【夏風ノイズ】除霊と焦燥感

長編13
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【夏風ノイズ】除霊と焦燥感

 今日の日のことが脳裏に焼き付いている。夏の温度が、それを更に深く刻み込む。深く、深く、深く・・・忘れないように。

 妹を殺したのは悪霊だった。それをサキから聞いた。支部が潰された。春原という能力者が俺達の前に現れた。そうだ、アイツはいったい何者だったのか・・・強かった。でも、長坂さんはもっと強かった。そして、俺の祖父は確かに強い霊能者だった。俺も休んではいられない。もっと強くなって、ゼロ達に追いつかなければ。

 超能力のコツは掴んだ。除霊のコツも掴んだ。でも、まだ操作できる力の範囲が小さい。サキが俺の能力をコントロールしているときは、そこそこの力を発揮できた。でも、いざ自分で超能力を使おうとすると、思った通りにいかない。何故だろう、俺に何か足りないのだろうか?いや、考えても仕方ないと思って、今ここにいるのではないか。そうだ、前々から目を付けていた心霊スポットがある場所に。

 今立っている海沿いの土手の下に広がる松林の奥に、一つの古い公衆トイレがある。そこは見た目からして怪しいが、実際問題はそれ以上だ。一つの強大な怨念が数多くの霊たちを呼び集め、今や邪霊の巣窟と化している。学校で聞いた話によれば、既に利用する人もいないため、荒れ放題なうえに悪臭を放っているとのことだ。しかも近くには首塚もあり、ここらでは最恐心霊スポットが二つ揃っているとしてオカルト好きの間では有名らしい。

 つまり何が言いたいかというと、俺は今から公衆トイレの悪霊を除霊する。これは依頼でも任務でもない。俺が自主的にやるだけだ。万が一除霊に失敗して俺が命を落とすことになったら、その時は仕方ない。露や鈴那たちには悪いが、死ぬ覚悟はある。

 祖父が有名な霊能者、死んだ妹の雨宮ひなは特殊な霊能力を持っていた。そのせいで命を落とした。俺は何だ?何か特別な力を持っているか?生まれつき霊感は強かった。そのおかげでひなと同じものを見れた。でも霊能力は使えなかった。

鈴那やゼロに出会って初めて自分の能力に気付いた。そして俺の中で眠っていたサキという蛇の妖怪の存在を知った。気付けば義妹の露まで超能力が使えるようになっていた。サキは俺の体を離れてからは露に付きっきり・・・いや、憑きっきりだ。俺の多重人格は無くなった。でも能力を存分に発揮することが困難になった。だから俺は一人で変わらなければならない。もっと、強い力を使えるように・・・。

   ○

 トイレは木造の小屋のような造りで、想像していたよりも広かった。ただ、外から見ただけでも怨念の強さがわかってしまう。しみ出しているのだ、黒いオーラのようなものが。

 俺は両手に念を込め、出力を最大まで高めたところでトイレの入り口付近へ向かった。

「ナンダ・・・霊能力者・・・カ・・・」

 トイレの中から声が聞こえてきた。低く掠れたような男の声、その一言一句に悪意のような念が込められているように感じる。

「そうだ、今からお前を除霊する。そこを離れるな」

 俺は両手に集めていた霊力を一気に解放し、トイレの建物全体をそれで囲った。

「クダラン・・・ソレデ、結界ヲ張ッタツモリカ・・・」

 俺は霊の言葉を無視し、建物を覆った霊力を圧縮させた。最初に強く念じて挑発を掛けたが、霊が姿を見せなかったので、一筋縄ではいかない相手らしい。だから霊のいる空間ごと除霊してしまおうと思い、建物を念で囲った。それが一番手っ取り早いと思ったのだ。

「ただ閉じ込めただけじゃない。それにしても妙だな、お前以外の低級霊どもはどうした?」

 俺がそう訊ねると、霊は「ゲッハッハッハ」と気色の悪い声で笑い言った。

「雑魚ハ、俺ガ喰ッチマッタ・・・」

「なるほど、お前にとってただのエサでしかなかったというわけか。まあ、数は少ない方が除霊しやすい」

 俺は公衆トイレを囲った念を一気に圧縮させ、更に力を強めていった。

「馬鹿ナ人間メ、ソノ程度デ俺ヲ消セルト思ウナ」

 刹那、俺の張っていた念が霊の一波により容易く破られた。

「そんなっ!」

「後悔シテモ遅イゾ人間・・・俺ガ殺シテヤル」

 公衆トイレの上には黒い渦が巻き始め、それは徐々に巨大な人のような姿を模っていった。

「フンッ、ついに正体を現したな!お前が姿を見せればもうこっちのもんだ!大人しく除霊されるがいい!」

 などと言ってみたものの、正直お手上げだ。やはり無理だった。俺はまだまだ半人前で、なんとか強くなりたくてこいつに挑んだのに、こんなあっけなく負けて終わるのだ。結果は最初から見えていたのかもしれない。それでも、俺は自分の能力を認めて欲しくてこんなことをした。こいつの言う通り、俺は本当に馬鹿な人間だ。

