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中編3
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相合傘

ゴールデンウィークに入り休暇を利用しておれは一人キャンプに行った。

持ってきた食材でカレーを作り食べた後にテントで眠りについたとき

ある夢を見た

もの凄く魅力的な女性と出会う。

おれは20代だが相手もそのような容姿をしている。

何回も何回も体を重ね、お互いに最高で最愛の人だと思いながら過ごした。

夢の中の彼女は「もうこのまま二人で終わりにしようよ!」

そう元気に言う。

おれも「こんなに幸せな時間は止めてしまいたい」という思いがあり承諾した。

景色の良い山の中でポッキーゲームのように太く尖った枝をお互いの喉に差し合った。

そうして喉を刺し後ろ首まで貫いた時、二人は枝で結ばれ抱き合ったまま息絶えるのだ。

その様を夢の中で見た。

ちょうどテレビドラマを見ている感じに近い。

おれとその女の生き様を早送りで簡単に見させられたようなイメージだ。

怖いような幸せなような気持ちで目を覚ますとおれはテントの外に出ていた。

まだ夜のままだった。常に持っているライトを付けてテントの中に戻ることにした。

すると森の茂みの中からガサガサと音が聞こえる。

その音は大きく近くなり次第に止んだ。困ったことにおれの背後に何かいるらしい

少しずつ振り向いてみると、そこには女の姿があった。

夢で見たような魅力的な女だった。おれは思わず見入ってしまう。

おれが不安と歓喜とが入り混じったような変な感覚のまま動けずにいると、、、

女は答えを出すように太く尖った枝をおれに差し出した。

まるで腹ペコの犬が飼い主に餌を出された時のようにおれはその枝を何の躊躇もなく喉に当てた。

女は「それで良いのよ」と言っているような優しい笑顔で自分の喉にも枝を当てる。

おれは女に早く抱擁して欲しい気持ちが湧きグッと枝を喉に刺す。

少し刺したところでおれは一気に正気に戻った。

首にポタポタと血が垂れる、その様子を見てから一気に痛みと気持ち悪さが湧いた。

「おれは何をしてるんだ!」

声を出そうにも出なかった。声帯を潰したのかもしれない。

周りを見渡すと女の姿は無かった。持っていたライトは地面に落ち木を照らしていた。

その木には何やら模様がしてある。近づいて確認すると相合傘が木に掘られていた。

「ユリ」「タケル」と書いてある。

その隣の木にもさらに隣にも色んな男女の名前が一本の木に一組ずつ書いてあるのだった。

真っ先におれは自殺の名所だと思い、不安と恐怖に駆られ無我夢中で帰り支度をした。

その山から離れたい一心で車を運転し家に帰る。

飲まずにはいられない状態だったから冷蔵庫の酒をガブガブ飲んで必死に酔おうとした。

酔うどころか頭はスッキリとしており、ある想像をしてしまった。

もしかするとアソコは自殺の名所ではなく、カップルで行くと必ず死にたくなる場所ではないのか?と

変な夢を見た後、おれは女から出された枝を喜んで喉に当てた。

おれは一人だったから助かったが、カップルならそのまま夢のようになっていたのではないか?

その想像を掻き消すために酒を浴びるように飲んで寝た

Concrete
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