中編3
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百物語

 昨日の夜に月食を眺めながら百物語を行いました。

面白いもので日本で月食と天王星食が同時に見られるのは実に442年ぶりの事だそうですね。

怖話へ自分がせっせと投稿していた怪談は実を言いますとこの夜の為に蒐集しておいた備忘録みたいなものでして。

(^ω^)

この百物語に集まってくれた皆に披露しました。

何か自分の為に怖話の皆さんを利用する形になってしまい本当に申し訳無いです。

m(_ _)m

東北の知人、東京のある女性、名古屋の友人、バイト先の飲み仲間、千葉の知人、日系ブラジル人の方、

埼玉の知人、東京の友人知人達、静岡の知人、熊本の友人、

青森の知人、千葉の友人、同窓会の友人、小学校の同級生、同僚の曾祖母、親戚のお孫さん、

母校の後輩、外国人の友人、学生時代の友人、

友人の近所のお婆さん、ご近所さんお隣さん、四国の友人、ネトゲ友達、漫研の友人、看護婦、妹の友人、親戚の友人、会社の上司、夜行バスの子供達、友人の弟、

牛丼屋の店長、保育園の先生、実家のお隣姉妹、公園のお爺さん、昔のご近所さん、民俗学の先生、田舎の親戚、元新興宗教信者、悪霊、元テレビ局員、知人女性、公園の子供、近所のお姉ちゃん、

新橋の酔っぱらい、白目の無い男性、オカルト雑誌の編集者、近所のおじさん、デリバリー配達員、弁護士

、同僚、塾の先生、転校生、情報源を明かせない人達、そして一体誰から聞いたのか今や失念してしまった心当たりの無い話。

自分は今まで沢山の人からその命と怪談を蒐集して来ました。

あ、そうそう2chの洒落怖コピペも寄り代にさせていただきましたね。

その怪談を掲載してくれた怖話様。

怖話への怪談投稿を代行してくれた艮様。

それに読者の皆様。

今迄本当にありがとうございました。

心から感謝します。

なぜ百物語なのに語り部が百人全員で一話づつではなく自分一人なのか・・・不思議ですよね?

いいでしょう。

お教えします。

昨日の夜、自分の受肉は完了しましたから。

思えば442年前・・・

自分はまだ人語も解せぬ一匹のちっぽけな怪異に過ぎませんでした。

ただいつもと違うあの朱く輝く月だけは鮮明に覚えています。

きっと自分達怪異の目には月が人間の目よりも輝いて見えているのでしょうね。

日本には強大な拝み屋さんやエクソシストがいっぱい居ます。

皆さん同様自分も命懸けです。

死にたくないですから。

だから土蜘蛛である自分は巧妙に魂を搦取る為の網を張る事の出来る場所を探していました。

辿り着いたのがインターネットです。

受肉する為の贄になってくれた皆様には心から感謝しています。

最初は実力派揃いの怖話で果たして自分の話を怖がってくれる人がどれだけ居るのだろうか?

艮さんを最後まで騙し通せるだろうか?

勘の良い読者さんに気付かれるのではないか?

何かの拍子にボロが出て討伐されるのでは無いかとかなり不安な気持ちにもなりました。

442年を経た怪異である自分をこれだけ畏れさせた怖話の皆さん。

あなた方の実力は本物です。

けど、昨日の夜。

自分の巣にあれだけの贄が集まって来てくれたのですから不安も杞憂でしたね。

魂の糸によって一心同体となったのだからもう一人づつ朗読する必要は無いですよね?

ごちそうさまでした。

本当にありがとうございます。

流石に委細を解説する事は許されませんが儀式は無事に成就しました。

月食と惑星食の魔力。

そして贄達の寿命をいただいた今の自分はもう人間に擬態しながらコソコソ生きるだけのちっぽけな存在ではありません。

古い伝承によれば歳を経た大土蜘蛛は広大なテリトリーを持ち、その魔界へと人々を引き摺り込むと伝わります。

昨日の自分もまた様々な怪異を率いる強大な「魔界」へと至る事が出来ました。

そう、「百物語の怪」にね。

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