幸運に恵まれ、立派な体躯と冴え渡る頭脳を持ち合わせたケビンでしたが、流石の彼も寄る年波には勝てず、だんだん弱ってきました。
父から連絡を受けた私と娘が駆けつけた時、かかりつけ医の処置を受けているところでした。
「ケビン!ゆ〜やで⁉︎分かる⁉︎」
深い呼吸をするケビン。
「なぁ!ケビン?あんたまだ15年しか生きてへんやん!もっと生きなあかんで!」
四肢を突っ張り、痙攣し• • •
「なぁ、返事して?いっつもみたいにワン!ゆぅてぇな!」
すると娘が静かに言いました。
「ケビンのお友達のおじいちゃん、ケビンの体、なでなでしてるよ?」
「ケビン、笑ってるよ。」
和田さん?
和田さんがケビンを導いてくれているのか。
院長がケビンの目を伏せるように撫でた瞬間、自宅の置き手紙を見た主人が飛び込んできました。
「• • • ケビン• • • 」
「院長、ケビン、死んじゃったの?」
「21時20分、ご臨終です。」
立ち上がる父。
「皆さん、ありがとうございました。ケビンは今、息を引き取りました。ケビンは• • • 幸せやったと思• • •」
声を詰まらせる父に代わり弟が震える声で言いました。
「次生まれ変わってもウチにおいでな。」
「皆でケビンの冥福を祈ろう。」
皆で合掌したその時。
ギシ• • •ギシ• • •
またあの足音がしました。
ケビンは安らかな顔をしていました。
◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
ケビンが他界して一年。
素晴らしい晴天の休日、お墓参りに行き、帰りに実家のケビンの仏壇にもお参りしました。
「ケビン、お墓参りいってきたよ。」
「ケビンの好きなジャーキーやで。」
「さ、手ぇ合わせてね。」
心の中でつぶやきました。
和田さんの気配は感じませんでした。
きっとケビンと共に天国へ旅立ったのでしょう。
ご拝読ありがとうございました。
作者ゆ〜
皆様、和田さんシリーズをお読みくださりありがとうございました。
ケビンの一生を通していろんな人との出会いや、学んだ事も沢山あり、彼に関する思い出は沢山ありすぎて、どれもキラキラ輝いています。
私達家族がいつか虹の橋を渡る時、ケビンが待っていてくれる、その時まで一生懸命生きよう、そう思います。
もちろん、和田さんには沢山お礼を言いたいです。