短編2
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消滅

なぜか知らないが、家に菊の花を送ってくる者がいる。

住所を調べると墓地からで名前は不明。

あまりにも毎日送られるため、その墓地へ向かったことがある。もらった菊をお供えとしてやろうと思いながら

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別にこれと言って変なものがあるわけでもなく、普通の墓地だった。

名前は不明だから特定はできない。菊の花は大量にあるため片っ端から一本ずつ花をお供えした。

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少し気持ち悪いことが起きた。置いた菊と墓地の数が綺麗に一致したのだ。

訳が分からない、特にやることも無いから家に帰ることにした。

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「ただいまー」と玄関を開ける。

「おかえりなさーい!」

小さな娘が元気な声で迎えてくれる。

「おとうさん!おはかどうだった?」

「あー、別に何もなかったなぁ。でもお供えしたお花がぴったり無くなったよ」

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「えーなんでー?」

先ほどのことを妻と娘に話す。

「おかしいわねぇ。変なこともあるのね」

「おとうさん!それなんでかわかるよ!」

娘が元気な声でそう言う。

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おれも妻も目を丸くして「どういうこと?」と尋ねた。

「ほら、わたし、とうめいになってるでしょ?」

娘が差し出した手を見ると確かに指先がうっすらと透けている。

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そういえばおれも足先の感覚がない。

焦りと恐怖から妻の方を見る。

「あら、やだ!私も透けてきてるわ!」

妻が焦ったように叫ぶ。

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娘だけが静かにニタニタと笑い

「ほらね」そう言った。

あれ、ウチに娘なんかいたっけ?誰だコイツは?

そう思いながらも体はどんどん透けていく。

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「お前は誰なんだ!」たまらずそう叫ぶ。

「私は、、、」

それはおれが妻と出会う前に付き合っていた女の名前だった。そいつは自殺した。

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おれは菊の花をお供えに持って行ったことがある。

菊の花はおれへのお供えだったのだろう。

それも消滅という仕返しも含めて、、、

それでも妻を巻き込むことないじゃないか。

あいつは関係ない、こんなことに巻き込んでしまってすまない

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そう思い妻の方に目をやる。

妻は消える前に「あなた、ごめんなさい」

そう言った。何を言う?謝るのはおれの方だ!

そう思っても口にする間も無く完全に妻もおれも消えてしまった。

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幼女は一人家に取り残された。

「私を捨てなかったら消えなくて済んだのにね」

そう男の妻が座っていた椅子に向けて言うのだった。

Concrete
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