「威勢ダケハイイナ人間、殺ス」

 悪霊の黒い拳が俺に向かってくる。何か出来ることは無いだろうか。せめて少しでもこいつにダメージを与えられれば・・・

「グアッ・・・!」

 唐突にその声を上げたのはあの悪霊だった。見ると、黒い人型の頭部分に呪符の貼られた簡素な木の槍が突き刺さっている。

「無茶するねぇしぐちゃん。こいつは俺の大事な部下だ。テメエみてーな中級の霊にやられていい人材じゃねーんだよ」

 声のした方を見やると、松の木の上で術を発動している右京さんの姿があった。

「このまま消えろ、奥義・流星時雨!」

 右京さんの前に現れた無数の陣からは数多の閃光が降り注ぎ、それらは全て公衆トイレ上の悪霊を突き抜いていった。

「ガアァ・・・クソ、油断シタ。霊能力者メ・・・覚エテイロ」

 悪霊の消えてしまいそうな最後の言葉は、憎悪そのものに思えた。

 右京さんの術により怨念が除去された公衆トイレは、汚さは残っているものの霊的な気配は一切感じなくなった。

「よっ、しぐちゃん。あまり無茶すんなって」

「右京さん・・・なぜここが分かったんですか?」

「ん?ああ、こいつだよ。ほれっ」

 右京さんがそう言うと、俺のズボンのポケットから一枚の紙人形が飛び出してきた。

「うわぁっ、なんですかこれ」

「これはまぁ、あれだな、GPSみたいなもんかなぁ。さっき別れるとき、ちょっと気になったんで仕込んじゃった。ごめんよ」

「い、いえ、おかげで助かりました。すみません」

「いいってことよ。強力な力が欲しくて焦ってしまう気持ちも分かるけど、それに囚われると自分を見失っちゃうぜ」

 何故だろう・・・俺の心を読まれた気がする。右京さんが言っていること、全て図星だ。

「すみませんでした・・・」

「まあまあ」

 そう言って右京さんは俯いた俺の頭を撫でてくれた。

「分かるよ、その気持ちだけは。俺もそうだったからさ」

「右京さんも、ですか?」

「おう、俺もしぐちゃんぐらいの頃は、そうやって焦ってた。藤堂家はそこそこな呪術師の家系だったけど、俺の祖父の代で見える人が居なくなっちまったんだ。だから呪術師として終わるはずだったんだよ。でも、霊感の強い俺が生まれてきた。幼少期から無意識にサイコキネシスを使ってしまい、周囲の人間からも怖がられた。あ、喉渇いたな。あっちに自動販売機あるから、ジュースでも買ってどこかに座ろう」

 右京さんは海のある方角を指して言った。

「はい」

 俺と右京さんは松林を抜けた所にあった自販機で飲み物を購入し、近くのベンチに腰掛けた。

「はぁ・・・あ、悪いねぇ俺なんかの話聞かせちゃって」

「いえ、もっと詳しく聞きたいです」

「あ、そう?じゃあ、話そっかな」

 俺は右京さんの過去が他人事には思えないような気がしてきた。それだけじゃない。右京さんの話に興味があった。俺にとっても何か分かるかもしれない。そう思ったのだ。

   ○

 右京さんから聞いた話だ。

 俺には呪術を教えてくれる師匠なんていなかった。当然といえば当然だが、見えてしまうが故に危険を伴う限り、護身用としての呪術ぐらいは使えるようになっておきたかった。

 そこで俺は自分の超能力を制御しようと努力した。毎日スプーン曲げの練習をしたり、鉛筆を浮かせようとしたりして、それなりに努力してみた。しかし、スプーンは一度も曲げられず、鉛筆は一ミリも動かずで、何の結果も出せなかった。

 ある日、俺は自分の力がストレスと関係しているのではないかと思うようになった。当時反抗期だった俺は、父親に気に入らないことを言われ、ムカついてハサミを飛ばしてしまったことがあった。また、学校で気に入らないヤツのことを触れずに突き飛ばしたこともあった。そこで俺は自分にストレスがかかったときに何かを念じてみようと試みた。

 放課後、高校二年生になった俺は、世間一般でいう不良生徒だった。髪は金髪に染め、耳にはピアスを付け、授業なんかもしょっちゅうサボっていた。ある時、俺に目を付けていた学校の悪い連中が絡んできた。そこで俺はそいつらに力を使ってみることにした。結果、見事に全員をぶっ飛ばした。その中の一部は俺の下につきたいとか言い出す輩も居り、あっという間に俺は学校内の不良の中心に立っていた。その日から段々と自由に力を使いこなせるようになった俺に、もう敵など居なかった。凡人相手では圧倒的に俺が有利、喧嘩で負けたことは無く、俺は最強になっていた。

