長編8
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痛い夢

((

あ!!!危ない!!!

飛び出したらダメだろ!!!

バシッ!!!

うわ--ん!!!エーーン!!!父ちゃん!!!

))

あ・・小さい男の子を思わず叩いてしまった

歩道から小走りで車道に出そうだった

前方からトラックが走ってきた

思わず小さい男の子を引き留めようとしたがなぜか手が出てしまった

頭をおもっきし叩いてしまった

男の子の父親が飛んできて胸ぐらを掴まれた

すごい形相だ

「おい!!!見てたぞ、なんで俺のガキを叩いた!!え!!!言えよ」

言葉に詰まった

「いや・・その・・・お子さんが・・・飛び出そうとしたんで・・」

「なに!飛び出そうとした!何も頭をたたくかなくてもええやろ!コラッ!!」

胸ぐらをつかまれたまま3回ほど体を揺さぶられた

男の子は大声で泣いていた

どうしたらいいんだ・・・・

「パパ、起きて!」

「え・・・楓・・・」

「パパ、だいぶうなされていたよ、大丈夫?」

「え・・は・・・夢か・・・」

私は不意に頭を触った

頭頂部あたりに少し傷が残っている

オヤジいわく

「お前が小さい頃にな、知らん男がよ、お前を叩いたんだよ、俺は、すぐに行ってそいつに文句を言ってやったわ、そいつよ、俺にビビってよ、言葉にもならんかったぜ、そいつによ、散々言ってやったからよ」

