【都市伝説】ひとりかくれんぼ【亜種】

中編5分

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使い方

【都市伝説】ひとりかくれんぼ【亜種】

巻き戻し。

再生。

『…………。

………え？もう始まってる？

はい、みなさんこんばんはー。上田ミサキです』

（若井サクラでーす）

『ちゃんと映ってる？暗視モードＯＫ？今、家中真っ暗にしてまーす。

えー、今日はですねー。うちの両親が旅行に行っているってことでー、サクラがうちに泊りに来ています。

で、ですねー。さっきまで二人でダベッってたんですけどー。さすがに退屈になってきましてですねー。

時間も時間なんで、ちょっと怖いことでもやってみようかって話になりましてー。今からちょっとやってみたいと思いまーす。』

（はい！ミサキ先生、今日は何をするんですかー？）

『はい、サクラくん。サクラくんは「ひとりかくれんぼ」って都市伝説を知ってますかー？』

（「ひとりかくれんぼ」ってあれでしょ？

夜中、ぬいぐるみ用意してー、そのお腹の中になんか色々詰めてー、お風呂場にぬいぐるみ隠してしばらくしたら「見つけたー」って言ってぬいぐるみをナイフで刺してー、「次はアンタが鬼ね」って言ってから自分が隠れると、その後誰かが探しにくるとか……そんなんだったっけ？）

『はい、実にアバウトな説明ありがとう、サクラくん。

まあ、大体そんな感じだけど、今日はその亜種をやってみたいと思いまーす』

（亜種ってなんですかー？）

『はい、ではやりながら説明しますんでこちらをご覧ください』

――ガチャガチャ（カメラのフレームが揺れる音）

『はいでは、テーブルの上に用意したのは、ラジオ、習字で使う墨汁と大きめのお皿、それに付箋の束と裁縫針です』

（ぬいぐるみは？）

『要りません。まずは墨汁をお皿に開けて。それから、この針で指先をちょっとだけ刺します。

……。

………痛っ！

……ちょっと、アンタもやりなさいよ』

（今回、私はカメラマンですんで……）

『ったく。はい、指先から血が出てきましたー。痛い。

この血を一滴、お皿の墨汁の中に入れます。ピチョンと。

そしたらこの付箋を1枚ずつばらして、墨汁につけて真っ黒にします。

真っ黒な付箋が5枚用意したら、はい移動するよー』

――ガチャガチャ。

『台所です。お鍋の蓋を半分開けて、それからこの黒い付箋を1枚入れます。

はい終了。次行くよ』

（え、それだけ？）

『そうです。あ、アンタ足元気をつけなよ？それうちのビデオカメラなんだから、落とさないでよ？』

――ガチャガチャ。

『次は玄関です。下駄箱を半分開けて、また1枚入れます』

（終了？）

『終了。次ー』

――ガチャガチャ

『はい、というわけで、2階の私の部屋、トイレ、1階のお風呂場の浴槽の3箇所に付箋を置いてきましたー。

場所はどこでもいいんだけど、ドアとかフタとか、半分だけ開けておけておくのがコツです。

で、リビングに戻ってきましたが、最後、このラジオを何も受信しないザーってところに合わせて……』

――カチッ。ザーーーーーーーー

『数を数えます。

イーチ、

ニーイ、

サーン、

シーイ、

ゴーオ、

ローク、

シーチ、

ハーチ、

キューウ、

ジューウ。

モーイイカーイ』

『………』

（………）

『………』

（………）

『………では、行きましょう』

――ガチャガチャ。

『台所です。鍋のフタは……、

開いてます。ここじゃない』

――ガチャガチャ。

『玄関の下駄箱です。

……開いてます。ここでもない』

――ガチャガチャ。

『私の部屋。

……開いてます。ここでもない』

――ガチャガチャ。

『トイレ。

……開いてますね。ここでもない。

……最後はお風呂場ですね』

（ねえ……ミサキちゃん。これ、何がどうなってたら成功っていうか、良いわけ？）

『……ん？そりゃ当然、』

――ガチャガチャ。

『お風呂場です。

…………。

…………』

（…………。

…………ミサキちゃん？）

『浴槽のフタ、……閉まってる』

（え？さっき半分開けておいたよね？）

『……アンタ閉めた？』

（……閉めるわけないよ）

『……冗談ならヤメてね？』

（……冗談じゃないよ）

『…………。

開けておいたところが閉まってるっていうのが、成功っていうか……』

（……ねえ、もう止めよう？）

『途中で止められないよ。「見つけた」って言わないと……』

ガタガタッ

（うそ、開けるの？ヤダよ！止めよう、ねえ！）

『だから止めらんないって！』

（ミサキ！）

――バタンバタン！

――ガチャガチャ！

――バタタ！

shake

『あああああああああああああああああああぁぁああああああああああああああああああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！』

（ミサキ！ミサキ！どうしたの？ねえ！ねえってば！ちょっと！）

『や、嫌、厭ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！

誰アンタ？

見つけた！

見つけたって！

もう見つけたから！

やだ！ちょっと！

やだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！』