 しかしその裏で俺は恐れられ、近づこうとする者は少なくなった。そんなある日のことだった。珍しく真面目に授業を受け、放課後まで学校にいた日の下校中だった。見慣れない顔だが、同じ高校の女子生徒が何かを見て腰を抜かしていた。女子生徒と同じ方を見やると、そこにはまるでホラー映画に出てくるような髪の長い女の霊が女子生徒に手を伸ばしていた。放っておけばいいものを、何故か俺はその女子生徒の前に立ち、女の霊を除霊した。相手が低級だったおかげで簡単に消せたが、今思えば術も使えないのによく立ち向かえたものだ。

 女子生徒の名前は西園沙耶といい、俺より一つ下の学年の生徒だった。ちなみに先に言っておくと、今の俺の奥さんだ。彼女は少しばかり霊感があり、昔からたまに霊を見てしまうことがあったのだそうだ。こんなこと、俺が除霊した後に沙耶が声掛けてくれなかったら、知ることの出来なかったことだ。

 除霊してそのまま立ち去ろうとした時、後ろから彼女に声を掛けられたのだ。

「あ、あのっ・・・!ありがとうございました」

「・・・おう」

 俺は振り返り、その一言だけ言ってまた立ち去ろうとした。しかし、この子がかなりしつこかった。

「今の、霊能力ですか?すごいです!あの、うちの学校の先輩ですよね?なんかたまに噂聞きますよ!すごく喧嘩とか強いんだって」

「あのさぁ、しつけぇぞお前。邪魔なんだよ」

「あっ、すみません。でも、私すごいと思うんですよ。えっと・・・名前、何でしたっけ?」

「あ?教える必要ねーだろ。いいからさっさと帰れよ。俺の近くにいると危ねーぞ」

「え、なんでですか?」

 彼女は首を傾げた。

「・・・俺の力はたまに無意識のうちに動くんだよ。今お前がそうやって俺にベラベラ喋ってくると、俺のストレスになって、もしかしたらお前に危害を与えちまうかもしれねーんだよ。だから俺に関わんな」

「あ・・・そうなんですか。先輩、優しいんですね」

「どうしてそうなるんだよ!後輩の女相手にこんだけ暴言吐いてる俺のどこが!・・・はぁ、めんどくせぇ」

「だって、私のことを心配してそんな暴言ばかり吐いてるじゃないですか。私に危害を

加えるといけないからって・・・本当は、優しい人なんですね」

 自意識過剰かこの女は・・・そう思った。

「いやいや、別にお前のこと心配してたわけじゃなくて・・・その、問題になったら困るだろ・・・罪もねぇ後輩を傷付けたくねーし。それに、お前見た感じ真面目そうじゃん。俺の近くにいたら何か勘違いされんぞ」

「別に構いません!それで、名前なんでしたっけ!」

「お前・・・!あーもう何なんだよ・・・俺は藤堂右京。お前は?」

「は、え?私ですか、西園沙耶です!よろしくお願いしますっ!藤堂先輩!」

「いやなんで友達みたいになってんだよ!関わんなって言ったろ!」

「そういうわけにもいきません!先輩は私を助けてくださいました。なので私も先輩に恩返しがしたいんです!」

「は?いや別に何もしてほしくはねーよ。」

「何かさせてください!何でもしますから!」

「いやいやだから・・・その何でもするっての言わねーほうがいいぞ」

「へ?なんでですか?」

「何でもだ。兎に角、俺に関わるな」

「嫌です!先輩何か私にお願いしてください!えっと、すみません、名前何でしたっけ?」

「右京だぁ!さっき言ったばかりだろ!何なんだテメエは!」

「あ、すみません。私けっこう忘れっぽくて、人の名前とか直ぐに忘れちゃうんですよ~」

「ニワトリかテメエはっ!」

「えへへ、ありがとうございます~」

「はぁ?褒めてねーから!どうして褒められてると思った?大丈夫か?」

「私は大丈夫でした。先輩が助けてくださったおかげです!」

「え?あ、うん。それはよかった・・・」

   ○

「と、まぁこんな感じで、沙耶は頭がいいけど馬鹿な子だった。その後も色々関わってきて、話してるうちに沙耶がこんなことを言い出したんだ。先輩の家に呪術の資料とか残ってないんですか?ってな。それで家の蔵を探してみたら、見つかったんだよ。俺の先祖が書き残した藤堂家の呪法の資料が」

