近づいて行く。

彼は怖くないのだろうか。怖くても借金返済の為に無理しているのかもしれない。

そう思うと少し可哀そうな気がする。

スマホなのかビデオカメラなのか、動画の撮影は知佳がベッドの上で続けており、そしてデジカメを握りしめた佐藤武久は部屋の中央辺りで立ち止まり、窓に向かってシャッターを切った。

すると、なんとストロボの一瞬の光の中に髪の長い女の姿が映り込んだ。

―きゃっ!―

知佳もその姿を見たのだろう、映像が大きく傾き、ボスっという音と共にベッドに座る知佳の膝をアップで映し出した。

どうやらカメラを落としたようだ。

―な、な、なに?今の・・・―

―何やってんだよ。いいからちゃんとカメラを構えろ!―

そしてカメラが再び佐藤武久の姿を捉えると彼は再びデジカメを窓に向けシャッターを切った。

しかし今回はカーテンが明るく光っただけでそこに女の姿はなかった。

もう一度繰り返したが結果は同じ。

佐藤武久はベッドに戻り、今撮影したデジカメの写真を確認している。

―皆さん、ばっちり写っていますよ。ほら。―

そう言って佐藤武久はデジカメのモニター画面をカメラに向けた。

そこには、カーテンの前で座り込んでいる髪の長い女の姿が写っていた。

この映像を見る限り、それは隣に住んでいた女に間違いはなさそうだ。

―この写真は明日もう一度確認した後、ちゃんと皆さんが見える形にして動画に組み込みますので楽しみにしていて下さいね。それじゃ、もう夜遅いので今日はこれで寝ます。おやすみなさい。―

