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お化け屋敷のような病院(先生怪話)

中編3
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お化け屋敷のような病院(先生怪話)

これは、先生から聞いた話である。

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先生が都会に引っ越してきて数週間後、車に跳ねられて入院していたときがあったらしい。霊感の強い先生は、その病院で色々なものを見てきたと言っていた。

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入院一日目の夜。カラカラカラと台車を押す足音が延々と聞こえてきて「うるせぇ」と呟いたら台車を押す音と足音が俺の病室に止まった。で、引戸が開いて中に首の無い看護婦が入ってきたんだけど、さほど怖くなかったから「うせろ」って言ったら消えていった。どうやら、怖がらない相手は初めてだったらしくなびっくりしてたな、ありゃ。

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「ありゃ、じゃないですよ。何で幽霊の気持ちが分かるんですか?」

「あー?あー、そうだなぁ。俺さ、霊感ある人間の中でも奇妙な体質っていうか特異体質でな。相手、つまり幽霊の感情みたいなものが頭の中に流れ込んでくるんだよな。怒ってたり、悲しんでたり、笑ってたり。笑ってるやつは、殆んどヤバい奴ばっかりって聞いたけどアレはマジだな。まぁ、幽霊にも感性があるんだよ」と言っていた。

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入院二日目の夜。その日は台車の音がなくて静かな夜でこっそり本を読むのに適した夜だったんだが、入ってないトイレから流す音が聞こえてきた。気にせず本を読んでたら、今度は流し台の方から水の流れる音が聞こえる。無視を決め込んでたら今度はペットボトルが倒れて水が零れた。流石にイラッと来たからヨロヨロ立ち上がってトイレに塩を流し台に砂をペットボトルに米入れたらなにも聞こえなくなった。で、本は結局は見ずに閉じて寝た。

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入院五日目の昼頃。味の薄い健康食である昼食を終えて昼寝しようと横を向くと白黒の爺さん婆さんの幽霊が立っていた。どうも俺の事が見えてなかったのかその後部屋を見渡して出ていった。「いやぁ、白黒の幽霊初めて見て思わず感激してしまったのを記憶してたよ」

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六日目と七日目はなにも起きなかっが、入院八日目の夕方。夕食を終えて窓を見てると煙が立ち上るのをみたが、それがどことなくおかしい。何故おかしいのかすぐわかった。今日は朝から風が強く吹いていたのだが、その煙はまるでその風に逆らうように上に上に登っていったのだ。「何かそういう科学の実験あれば納得するけど無理だろうな。まぁ、やっても納得しないけどな」と独り言を呟くとあくびを噛みころした。その後は十四日まで暇なくらい何も起きなくて退屈だったのを記憶してるな。

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入院十四日目。遂に二週間に突入。怪我はアバラ辺りは治ってきていたが足がまだ治っていない。あの時無理して立ち上がったのが良くなかったのか、毎日を悶々と生きてると夜中、廊下から別の音が聞こえた。ペタ…ペタ…ペタ。台車の音でも足音でもないなんだ?この音は?聞き覚えがある音。これは………手を鳴らす音。「今度はなんだ?テケテケか?」独り言を呟いてみる。俺の入院部屋の前で音がやむ。ガラガラと引戸が開かれ俯せの女が入ってきた。全身はこれでもかというぐらいに白くて髪は昆布のように見えた。白いワンピース姿の俯せの女は俺のベッドまで来ると俺の腕を掴む。

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「で、どうなったんですか?」

「いや、別に。一頻り腕を掴んでそのまま消えていった。よくわからん行動だったな」

「その病院、色んな奴らがいるんですね」

「まぁ、別に害になる奴はほぼ居なかったな。何か驚かせたいだけみたいな……所謂お化け屋敷のお化けみたいな。まぁ、お前ならいい修行場所になるんじゃないか?肝を強くするには、な。どうだ?怪我させてやろうか?ん?どうする?」

僕は「勘弁してください」そう言うと先生はケラケラと笑っていた。どちくしょうめがと心の中で毒づいた。

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