退屈極まりない状態に追い込まれている。
もう同じ仕事を何年もやっている為、特に苦労をすることもなく単調な日々を過ごしていた。
新しく覚えることも殆どないのではなかろうか。
この先もずっと同じことの繰り返しなのだろうか。
ある意味では贅沢な悩みなのかも知れない。
食うか食われるか、明日は我が身のこの世界で、こうして無事に過ごすことが出来るのだから。
そんなことを考えながらも午前中の仕事も一段落した為、休憩所へ向かった。
既に見慣れた顔ぶれが揃っている。
お弁当を食べる人、仮眠を取る人。
皆も俺と同じような日々を送っているのかな、などと益体もないことを考える。
空いている席に座り、軽食を摂り回復を図る。
暇つぶしがてらにアプリゲームをすることにし、スマホを取り出した。
「あれ?」
画面のアイコンが左右にフルフルと震えている。
知らぬ間に長押しでもしたかな?と思い、操作するも反応しない。
確かにそれほど新しくもないが、壊れるほどか?と内心ガクッときた。
すると勝手にホーム画面がスライドされた。
背筋にゾクっと悪寒が走った。
なんで勝手に動くんだよ。
右下に今まで見たことのないアイコンがあることに気づいた。
そのマークは黒ずんでおり、何のアプリかが分からない。
こんなアプリ取ったか?と過去の記憶を思い返してみたものの覚えが全くない。
アンインストールしますか?という文字が浮かび上がる。
押してもいないのにどんどん進んでいく。
画面が徐々に暗くなっていく。
こんな現象人生で初めてだ。霊感だって全くと言っていいほどなかったのに。
「はい」という文字が選択されたようだ。
画面がプツっと消えた。
辺りを見回すと徐々に周囲の物や人が消えていく。
ちょっと待ってくれ。
いやだ、どうなってるんだ。
助けてくれ。
消えたくな・・・・・
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横から画面を覗き込んできた同僚が言った。
「あれ、そのアプリ消しちゃったの」
「あぁ、もうやること無くて飽きたから」
作者カバネリ