もぐもぐさん(道端怪談)

短編2
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もぐもぐさん(道端怪談)

俺の家には、餓鬼が出る。正確には家の冷蔵庫の前に餓鬼が出てくるということだ。ただ、この餓鬼はどうも曾祖父ちゃんの代ぐらいから出てきてるらしい。知り合いの坊さんに何気なく言ってみたら、「よく平気だね」と言われた。

曰く餓鬼というのは危険で頭の中は常に腹を満たすことを考えているらしく手当たり次第に口の中に物を詰め込むらしい。口の中に入る物なら無尽蔵に口の中に放り込むため人も襲いかねないとか。

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ただ家に出る餓鬼はどうも冷蔵庫に入ってるものしか食べないらしい。

・余ったおかず

・ヨーグルトやプリン

・漬物や梅干し

・バナナやりんご

・ラッキョウや福神漬け

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因みに料理好きの父母はこの餓鬼、通称もぐもぐさんを最初に見たときは恐怖で何もできなかったらしいが、その餓鬼が自分等の作った料理を美味しそうに食べてるのを見て満更でも無かったらしくもぐもぐさんのことは放置になっている。おかずも食べ切れないほど作って置いておく習慣になった。

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因みにもぐもぐさんはこの家の半ば守り神的な存在になってるらしく、家の隣に畑で野菜を作っているのだが夜になると野菜を持ってく泥棒が出る。が、もぐもぐさんが脅かして撃退してくれるのだ。かくいう俺も赤ん坊の時に中々泣き止まない子だったらしく困り果ててた時にもぐもぐさんがうっすら現れてあやしてくれたりしたらしい。

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他にもうちには生ゴミや残飯が殆ど出ない。というのももぐもぐさんがいつの間にか食べてしまうからと両親が言ってた。ただ、所構わず食べるわけではないとか。そこは詳しく知らない。今はもぐもぐさんは昔より小さくなってきている。知り合いの坊さん曰く「このまま食べ続けていけばどんどん小さくなっていつか成仏する」とかなんとか。

でも、成仏するのは当分先だとも言っていたので暫くはもぐもぐさんの居る生活を楽しもうかと思ってる。

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『いいね』的な意味で『怖い』押させて頂きましたが(笑)、なんとなく可愛くも感じるお話ですね(´艸`)

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