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中編7
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蟲〜呪〜

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大学2年の晩秋

大学の必修科目を殆どサボり、選択科目の授業は出ていた時のこと。

E(※ある人との出会い-3-参照)という子と会い、色々と話をすることになった。

当時の私は、ある人達からイジメを受けていた。その時に解決してくれたのが仲裁役のEで、何が不満でそういうことをしたのか、何を言いたかったのかを明確にさせ、穏便に話し合いを持ちかけた人だと思っていた。だが、EもEでその時の話し合いで私に直接不満を言ってきた人だ。ただ、話し合いと言っても多勢に無勢。逃げられないような場所で話し合い、言いたいことを直接ぶつけられ、最後に言いたいことはあるかと言われても、ないと答えるしかない状況だった。

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その話し合いが終わり、普通にしていても、無視されイライラしていたら私にぶつけるということをされ、機嫌がいい時にだけ仲良くされていた。そんな訳で私は、仲が良かった人達から孤立してしまい、一人になった。仲が良かった人達には、極力近付かないようにしていた。イジメた人が私と仲良くしていたグループに入ったからだ。Eは最初からそのグループにいた。

大学という場所で、同じ学年で同じ学部、その上、同じクラスなのだ。授業の時もご飯を食べる時も、一人。何百人という人の中で、一人にさせられる。授業に出なきゃいけないのは分かるけど、孤立させられる環境では、到底、学ぶものも学べることが出来ない。実際は、まだイジメが続いているのだった。

Eは、まだ程々に話が出来る相手だった。ただ、もうあまり良い印象は持っていない。状況に合わせ、人に合わせ、立ち回りが非常に上手い人だった。あの状況に何故便乗出来たのか、分からない。

でも、まだ私からしたら、Eはまだ冷静に話ができる相手でもあった。新しい彼氏とどんなことをしたのか、また、どんな人でどういうことをしてくれるのかを、バカ正直に話してしまった。

嘘は付く必要はないと、思ってしまった。

久しぶりに一人じゃない環境を味わいながら、ホッとしてしまったのだ。

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E:「それで、どんな人?」

私:「うん、包容力があって、優しい人かな」

E:「いいねー、あたしの彼氏は全然ダメ」

私:「まー、仕方ないじゃん。好きなんでしょ?」

E:「まぁねー。他は?」

私:「うーん、甘えさせてくれる人、かな?」

E:「ふーん…」

私:「でも、ちょっと怖いことがあった。」

E:「え?」

この時、Hさんと付き合ったキッカケ(※ある人との出会い-1〜4-参照)を話したのだ。

私の実家のことや私自身のことも…。

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E:「そっかー、怖い思いしたんだね」

私:「うん。」

E:「あたしの実家のO県で、氏子やってるんだよね」

私:「そうなの?」

E:「何か怖いことあったら言いなよ?」

私:「うん、ありがと」

そうして、話が終わった。

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数日後、彼氏であるHさんとお泊まりデートをしている時、異変が生じる。

H:「誰それ。」

私:「誰って…?」

H:「後ろ」

私:「?」

後ろ?

私の後ろに、誰がいるの?

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H:「…ちょっと、別の部屋に行ってて。」

私:「うん…」

しばらくすると、ノックが聞こえ、彼に来た。

H:「大丈夫。いいよ。」

私:「そっか。」

H:「やけにすんなり帰ったけどな。ムカつくくらい礼儀正しかった子が一人いたけどね。多分、その子達は今日の夜、うなされるだろ。」

私:「…そっか。どんな人達だった?」

H:「二人ともメガネかけてて、一人は普通の身長。もう一人は小柄の人」

私:「え…。」

H:「…誰なの?」

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知られたくない。私自身、放って置いた部分もあるから。あと2年も続くのだから、お互い、極力関わらない方がいいと考えていた。

