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あの事件後、即刻別のアパートに住んだ私達の元に義想様から連絡が入ったのは4ヶ月後のことだった。
電話では話せないので、天之真神社まで来てほしいとの事だった。
私達はナビを動かして車で2時間ほどかけて神社まで向かった。
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神社に着くと鳥居の前で義想様が待っていた。
『遅くなりました。』
義想『こちらこそお呼び立てして申し訳ありません。
あの件について全てを話します。
こちらへどうぞ。』
義想様に案内され、大きな本殿に入った。
義想『まず、あなた方と関わっていた伊吹さんは見つかりました。』
『本当ですか!?』
義想『はい。
ですがかなり衰弱しているので、ここの裏手の神の間という部屋で安静にさせています。』
『そうですか… でも生きてくれてて本当に良かった。
あの、、お会いは出来ますか?』
義想『今は会われない方がいい。
それに今日は全てを話すつもりであなた方を呼びました。』
『… わかりました。』
義想『では、話に入ります。
まずはあなた方にお詫びをしなければなりません。』
『は?』
義想『あの時、私はあなた方に正体は【因縁霊】と伝えましたが、あれは私の間違いでした。』
『じゃあ正体は?また別の霊だと?』
義想『正体は… 伊吹さんです。』
『??……え?』
義想『訳がわからないと思いますが、正体は今まさに神の間で寝ておられる伊吹さんだったんです。
その理由を話します。
あの家は最初から霊などいませんでした。
彼女が撮っていたビデオを何度も見て、何度も部屋の霊障を行いましたが、何も感じませんでした。』
『じゃあ私達を隙間から見ていたのは?
伊吹さんが隙間に消えていく姿もビデオに映ってたじゃないですか!』
義想『落ち着きなさい。
あなた方を見ていたものは、あなた方が【見られているかも】という不安が増大し、あるはずのない物体を作り出したものに過ぎません。
【幻】という言葉はご存知でしょう?
それと同じです。』
『私達の被害妄想ってことですか…?』
義想『結論から言えばそうですが、それは人間皆あることなので気になさることはありません。
話を戻しますが、正体は伊吹さんであって伊吹さん本人とは少し違います。
つまり伊吹さんから出た強い念が作り出したもう一人の伊吹さんです。
冷蔵庫の隙間も、壁に空けられた空洞に見えたものも全て伊吹さんの念が作り出したものだったのです。』
『伊吹さんは… どこに居たんですか?』
義想様の言葉を信じないわけではないが、私達は何よりも原因と真実の終着を知りたかった。
義想『彼女はご自身の事務所におりましたよ。
恐らくあのビデオが途切れた後に無意識といいますか… 戻って行ったのでしょう。』
『事務所で!?そんな…』
『私はかすかに残った彼女の念を辿り、事務所内で彼女を見つけたのですが、先程も言ったようにかなり衰弱してる状態でした。
内に秘められた力を使ったあとに見られる症状と言ってもいいでしょう。
彼女はいずれ元気になり、いつも通りの生活にもどるでしょう。
状態が安定したら会われますか?』
義想様のこれまでの話を聞いた私達は、伊吹さんが助かって本当に良かったと思う反面、彼女に対し同じくらいの恐怖を感じた。
自分達の勝手な思い込みのせいで彼女を巻き込んどいてこんな事思うのは最低であるとわかっていながら…
だけど、今は恐怖しかなかった。
『いえ、しばらくは会いません。
事が事ですし、自分達のせいで辛い思いをした彼女に顔を向ける自信がありません。』
義想『そうですか。
彼女が元気になれば、後はあなた方と彼女の事ですし、また彼女が目覚めたら念の為のお祓いはします。』
『はい。
伊吹さんにくれぐれも宜しくと、申し訳なかったと伝えてください。』
義想『わかりました。
本日はありがとうございました。
お気をつけて帰りなさい。』
私達は車に乗り、会釈する義想様に最後にもう1つ気になっていた事を聞いた。
『あの、最後に当時のニュースで私達の全住居に行った際に同じく行方不明になった学生の子供達も無事だったんでしょうか?』
義想『子供?
………… 子供などいませんでしたよ。
興味に釣られてイタズラでもしたのでしょう。
さあ、気を付けて帰りなさい。』
義想様の言葉に私は軽く会釈をし、車を飛ばした。
今後、何事も起こらないことを願って。。
作者ともすけ
前編を読んでくださった方へ。
グダグダな続編になり、すみません。
それでも読んでいただけたら幸せです。