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中編3
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誤認

1ヶ月近くの出張が終わり、車でいそいそと自宅へ向かった。

ようやく見えてきたが俺は3階建てで目の前に駐車場があるアパートに住んでいる。

左右に部屋が分かれており、全部で6室しかない手狭なアパートだ。

無事に到着し車を止めようとバックしている際に、なんとなくだが後ろから視線のようなものを感じた。

バックミラーに目をやったがそこには誰も映っていなかった。

気になった俺は車から降り、右側1階の部屋の出窓から室内を覗いて見たが誰もいなかった。

それはそうだ。

先月末に俺の階下の住人は引っ越しおり、もぬけの殻だ。

なんだ気のせいかと思い、特に気にせずに左側の2階の自宅へと帰った。

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翌日、仕事が終わり、特に何処にも寄らずに直帰した。

顔を出して駐車スペースの区画線をみながら車の向きを上手く並行に合わせていく。

首を引っ込め左側をサイドミラーで確認しようと視線を移動させている際、一瞬バックミラーが視界に入る。

居た。

確実に。

部屋の中に。

人の形をした何かが。

バッと後ろを振り返ってみたが、そこには何もいなかった。

また、見間違いか?

部屋の中に何かがあれば、それを何かと見間違えている可能性はある。

俺は恐る恐るその部屋へと近づく。

・・・何もいないよな。

隠れてるのか?と思い、薄暗い目を凝らして覗き込んだが、フローリング上の一室と半開きのクローゼットがあるだけに過ぎなかった。

何も無いのに、何を人型だと認識してしまっているのだろうか。

なんだかモヤモヤするけど気のせいだと自分に言い聞かせて引き返そうと思った時、人が立っていた。

ドクドクッと心臓の鼓動が一瞬で最高潮となり、かなり焦ったがそれはお隣さんの姿だった。

やめてくれよ・・・と内心毒づいたものの、とりあえずニッと笑顔を振りまいた。

険しい顔で俺を見つめていたが、そのまま素通りで自宅へと上がっていってしまった。

はたから見たら、完全に不審者だよな。

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ある日彼女とドライブデートをした帰りの道中で翌日も休みの為、そのまま泊まりで来ることになった。

善悪は置いといて、ちょうどいいタイミングだと思い、駐車する時にバックミラーを見続けるように彼女にお願いをした。

訝しがっていたが、彼女はずっとバックミラーを見てくれていた。

理由を話した時には実験台にされたとちょっと怒っていたが、人影らしきものは映っていなかったとのことだった。

ただ、俺の話が気になったのか一緒に部屋を覗き込んだ。

やっぱり気のせいだろうということで話が終わろうとした時に

「こんばんは、〇〇さん。どうしたんですか?お二人揃って、めちゃめちゃ怪しいですよ」と

同じアパートの人に声を掛けられた。

「あ、〇〇さん、こんばんは。確かにかなり怪しく見えますよね。ただ実は、、、」と俺は事の経緯を話した。

「へぇ、人影を感じるんですか。霊感とかあったりするんですか」

「いや、あんまりそういうのはないと思うのですが・・・」

「勘違いっていう可能性の方が高そうですが、一回気になってしまうと止まらないですよね」

「そうなんですよ。この部屋が事故物件とかだったりしたらまだ分かるんですが」

「やめてくださいよー、これ以上増えたら流石に住み続けられないですよ」

「はい?」

「いや、3週間くらい前にこの真上の階の人、自殺したじゃないですか」

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