なぜか知らないが、家に菊の花を送ってくる者がいる。
住所を調べると墓地からで名前は不明。
あまりにも毎日送られるため、その墓地へ向かったことがある。もらった菊をお供えとしてやろうと思いながら
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別にこれと言って変なものがあるわけでもなく、普通の墓地だった。
名前は不明だから特定はできない。菊の花は大量にあるため片っ端から一本ずつ花をお供えした。
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少し気持ち悪いことが起きた。置いた菊と墓地の数が綺麗に一致したのだ。
訳が分からない、特にやることも無いから家に帰ることにした。
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「ただいまー」と玄関を開ける。
「おかえりなさーい!」
小さな娘が元気な声で迎えてくれる。
「おとうさん!おはかどうだった?」
「あー、別に何もなかったなぁ。でもお供えしたお花がぴったり無くなったよ」
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「えーなんでー?」
先ほどのことを妻と娘に話す。
「おかしいわねぇ。変なこともあるのね」
「おとうさん!それなんでかわかるよ!」
娘が元気な声でそう言う。
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おれも妻も目を丸くして「どういうこと?」と尋ねた。
「ほら、わたし、とうめいになってるでしょ?」
娘が差し出した手を見ると確かに指先がうっすらと透けている。
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そういえばおれも足先の感覚がない。
焦りと恐怖から妻の方を見る。
「あら、やだ!私も透けてきてるわ!」
妻が焦ったように叫ぶ。
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娘だけが静かにニタニタと笑い
「ほらね」そう言った。
あれ、ウチに娘なんかいたっけ?誰だコイツは?
そう思いながらも体はどんどん透けていく。
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「お前は誰なんだ!」たまらずそう叫ぶ。
「私は、、、」
それはおれが妻と出会う前に付き合っていた女の名前だった。そいつは自殺した。
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おれは菊の花をお供えに持って行ったことがある。
菊の花はおれへのお供えだったのだろう。
それも消滅という仕返しも含めて、、、
それでも妻を巻き込むことないじゃないか。
あいつは関係ない、こんなことに巻き込んでしまってすまない
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そう思い妻の方に目をやる。
妻は消える前に「あなた、ごめんなさい」
そう言った。何を言う?謝るのはおれの方だ!
そう思っても口にする間も無く完全に妻もおれも消えてしまった。
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幼女は一人家に取り残された。
「私を捨てなかったら消えなくて済んだのにね」
そう男の妻が座っていた椅子に向けて言うのだった。
作者カボチャ🎃
幼女の体は妻が昔の男との間にできた子どもの体。
精神や意識は夫が自殺に追いやった女のもの。
体と心を一致させて復讐しにきた