今から20年ほど昔の話です。
俺と友達のA・B・Cはガキの頃からの友達である。
いい事も悪い事も全て共有してきた。
夜中の学校に侵入し窓ガラスにガムテープを貼り付けタオルを重ね音の鳴らない様に金槌で窓ガラスを割って校舎に侵入。
そこからはトランシーバーを使い連絡を取りつつ警備員の目をかいくぐり理科室へ。
準備室にあるマグネシウムの塊を盗む。
実験で解っていたが高温のマグネシウムと酸素&水と化合して爆発するという、、、花火というか実験をしたかったのである。
結果はプールの水槽にヒビ割れを入れ水柱を発生する爆発を起こした。
さらにセコムのおっさんに捕まりそのまま警察に確保。
無期停学をくらう。
毎日反省文を書きそろそろ退屈を持て余した時に友達Bから提案が来た。
B「もう限界だ。このままでは精神が狂う。」
C「けど悪いの俺達やん。」
A「被害者なだけのヤツもいるしな。」
B「まさかあんなに大爆発するなんてな(笑)」
全員「イヤイヤイヤイヤ!B。燃やしたらマグネシウムは水を酸素と水素に別れて激しく燃えるって授業やったやろ?」
B「花火の原料にたしかマグネシウム、、、」
俺「駄目だ。話にならない。授業寝てる奴に説明しても無駄やな。」
B「毎日反省文、、、こっそり抜け出してゲーセン集まってるけどもうええやろ?」
A「何が?」
B「毎日反省文を書いてるけど先生の電話は9時以降にはかかってこない!だから10時くらいに集まって遊ぼ〜や〜」
C「俺パス‼︎親父に殴り殺される寸前やったから…ていうか親に骨折するまで殴られた俺は被害者。」
皆で頭を下げながら合掌する。
C「馬鹿にしてる、、、ていうか笑ってるやん!」
B「悪い悪い。ま、Cは親父さんヤクザより怖いから今回だけはパスしとけ。とにかく夜中の校舎はマズイなら、、、違うトコ侵入しよう!」
A「こいつにトランシーバーで遊ぶの教えた奴が悪い。誰やねん、、、」
俺とC「すまん。ボーイスカウトで使って楽しかってん。まさか校舎でスパイごっこするなんてな。」
B「こちらB!!警備員がそっちに行く!どーぞ!に皆笑ったやん。スパイちゃうし傭兵やし。ま、夜10時に集合な❗️」
と、くだらないいつもの会話をして解散。
本当ならここで先生に捕まるか親に止められるべきだったのかもしれない。
夜10時に集合した俺達はBの案内で目的地まで行く。
ここか!
思わず心の中で呟く。
学校の裏側にある高速道路の高架下にある公園。
B「第一回!Bの使いやあらへんで‼︎チキチキ怪談大会〜in殺人現場〜‼︎」
A「お前アホやろ?学校違うけど俺が行ってる学校やしガチの現場やろ?ここ。」
俺「俺が一番先生に捕まる確率高くなったな。B!俺はお前の息の根を止めればいいんだな?」
B「俺...本当なんか?ここがガチの殺人現場って。」
指をゴキゴキ鳴らす俺。
俺「お前の現場になるかもな。確かにここは殺人現場、、、正確に言うと死体発見現場な。ここに小学四年生の女の子が死体遺棄されててん。」
B「なるほどな。ではお誂え向きの現場で怪談始まり始まり〜。俺から言うな。」
無理に喋り出すB。
いつもと違う雰囲気だ。
急に静かになり高速道路を走る車の音だけが聞こえる。
B「俺、、、高速道路の下で遊んでた事あってん。
あそこの木の影の所エロ本落ちてるやろ?ちょっと物色しにな(笑)
色々見てたら女の子がおってん。
高架下の遊具で遊んでた。
ランドセルあったから小学生やわ。
そしたらおっさんが近寄ってな。
喋りながら女の子と一緒に帰って行ってん。
あぁ。お父さんか知り合いかな〜って思いながら木の影からそれを見ててん。
そしたら数日後に事件あってん。」
それは怪談口調ではなくまるで教会に懺悔の告白をするような静かでいて空気の重くなる言葉でした。
泣き声に近くなりながら喋り続けるB。
俺「Bもういい!やめろ!」
A「お前の見た子と死んだ女の子は一緒とは限らないやろ?気にし過ぎやで。」
B「まあ、聞いてや。偶然やけどこの前なおっさんに会ってん。すごいブツブツ呟いてた。たぶん父親ではなかったみたい。」
俺「お父さんなら子供死んだらおかしくなるって。」
B「せやろな。けどおっさんな、、、『あ〜気持ち良かったぁ〜。気持ち良過ぎて死ぬわ』って笑いながら呟いてるねん。」
背中に氷を入れられた様に全身に鳥肌が立ちゾッとする。
A「なんでここで怪談しようとしたかわかったわ。罪悪感やな。ここに棄てられた女の子に謝りたくてここ選んでんな。」
B「.......あぁ、うん。」
俺「なんもB悪くないやん。むしろお前優しい奴やな(笑)もしかしてロリ?」
B「多少な(笑)」
笑いたいが笑えず沈黙が流れる。
A「帰るか、、、」
無言で頷き解散する。
後日、俺とA、そして夜中抜け出せなかったCは後悔する。
Bが笑っていたから大丈夫だと思い解散したがその後Cに電話があったらしい。
内容はこうだ。
C。起きてたか?Bやねんけどな。俺、皆の前で本当の事言われへんかってん。俺な殺された女の子と俺がおっさんに付いて行った女の子が一緒なんわかってる。
現場に行く度に女の子の幻が見える。
こっちジッと見てる。
幽霊なんて信じてないからな。きっと俺精神的に参ってる。
あの時、プールでマグネシウム爆発させたんな理由あるねん。警備員のおっさんと女の子連れ去ったおっさんな顔似ててん。
そしてブツブツ言いながら懐中電灯で俺を照らした時な、、、
『あっ木の影でエロ本見てた子や』って言ってん。
俺そんな毎日エロ本拾いに行ってないしな(笑)
俺笑いながら追いかけくる警備員が怖くて皆呼ぶ為に爆発させてん。
まさかあんなになるとは思ってなかったけど(笑)
その後も街で、家の近所で、家の周りで、、、おっさんとやたら目が合うのが増えた。
いや、確実に向こうから寄ってきてる。
俺な、妹おるねん。
腹違いやけどな。
半分は父親の血が同じやねん。
母親の事は嫌いやけどな。
妹は可愛いねん。
ゴメンな。
と、電話は切れたらしい。
警備員が本当に犯人かはわからない。
Bには女の子が見えたのだろうか。
真相はわからないがBはそれからしばらく経ってから俺達の前からいなくなった。
作者パグ太郎