恐らく、礼儀正しいのはyの方だろう。容姿は小柄でメガネをかけている。頭の回転が早い上に礼儀は行き届いており、大人受けは良い。

彼女達は、何を話したんだろう…

彼に全て話を聞いてもらった。

イジメのキッカケ

イジメの経過

イジメのピリオド

そして、今の現状

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黙って話を聞いていた彼は客観的に指摘する。

H:「それさ、牡丹の言葉に対して、過剰に反応しただけだよね?」

私:「…そうかもしれない。けど私は、思ったことを感じたことをそのまま言っちゃうから。」

H:「あー…なるほどな。ただ、その過剰に反応したことは、ちょっと異常だね。」

私:「そうなの?」

H:「普通、気に止めない。放っておいて、距離を取ったりするものだけど。あと、言われるのが嫌なら、その場で怒ればいい。それに、終わったことは終わった。なのに、何で今も引きづるんだ?」

私:「…分からない。」

H:「どっちもどっちだ。今の状況を放っておいてる牡丹も悪い。だから憑いてきたんだからな。」

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そうだ。私も私で悪いところはある。もしかしたら、知らない間にたくさん傷付けてしまっていたのかもしれない。だから仕返しと言わんばかりにイジメられ、こんな現状を作りだしてしまった…

H:「悪いけど、写メとかある?その人達の」

私:「あるけど、何で?」

H:「憑くのは良くない。いちいち祓うのも嫌だし、また憑いても困るから。祓う憑くの繰り返しはしたくないから、さっき見た子達なのか確認しておきたい。」

私:「…ツイッターやLINEのアカウントに写メがあったかも」

主にイジメている人は、Fとyだが、仲裁役のEのことも話し、Eのことに彼は反応した。

Fは、LINEのアカウントから見つかったが、yは、見つからなかった。特徴を言ったら理解してくれたけれど…。

H:「Fっていう子、冴えないね。」

私:「毒吐かないの。」

H:「…さっきいたの、この子達だよ。」

私:「…そっか。」

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H:「Eっていう子の写メは?」

私:「確か、ツイッターにあるよ。」

H:「…見して。」

私:「はい。」

ツイッターを見せると、顔をしかめた。

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H:「…悪いけど、その子は気持ち悪い。」

私:「何で?」

H:「顔中に蟲がいて、蠢いている。」

私:「嘘でしょ?だって普通の写メだよ?」

H:「…だって、その子、写メの中でも蟲が蠢いている。あの一瞬の瞬間に。写真、ていうのは、どうしても誤魔化せない一面が滲み出る時もある。その写真の中でも蠢いているなら、相当な数の蟲がいて、本来の顔が見えてない。顔以外にも、蟲で埋まっているとしたら、相当な数を他人にばら撒いたりしてる。本人の意思に関係なくね。その子がいるだけで、誰かの悪口のオンパレードにだってなる。…心当たり、あるだろ?」

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…あることはある。しかも相当ある。

H:「あと、Eっていう子の彼氏は、もろにその子の影響受けてる。顔が老人になるアプリを使って撮った写メだけど、顔の中央に、大きなムカデがくっついてて、動いてる。Eっていう子と付き合い始めて、イライラすること、多くなってるんじゃない?」

私:「何で、知ってるの?」

H:「…その子の一番近くにいるから感情まで影響受けている。」

私:「そうなんだ。」

H:「ごめん、写メ消して。」

私:「分かった」

グロッキーにさせてしまった為、早々に消した後、私達は寝た。

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その夜、私は、うなされていた。

私は覚えてない。が、目覚めが気持ち悪く、変な夢を見た気がした…

私がうなされていることに気付き、彼氏は飛び起きた。

窓を引っ掻く音が聞こえ始め、私が激しくうなされていく程、窓は強く引っ掻かれていく。

彼はマズいと思い、起こしたという。

起きると音は消えた。

知り合いのお坊さんのYさん(※ある人との出会い-1〜4-参照)に連絡し、状況を説明すると、驚愕してしまった。その答えは、呪いを飛ばされている、と言われたからだった。

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生まれて初めて受ける呪い

原因は、私のイジメなのに

どうして私の預かり知らぬところで、こうなるんだろう…

原因は私なのに

私に向けられた呪い

その呪いが私の元に届かず、その力が私自身に対して発揮されなくとも、その恐怖は十分過ぎるほど、私を怯えさせた。

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H:「牡丹を庇った時、壁を引っ掻く音がしたよね?(※ある人との出会い-3-参照)」

私:「うん。」

H:「多分、一気に強まったんだよ。放って置けるほど弱ったんだ、最初は。こんな風になるなら、片付ければ良かった。牡丹、お前、気付いてたよな?何でその子だと思ったんだ?」

そんなに憎いんだろうか?