ここで映像は終わっている。

ところがその後の動画がない。

この動画がアップされたのが一昨日なのだが、いくら検索しても出てこないのだ。

どうしたのだろう。

ふたりはお金が必要なのだから、サボるとは思えない。

まさか、何か良くないことが起こったのだろうか。

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************

その時だった。

ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン

玄関の呼び鈴が激しく何度も鳴らされ、それに続いて女性の声が聞こえた。

「陣内さん!助けて!助けて下さい!」

知佳の声だ。

やはり何かあったのだ。

ドアを開けるとパジャマ姿の知佳が半泣きの表情で立っている。

知佳の話によると、今日はふたりとも仕事で昼間は出かけていたのだが、夜、佐藤武久は動画の編集をするから先に寝てくれと知佳に言ってパソコンに向かっていた。

知佳は言われた通り先にベッドに入ったのだが、夜中にふと目を醒ますと部屋は暗いのに彼はベッドにいない。

どうしたのだろうと部屋を見ると、佐藤武久は部屋の真ん中でこちらに背を向けて正座していた。

そしてその正面にはあの女の幽霊が座っているではないか。

女はうっとりとしたような表情で彼を見ている。

知佳は思わず声を掛けてみたが、佐藤武久は全く反応せず女の方を向いたまま。

そしてその声に女は知佳の方を向き、物凄く怒ったような表情で睨んできたのだ。

その表情に慄いた知佳は慌てて部屋を飛び出し、俺の部屋にまだ灯りが点いているのを見て助けを求めたのだと言った。

しかしそう言われても俺は霊媒師でもなければ坊さんでもなく、どう対処すべきなのか知る由もない。

それでも人並みにスケベでお人好しの俺は、人妻とはいえ目の前で必死に懇願するパジャマ姿の可愛い女性を邪険にすることは出来なかった。

キッチンから粗塩を持ってくると隣の部屋へ向かい、そして知佳を部屋の前で待たせると恐る恐る部屋の中へ入って行った。

知佳の言った通り、部屋に灯りはなく真っ暗だ。

それでも目が慣れてくると白いTシャツを着た佐藤武久の背中が見えた。

声を掛けようとしたが、その背中には彼に抱きついている女の青白い手が蠢いているではないか。

そして彼の肩越しに女が邪魔をするなと言わんばかりにこちらを睨んでいる。

思わず腰が引けて逃げ出しそうになったが、玄関の外には知佳がいて、このまま何もせずに逃げ出すのはカッコ悪い。

とにかく持っている粗塩を掴んで佐藤武久に掛かってしまうのもお構いなしに投げつけた。

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・」

まともなお経など知る由もない。

必死で声に出して念仏を唱え続け、塩を立て続けに掛けた。

するとそれが効いたのだろうか、女の姿がすっと消えてしまった。

「佐藤さん!」

再び女が姿を現さないか、周囲に気を配りながら佐藤武久の傍に寄った。

佐藤武久は前方を見詰めたまま、放心状態の様子で俺の呼び掛けに何の反応も示さない。

しかしこのまま彼をこの部屋に置いておくのも危険だ。

「佐藤さん、とにかくここを出ましょう。」

腕を肩に担いで無理やり立たせると、ほとんど引き摺るようにして部屋を出た。

「たけちゃん!」

知佳が傍に寄り、声を掛けたがやはり反応はない。

この状態では階段を降りて外へ逃げるのは無理だ。知佳もパジャマ姿のままでは逃げられないだろう。

「とにかく僕の部屋へ一旦非難しましょう。」

「すみません。」

知佳はペコっと頭を下げると、俺が担いでいる腕と反対側の腕を担いだ。

小柄な彼女は殆ど助けになっていないが、それでもいないよりましだ。

ふたりで佐藤武久を俺の部屋の中へ引っ張り込むと、玄関の両脇に盛り塩をして、彼をカウチに座らせた。

「たけちゃん、しっかりして!たけちゃん!」

知佳が呼び掛けるが、依然としてぼっと前を見詰めたまま反応を示さない。

「ミサコ・・・」

佐藤武久がいきなりぼそっと呟いた。

美沙子と言うのは隣に住んでいた女の名前だ。

そしてそれを聞いた知佳が眉間に皺を寄せた瞬間、部屋の照明がいきなり消えてしまった。

いきなり訪れた暗闇に目が慣れるまで数秒かかった。

「いや~っ!」

先に悲鳴を上げたのは知佳だった。

なんと隣との境の壁からあの女が首だけを突き出し、こちらを伺っているではないか。

まるで般若のような形相でぎょろぎょろと部屋の中を見回していた女は佐藤武久の姿を見つけるとニヤッと笑った。

「うわ~っ!」

その恐ろしい顔に、俺は無我夢中で手のひら一杯に塩を掴むと、壁から生えているその顔に思い切り投げつけた。

一瞬、部屋の掃除が大変だ・・・という思いが頭をかすめたが、それどころではない。

女の顔が一瞬怯んだ様子を見て、大声で念仏を唱えながらもう一度塩を掴んで投げつけた。

(ちっ!)

女の舌打ちが聞こえたような気がした。

そして女の頭はするっと壁の中へと引っ込んだのだ。

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◇◇◇◇

この部屋にいるのも決して安全ではないと悟った俺と知佳は佐藤武久を抱えるようにして部屋を出た。

そしてアパートの駐車場に停めてある俺の車に乗り込むと、近所にあるコンビニの駐車場へ向かった。

ほんの数分で明るいコンビニの駐車場に車を停めるとほっと一息つき、後席に座る佐藤武久を振り返ると、さっきまで目を見開きぼっと正面を見据えていた彼は目を閉じてシートにもたれ掛かっている。

眠っているようだ。

「たけちゃん、たけちゃん?」

隣に座る知佳が彼の頬を叩いても目を醒ます様子はない。

そのまま寝かせておいてもいいのではないかと思ったが、彼が正気に戻ったことを確かめたかったのだろう。

取り敢えず、朝になる迄このままここで時間を潰そう。

知佳は一旦起こすことを諦めて、車の中に置きっぱなしにしていた俺のパーカーをパジャマの上に着ると、俺と一緒にコンビニに入り暖かい飲み物を買って車へと戻ってきた。

「えっ?」

車の近くまで来たところで突然知佳は声をあげると、俺の腕に抱きつき車を指差した。

「あれ、あれ。」

見ると後席に座る佐藤武久の隣に女が座り、彼の首に腕を巻き付けているではないか。

どうやら本当に取り憑かれてしまったようだ。

知佳はもう声も出せずに俺の腕にしがみついてじっと車の中を見つめている。

車の中にいるのが自分の旦那でなければ、一目散に逃げているところだろう。

俺だってこれが自分の車でなければ逃げていたかもしれない。

「え、やだ、殺されちゃう!」

見ると女の手が佐藤武久の首を絞めているようだ。

俺は慌ててスマホを手に取ると警察に電話した。

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◇◇◇◇

警察が駆けつけ、彼の様子を確認した時にはもう息をしていなかった。

そしてその首にははっきりと手の形に痣が残っており、もちろん警察は真っ先に俺と知佳を疑い、その場から警察署へと連行された。

信じてくれるとは思えなかったが、俺と知佳は警察で起こったことを全て正直に話した。

ビデオに映っている映像はフェイクではないかと疑ったようだが、現場へ警察官が駆け付けた時、佐藤武久の体はまだ温かかったにも関わらず、俺と知佳はコンビニから出てきた後、車から少し離れたところにしばらく立ち止まり、車に近寄ることなくスマホで警察へ連絡するところがコンビニの防犯カメラに映っていた。

そして何より、部分的にではあるが、その時に女性が車の中で動いている様子が防犯カメラに映っていたのだ。

そのお陰で、俺達の直接の犯行ではないと認められ、俺と知佳は翌日には取り敢えず警察から解放された。

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車は警察署の駐車場に移送されていたが、もうこの車には乗りたくない。

その場から知佳を乗せたまま中古車業者へ直接持ち込み売り払った。

そしてあのアパートももう潮時だろう。

あんな風に壁から顔が飛び出してくるかと思うともう住めない。

引っ越し先を探さねば。

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「ごめんなさい。陣内さんには迷惑をかけてしまいましたね。」

警察を出てから特に行くところもない知佳は、ずっと俺と行動を共にしていた。

「いや、知佳さんも旦那を亡くしてこれから大変だね。」

「でも、たけちゃんの生命保険で借金はチャラになって多少のお釣りも来るし、それに陣内さん、今は彼女がいないって言ってましたよね?」

そう言って知佳は俺の顔を見てにやっと笑った。

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女は怖い・・・

◇◇◇◇ FIN

Concrete
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