「はぁ・・・少し記憶が蘇ってきた・・・確かに誰かに叩かれたんだよな」

「せがれよ、3日間もダンゴブがひかなくてよ、すごく泣いていたんだぞ、覚えてないのか?」

「う・・ん・・・・よく覚えてないんだよな」

「そっか・・・今もよ、腹が立って仕方ないぜ、あいつもよ、珍しく怒ってたな」

「パパ、ちょっと見せて・・・」

「うん、いいよ」

「あ・・・傷が残ってるよ、パパ、痛くないの?」

「今は痛くないよ」

「そうなんだ、てっきり、じいちゃんがパパを叩いたかと思ったよ」

「あはははは!!!」

「ひどいな・・・楓ちゃん・・・」

「だって、じいちゃん、パパをいじめてたでしょ」

「いや・・違うぞ」

「そっかな・・・」

夢だったか・・・なんかリアルだったな

「オヤジ、俺を叩いた男の顔、覚えてるか?」

「いや・・顔は・・・もう覚えてない・・若い男だったはず・・」

「そっか・・・もしオヤジの目の前にその男が現れたどうする?」

「もちろん、半殺しよ、そいつの親もな、躾がなっとらん」

おふくろが来た

「騒々しいわね、何かあったの?」

「いや、せがれがよ、ほら、昔に知らん男にせがれが叩かれたろ、その話をしていたんだよ」

「あ・・Fがものすごく大声で泣いていたわね、今でもはっきりと覚えてるわよ、何も叩くことはないでしょ、と思ったもの、頭に怪我されて、本当に怒りが込み上げたわね」

「さぁさ!!!夕食の時間なんだぞ!席につくんだぞ!!」とS子の大きい声

夕食がはじまり私の頭の傷が話題になった

オヤジとおふくろは顔を真赤にして怒っていた

「俺の目の前に現れたらボコボコにしてやるぜ」とオヤジは怒り心頭だった

「パパって・・・一応じいちゃばあちゃの子供だったんだね」と楓の一語と

全員がシーンとなった

どういう意味だよ・・・

「せがれよ、ここ最近、疲れてないか?」

「正直、疲れてる、仕事が終わるのが遅くて」

「だろうな、昔の夢を見るということはあんまし良いことじゃないぞ」

「そうなの?」

「あぁ・・ましてや頭叩かれた夢を見るとはな・・ゆっくり休まないとな」

びっくりした

オヤジが優しい言葉をかけた

私は確かにオヤジの子供だな

書斎室で古文書の整理をしていた

3人娘たちがやってきた

「パパ、寝ないの?」

「そろそろ寝ようかなと」

「そう・・じいちゃんが「見てきて」と言ってたから来たんだよ」

「そっか・・・そろそろ寝ような」

「うん!!!」

また悪夢を見るんじゃないかと思っていたが朝までぐっすり眠れたようだ

今日はおふくろの計らいで休みになった

娘っ子2人は義理母が面等見ることになった

久しぶりの一人だ

家の中が静かだ

久しぶりに駅前へ行ってみようと思った

いつもなら3人娘を連れて散歩なのだが今日は一人だ

大通りはすごい交通量だ

朝の散歩はいいもんだ

やはり駅前付近になると人が大勢いる

ふと・・裏通りを歩きたくなってきた

普段、駅前も行かないが裏通りも行っていない

本通から裏通りの角を曲がった時に軽いめまいが起きて座り込んでしまった

「やはり疲れてるんだな」と起き上がった

ふと目の前を見ると小さな男の子が勢いよく車道の方向へ走っているのが見えた

車道を見るとトラックがこっちへ走ってきている

こりゃあかん

思わずその子のところへ走っていき腕を掴んで歩道側へ引き寄せた

「飛び出したら危ないだろ」怒鳴ってその子の頭を叩いてしまった

その子は大きな声で泣き出した

し、しまった・・・叩いてしまった

自分の子供たちでさえ叩いたことはない

それを他人の子の頭を叩いてしまった

遠くから怒声が聞こえてきた

ふと振り返るとすごい形相をした若い男が私の胸ぐらを掴んで体を揺らした

「おい!!てめぇ!俺のガキに何したんだよ!」と大きな声で私の体を揺らした

「いや・・そのぉ・・」

胸ぐらを掴まれ体を揺さぶられては声が出ない

「見てたぞ!可愛い俺のガキを叩きやがってよ!!!」

「いや・・その・・・」

「おい!なんか喋れよな」

そんなに体を揺さぶられては声が出ない

やっと胸ぐらを掴んだ手を離した

揺さぶられている間は目を開けられなかった

その子の親らしき顔を見た

リーゼント頭

チンピラ

思わずギョッとなった

とんでもない奴が来たなと思った

ふと見ると女性と小さな女の子が立っていた

恐らく男の子の母親だろう

その女性をよく見た

どこかで見たことがあるような・・・

小さな女の子も見た

かわいい洋服を着ていた

顔がキリリとした可愛い感じ

え・・・小さい女の子をよく見た

どこかで見たような・・・

目鼻くっきりとした顔たち

ええ・・・?????

F子?

手には人形を持っていた

その子の母親もよく見た

ええ・・・おふくろ?

若い時のおふくろだ

痩せてる・・・いや・・今も・・・やめとこう

リーゼント頭

「てめぇ!!!ガキが痛がってるじゃんかよ、どうしてくれるんだ!!!」

「いや・・・その・・・」

すごい形相

思わず小便が少し漏れた

オヤジの怒り顔を初めて見た

すごい形相だ

「おい!!てめぇの名前を教えろよ!住所もな、今から殴り込みに行くからよ、てめぇの親を半殺しにしてやるぜ」

「え・・・それは・・・」

少し視線をそらした

小さい女の子が見えた

ジッと私を睨みつけてる

目が違う

いつもの優しいF子の目じゃない

「にいちゃん、にいちゃん」と小さい声で男の子の背中をさすっていた

またこっちを見た

目が完全に恨みの目に見えた

(絶対に許さないから)