私が

そんなに恨んでいるんだろうか?

私を

Eに、何をしてしまったんだろう…

専門家に言われてしまうほど、禍々しいものを受ける私は、それだけのことをしたんだろうか…

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私:「あの子のLINEのタイムラインに書いてあったから。」

H:「何が書いてあった?」

私:「あの子の昔のこと。イジメられていたけど、反撃して、イジメっ子を川に突き落とした時からだったみたい。あの子の家は、氏子をやってて、その仏壇に向かって、拝んだらある日、それが叶ってしまった、て書いてあったの。」

H:「何を願った?」

私:「家が火事になるように願ったんだって。そしたら本当に火事になって。何度か、繰り返し気にくわない人をそうやって拝んだみたい。それが妙に気になって、多分、Eかな?って。」

H:「……相当だな。急に力が強まるのも納得がいく。飛ばしているものが、まずデカい。それに、その子がその仏壇を通して、契りを交わし、呪いの媒体そのものを飛ばすとは凄いな。しかも、仏壇に向かって拝むだけで契りを交わせるようになってる。」

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H:「あと、写真が蟲だらけなのは、何度も繰り返し色んな人を呪っているからだな。本人が呪いを送る道筋を作れるし、その道筋の役割はその蟲が果たしてる。凄い数をばら撒いているんだな。」

…何それ。

伝染病みたい。

H:「牡丹の場合は、牡丹が寝ている時にそういうモノが届く道筋が出来る。その道筋を使って、呪いを運ぶが今は出来ない。俺の家にいるから届けることが出来ずにいる。牡丹の家は、今まですんなり入っていたみたいだな。」

どういうこと?

嫌なら嫌って、あの時みたいに、袋叩きみたいな感じで言えばいいじゃない…

こんな…呪うんじゃなくて、直接言えばいいのに。

それとも、言いたくないほど、私を呪いたいのだろうか…

そんな考えがぐるぐると駆け巡った。

続く

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沙羅さんの仰る通り、辛い事も時が過ぎれば笑い話になったりします(*^^*)
嫌いだと思った人も、時が経てば違う角度から見る事が出来る様になり、”嫌いな人”から”憐れな人”と、見れる様になります(*^^*)

私は未だ、本当に憎いと思える人には出逢った事がないので気持ちが分からないのですが…(^_^;)

牡丹さんが真っ直ぐに前を向き、自分の両足でしっかり立ち、歩いて行ければ…と、願います(*^^*)

人は皆、幸せになる為に生まれて来たのだと、私は信じていますから。

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これが・・例の『飛ばしちゃった』話の一部なんですね?

私の想像する『呪い』は、殺意とは別のものですね。
自らの手は汚したくないけど、相手には是非とも不幸になって欲しい。
自分だけは安全な場所に居て幸せになりたいけど、相手には地獄を見せてやりたい。
という自分勝手極まりない『想い』を指すのではないかと・・。

「こいつだけは許せないヤツ」なんて、本当は誰にも居ないと思います。
自分で、そう強く思い込んでいるだけでは?
<時間薬>というものをご存知でしょうか?
時が経てば、いずれ苦笑いで済ませられるようにもなっていくものです。

ただし、肉親が・・我が子が卑劣な犯罪で命を奪われたとしたなら、話は別ですがね。

牡丹さんが、人を憎むようなことの無いように祈ります。

追伸:昔は私にも「憎いヤツ」がいました。でも・・今じゃどうでも良い事です。

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