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「ナオト、今年のクリスマスも一緒にすごそうね」
「サヤカごめん!
今年は仕事で帰れないんだ……」
「そんな~!」
「本当にごめん!」
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12月25日、恋人のナオトが死んだ。
灯り一つない林道を車でいく途中、ガードレールを突き破り転落したらしい。
街中はクリスマスソングで賑やか。
手をつないでイルミネーションを眺める恋人たち。
私とナオトもあの恋人たちのように幸せでいっぱいのはずなのに……。
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黒い喪服を身にまとい、お経がきこえる部屋でナオトの遺影を見つめる。
すすり泣く人やうつむいている人がいる。
きいた話では、ナオトの車の中でクリスマスケーキがグチャグチャになっていたらしい。
仕事で帰ってこれないとか言いながらも、ワガママな私の為に買ってきてくれてたのだろう。
未だにナオトがそばで笑っているような気がして涙がでてこない。
友達が私の肩をなでてくれる。
今までの思い出が浮かんでくる。
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家に帰り暗い部屋の灯りをつける。
ナオトと一緒に暮らしていたから、静まり返った部屋が寂しく広い。
重いため息を吐きながら床に座りこむ。
天井の灯りが滲んでぼやけていく。
頬から首、首から襟へと涙が流れていく。
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「ナオト……
どうして死んじゃったの……?
一人にしないでよ……」
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台所のテーブルに目をやると、白い箱が無造作に置いてあるのに気づいた。
ゆっくり立ち上がり見覚えのない箱へ近づく。
生クリームやフルーツでグチャグチャになっているのも気にせず、開けてみるとケーキが入っていた。
『メリークリスマス』と書かれたカードと一緒に。
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「ナオト……」
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涙がとまらなくなる私だったがメッセージカードを開いた途端、崩れ落ちた。
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「何なの…………コレ…………」
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『アケミ、メリークリスマス!!
俺とアケミが出逢って2年が経つね。
これからも一緒に暮らしていこう。』
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「アケミ…………誰…………?」
玄関の鍵が開き、誰かが入ってきた。
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「あら~バレちゃった?」
煙草を吸いながら土足であがり込む女。
目の前で立ち止まり私を見下ろす。
ケーキを見ながら女は喋りだした。
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「残念ね、大切な男が死んじゃって。
私も寂しいわ~
2年も付き合ってあげてた男がいきなり死んだんだから。」
…………………………
まさか、この人がアケミ?
ナオトと付き合ってたってどういうこと?!
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黙って何も言えない私を見て女は更につづける。
「まだ気づかないの?
アンタは恋人じゃなくてただの他人。
ナオトの本命はこの私。
ナオトが毎日言ってたわよ。
サヤカは気持ち悪い、あんな汚れた女いつか捨ててやる!ってね。
アハハハハハハ!」
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嘘……嘘でしょ?!
ナオトがそんなこと言うはずがない!
私は女を睨み付ける。
女はカバンから何かを取りだし、床にばらまいた。
何十枚もの写真。
ナオトが女とうつる写真。
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キスしている写真、裸でベッドにいる写真、抱き合っている写真……。
何でこんな写真が…………?!
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「コレで分かったでしょ?
もう諦めなさい、私も次の男を探すから。
じゃあね~。」
高笑いしながら立ち去ろうとする女。
ナオトとの大切な思い出が、床にばらまかれた写真でグチャグチャにされていく。
我にかえると
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私は女を殺していた。
作者退会会員
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