ムカデ。
nextpage
現代では見た目だけでなく、
人を咬むことまでしてくる。
nextpage
〈G〉とはまた違う方向性で、
不快害虫として、多くの人々に
恐怖、絶望、
そして映画界だけではカルト的人気(分かる人には分かる)をもたらす存在。
nextpage
ただ、それはあくまでも、
文明が発達した近・現代での価値観であって、
それ以前は、それなりに扱いが違っていたようだ。
separator
nextpage
separator
現在のN県に位置する鉱山と、
そこからの、豊かな鉱山資源を利用した鉱業で繁栄した町に、
ほぼ口伝で伝わっていた話によると、
そこでは、直視した者が精神に異常をきたす、
異形の神格を信仰していた。
nextpage
wallpaper:7095
ムカデの姿をしたその神は、決まった名前を持たないが、
山よりも巨大な体を持ち、
大地の恵み、特に鉱山の守護神として崇められる。
nextpage
だがしかし、同時に暴虐な性格をも併せ持ち、
年に数回、生贄を捧げなければならず、
それができなければ、あたり一帯に水害や土砂災害、
火山の噴火をもたらすという、
破壊的な邪神でもあったようだ。
nextpage
そんなかつての神も、時代が下り、
科学技術研究と全く縁のない人でも
「かがくのちからってすげー!」
と実感するようになると、
生贄を捧げる風習はしだいに廃れていった。
nextpage
wallpaper:7091
[防災]という技術で、ある程度の災害なら、
人間が自力で対処できるようになったからだ。
存在も忘れ去られ、歴史にもほとんど残らなかった。
nextpage
一説には、今日(こんにち)のムカデは全て、
かつてのムカデの神が産み落とした幼体で、
たとえ1匹でも駆除できなければ、そう遠くないうちに、
新たな神として降臨するのだという。
nextpage
それは、
地球という、巨大なエネルギー資源を利用し続ける対価として、
破滅を避けるために終わりなく生贄を捧げる、
愚かな人類への警告、
というようなものなのだろうか?
nextpage
separator
この話には続きがある。
wallpaper:6089
この話を読んだ人のところには、もしかすると、
今夜あたり、枕元に
巨大なムカデが現れるかもしれない。
ひ○ゆき「それ、根拠あるんですか?」
あります。
separator
nextpage
wallpaper:6837
「今は虫たちが活発な季節ですから」
作者三日月レイヨウ
色々あって約7ヶ月ぶりの投稿です。
以前のこの時期にはḠの話を投稿しました。
見た目がグロテスクな昆虫は苦手です。
カワイイものでも突然出てきたらビビるよ(_ _)