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ある朝、一人の女性が遺体で発見された。
現場は田舎道にある踏み切りで、遺体というより肉片?といった状態だった。
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踏み切り付近には血のついた動物の足跡が残っていたらしい。
遺体が発見されるまでのあいだに犬か猫が歩きまわったのだろう。
踏み切りで亡くなっていた人物の名は、ハルカ。
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ハルカは裕福な家庭に生まれた一人っ子。
父親は政治家で、母親は化粧品会社の社長といういわば金持ち。
生まれたときから何不自由なく育ち、欲しいものは何でも買ってもらい、好きな時間好きなことをしてきたお嬢様だった。
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ある日、両親が仕事の都合で帰ってこれないといったため、ハルカは田舎で農家をしている親戚の家へ泊まりに行くことになった。
毎日ワガママ言い放題のハルカにとって、何もない親戚の家は退屈で仕方なかった。
料理も美味しく思えず自分の家で留守番してる方がよっぽど楽だ、と親戚の家へ泊まりに来たことを後悔した。
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「あたし帰る!」
とうとう親戚の家にいるのが嫌になり、その日のうちに帰ることに。
親戚の人たちはハルカが帰ろうとするのを止めたが、言うことをきかないハルカは一人で帰れるから!と怒鳴って玄関をバン!と閉めた。
「駅までは10分で歩いて行けるし全然苦にならないもん!」
ヒールをカツンカツンといわせながら暗い田舎道を歩いた。
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「あ~ぁ、これだから田舎は嫌なのよねぇ!
虫が出るようなあんな汚い家で泊まれるわけないでしょ!
料理は不味いし!
ママがつくってくれるビーフシチューの方が絶対にいいわ!」
一人で愚痴を吐きながら駅へ向かった。
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二ャ~
足をとめると小さな黒猫が畑からでてきた。
ハルカを見つめ、かるくシッポをふっている。
「あら、可愛い~!」
黒猫をさわろうと近づくと、黒猫はトコトコ歩きはじめた。
「あ~、待って待って~」
小走りで追いかけると黒猫は踏み切りがあるところでとまり、またハルカを見つめる。
「可愛い~!あ、そうだ!」
カバンから携帯をだして写真を撮ろうとしたとき……。
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カンカンカンカンカンカンカンカン!
電車がくる合図とともに遮断機が降りはじめた。
「きゃあ!!」
いきなりバランスをくずし転びそうになる。
遮断機に手をかけ、あ~危ない危ない(笑)と安心した瞬間誰かに背中を押された。
右手が引っ張られる。
遮断機を乗りこえ線路に転がり込む。電車の光はもうすぐそこだ!
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カンカンカンカンカンカンカンカン!
「た、たすけて!」
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グシャ……。
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ハルカの体は血しぶきをあげて砕け散った……。
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二ャ~。
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「フフフ、残念ね……。
ついてこなかったらこんなことにはならなかったのに……。
すべて貴女が悪いのよ……。
あの世で自分を恨みなさい……。
行きましょう、モモ……。」
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カツンカツンカツンカツン……
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静まりかえった満月の夜にヒールの音だけが響きわたった……。
作者退会会員
大好きな猫を参考につくってみた新作です。
楽しんでもらえるかな?(笑)