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短編2
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アパート怪談

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数年前まで、

築30年ほどのアパートに住んでいた。

色んなことがあったけれど、エピソードの前に豆知識をひとつ。

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物件を選ぶ際に『告知義務』という文言を耳にすることは多い。

燃えている物件なら大島テルのサイトが代表例だけれど、

いわゆる「事故物件」について、

不動産業者は「特定の条件」がある場合にそれを顧客に開示する必要がある。

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もう今では常識だから誰でも知っているだろうけれど、

自殺や他殺などによる死亡事件が入居の”直前”に起きていた場合は告知義務がある。

逆にいうと、ひとりめが殺された部屋でもふたりめが普通に入居してまた越した場合には、告知義務は消える。

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さらに言うと、

老衰を含めた病死、事件性の無い事故死などに関しては告知義務は無い。

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さて、ここからは実体験。

怪談というか、

あんまり風水とか気の流れとか信じてこなかったけれど、

もしかしたらそういうのあるのかも? という。

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私の住んでいたその線路沿いのアパートでは、まず、

踏切の向こうの一軒家からつねに若い女性の叫び声が聞こえていた。

なんらかの病気なんだろうなと思っていた。

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その後に、向かいのマンションの住人(たぶん若い男性)が、

毎朝よくわからない言語で数分間、叫ぶようになった。

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次第に、私の住んでいる部屋の両隣の住人が、

たまに泣き叫んでいる声が聞こえ始めた。

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いったい何が起きているんだろう?

ずぅっと不安なまま暮らしていたら、

ある夜、自分の部屋のドアノブにビニール紐を結んで、

首を吊っていました。

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気づくと視界が白くなっていて、

偶然すぐ近くに工作用のハサミがあったので助かったけれど、

あのままどこか遠くへ消えていた可能性がある。

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H市・K線沿いの話です。

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