と頭の中で響いたように感じた

全身がだるくなり座り込んでしまった

しばらくしてから起き上がった

もうあの親子たちはいなかった

一体何なんだ

もう少し休憩してから家へ帰った

少し気分が悪い

ソファに横になった

「ただいま!!!」

大きな声

F子の声

「いるじゃん、アニキ、返事してよね」

「え・・・あぁ・・・」

いつの間にか寝てしまったようだ

もうお昼すぎだ

「お、珍しいな」

「あ・・今日はおふくろの計らいで休みにしてもらったんだよ」

「そっか」

私はF子をじっと見ていた

「あ!!アニキ!何見てるのよ、キショ」

「いや・・・」

「アニキ、あんまし見ないでよ、バッチイんだから」

「あ・・・」

「あのな・・今朝な・・・」

私はF子とS君に今朝のことを話をした

「え・・・あのときの」

「そうだよ、やっと頭を叩いたやつがわかったよ」

「まさかね・・・」

「そう、そのまさかだよ」

「それとな、小さい時のF子の目はあれは・・・」

「アニキ・・・私、少し思い出したかも・・・たしかにその人に対してもしかしたらそういう目をしたかも・・でも・・う・・ん・・・」

「まだ・・・F子は・・・恨んでる?」

「いや・・アニキ・・・それはないよ・・・」

「不思議といえば不思議かもな・・・」

夕食時に朝の出来ことを話をした

「え!!!パパ、それほんとなんだぞ?」

「そう、自分でも不思議な気分だよ」

「せがれよ・・・夢を見たんじゃねーのかよ」

「いや、夢じゃない、裏通りに行ったら軽いめまいがしたんだ

そしたら・・・目の前に小さい時の俺がいて小走りで道路に出るところだったんだよ

手を引っ張ってそして気づいたら叩いてた・・・」

「せがれ・・・自分の手で自分の頭を叩くとは・・・」

「パパ、叩いた相手がパパとは・・・ちょっと・・」

「せがれよ、小さいせがれを助けてくれてありがとな・・って・・感謝して良いのかな」

「複雑だよね、パパ」

「そう・・・」

「F・・私からもありがとね、はっきりとわかったから今は感謝しかないよ」

「そうだな、せがれよ、ありがとな、痛かったろ・・・」

「オヤジ、あのときにオヤジは「半殺しにしてやる」と言ってたけど・・・半殺しにする?」

「え、いや!・・・でも・・・若い時の俺が今、現れたら半殺しに合うかもな、もう今じゃ体力も早々にないしな・・リーゼント時代の俺ならなにをしてかすかわからん」

全員が大笑いになった

「せがれよ、ごめんな、胸ぐら掴んでよ、暴言吐いちまった・・・」

トントントン!トントントン!

玄関の戸を叩く音がした

((おい!!!出てこい!!!俺のかわいいガキを良くも叩きやがったな!半殺しにてやる!!、出てこい))

玄関から大きな声がした

一同、目が点になった

「え・・・オヤジ・・・」

「おい・・マジかよ、あの声は若い頃の俺の声だぜ・・・」

「どうするんだよ、おやっさん」

「いや・・出ていったら確実に殺られる・・・どうしよう・・」

「あんたさ・・いつもながら、勢いで何でもしゃべるからだよ、責任取って玄関へ行きな」

「え・・いや・・リーゼントとは戦いたくない・・・」

「何を言ってるんだい!あんたがあんたを呼んでるんだよ、早く行きなよ」

「嫌だ!」

「オヤジ・・・」

しばらく様子を見ていたが二度と戸を叩く音や大きな声は聞こえなかった

一体何なんだ

「びっくりしたぜ・・・一体ありゃなんだ」

「さぁ・・まさか、本当に若い頃のオヤジが殴り込んできたんじゃないかな」

「おいおい、やめてくれ・・・」

「じいちゃ、冗談抜きにしてしばらくはまわりを見てないとダメかも」

「え・・楓ちゃん」

「あのね、今さっきの怒声、ここにいる全員が聞こえたんだよ、若い時のじいちゃの生霊が今頃出てきたんじゃないかな・・・じいちゃ、相当怒ってたでしょ、それが生霊として時空を超えて、今、来たんだよ、きっと」

「う・・・たしかにせがれを叩かれたんで怒りはMAXだった」

「なら・・家に居たほうが良いぞ、オヤジ」

「じいちゃ、1週間ほど家の中に居たほうが良いよ」

「やめてくれ・・・1週間はきつい」

「オヤジ、朝は2人娘の面等を見ててくれよ」

「仕方ない」

次の日からオヤジは大人しく1週間、家の中に居た

Concrete
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