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左耳をちぎられて iPhoneを確認すると午前2時。
いったい何が起きたのか確認するまでに止血しながら3分間ほど必要であり、
幽霊に取り囲まれていることに気づいた頃にはさらに右手指が4本切断されていた。
5人家族だけれど今は 大阪で一人暮らしなのであまり関係ない。
とにかく必要なのは命を守ること。
とはいえ思考している間に左腕が切断されていた。
知らない何かが私の身体を刻んでいる。
この物理的かつ意味不明な状況を飲み込むことができないまま、右脚が爆発した。
スネのあたりから先が骨と血管の形のままに部屋の壁に散らばっている。
幽霊はぜんぶで7人ほど。
ひとりのおっさんがこう言った。
「ノストラダムス来る 来る来る 来た? まだ?」
おそらく99年くらいに死んだおっさんだ。
もうひとりのおっさんはこう言った。
「常識的に考えてもう2012年で終わりだよね
終わり 終わり 終わり」
おばさんと女子高生は殴り合いながら次のような主張をしていた。
ババア「あんたたちが未来を夢見てないから そのせいで地球が終わるのよ」
JK「知るかくそが! 終わって何が悪い!」
おじいさんはひとりで 蕎麦を打っていた。
包丁で切り揃えた麺をゴミ箱に捨てては
また蕎麦を打っていた。
ひとりの少年が きっとまだ3歳くらいの少年が
何かのスイッチを持っていた。
「これは何も無いことになるためのスイッチ。
いつかあなたに必要になるもの」
と、私に語りかけた。
すでに体のほぼすべてがミンチにされているところで、
隣にひとりの、両方の肩甲骨が肉を破って突き出して鳥の翼のようになっている少女が来て、こう尋ねた。
「いったい何のために?」
「何も無いことになるために」
すると少女は
「あいつは嘘つき。
ぜんぶ、どこまでも残るんだよ。
お前が殺した私のことも」
と言って、大腸だけをその場に落として飛び去った。
寂しさが歌う夜には、
怪談達が歩き出す。
作者肩コリ酷太郎
たまにはこんなものを