 右京さんはノリノリで話をした。

「なるほど、右京さんが本当に奥さんのこと好きなんだなってことはよ~くわかりました」

「大好きさ、本当に愛してるよ。こんな俺のことを好きになってくれたんだから」

「それはいいとして、その後資料を読んで呪術を学んだんですか?」

「そうそう、さっきの術もその資料に書いてあったのさ。あれは藤堂家の秘術、奥義・流星時雨っていうんだ。しぐちゃんにも教えてあげよっか?」

「えぇっ!?いいんですか、秘術なんですよね?」

「大丈夫大丈夫~、寧ろしぐちゃんに使ってもらいたいからね~」

 右京さんはそう言うと缶の中に残っていたジュースを飲み干した。

「ところで、明日って空いてる?」

 右京さんがベンチから腰を浮かせながら俺に訊ねた。

「え、明日ですか?空いてますよ」

「そうか~、ならちょっと俺の仕事を手伝って貰っちゃおうかなぁ。そしたら、流星時雨を教えてあげるよ」

「ほんとですか!やります!」

「よし決まり!それじゃ、明日しぐちゃんの家まで車で迎えに行くから、準備しといてね~」

 右京さんの仕事の手伝い、もしかしたら、いい勉強になるかもしれない。それにあの術・・・凄まじい威力だったが、使えるなら俺も使ってみたいと思った。

「よし、そろそろ帰るか。しぐちゃん、送ってくよ」

 右京さんはズボンの右ポケットから車の鍵を取り出した。

「あ、ありがとうございます。えっと、一つ訊き忘れてたんですけど・・・」

「ん、なに~?」

「さっきゼロと闘った春原って超能力者、何者なんですか?」

「あ~、春原は元呪術師連盟T支部の幹部で、ゼロのライバルみたいな存在でさ・・・一年前に本部へ引き抜かれたんだけど、あまりいい子では無いなぁ。歳はゼロと同じだけど、実力はたぶん今のゼロよりも上だと思う。しぐちゃんも彼には気を付けた方がいい」

「そうなんですか・・・」

 まだそんなに強いヤツが居るのか・・・ゼロたちに追い付くのも気が遠くなりそうだ。

「まぁ、焦ることは無いさ。呪術とか覚えたかったら俺が教えてやるから、何でも聞けよ。んじゃ、帰るぞ」

 また心を読まれた。表情に出てしまっているのだろうか?

「はい。あの、右京さんってテレパシストとかですか?」

「ん?いやそんなわけないだろ~、俺が使えるのはせいぜい念動力程度だよ」

「ですよね~、ハハハ」

 やはり違うか。単に勘が鋭いのかもしれない。

「人の表情を見れば、何となくその人の考えてることがわかるんだよ。こういう仕事してると、そういう技術も必要になってくるからな。必ずとはいわないけど」

「そうだったんですか、実はさっきからずっと図星を突かれてるので、テレパシーでも使えるのかなと思ってました」

「まぁ、しぐちゃんって初対面だと無表情な子に見えるけど、慣れてくると結構感情が顔に出てるからね」

「え、俺ってそんなに分かりやすいですか?」

「さぁ、大丈夫だよ」

 右京さんのその一言には違和感があった。微妙に俺の質問とずれているような、そんな気がした。

   ○

 家に着いた頃には、既に夕方の六時を回っていた。丁度夕飯が出来上がったらしく、居間からはいい匂いが漂ってきている。

「ただいま~」

「おかえりなさ~い」

「おかえり~しぐ~」

 今から二人の声が聞こえてきた。一人は義妹の露、もう一人は彼女の鈴那だ。

「悪い、遅くなった」

「いえ、丁度ごはんが出来ましたよ。どこへ行かれてたのですか?」

 露が俺に訊ねた。

「ちょっとな。あ、明日右京さんの仕事手伝うことになったから」

「わかりました。気を付けて行かれてくださいね」

「しぐ、右京さんと会ったの?」

 鈴那が俺を見て首を傾げた。

「え、うん。たまたま会ってね」

「そっか」

 流石に一人で悪霊を除霊しに行ったなんて言えない。成功したなら未だしも、大失敗して右京さんに助けられたのだから格好悪すぎる。

「しぐる、おかえり」

 不意に声のした方を見ると、露の長い髪をかき分けるように胴体を躍動させながら小さな黒い蛇が顔を出していた。

「サキ、帰ってたのか」

「おう、明日は俺様忙しいからついて行ってやれねーぞ」

「大丈夫だ、一人でも能力は使えるようになったし」

「・・・そうか。ならいいが、無理すんなよ」

 本当はまだ何もできない。今日だって失敗した。だがサキの力に頼ってばかりもいられない。俺は自分で強くなりたい。だから一人で努力するのだ。

「サキ、明日忙しいって、またゼロに呼ばれたのか?」

「いや、明日は露ちゃんと散歩するので忙しいんだ」

「あっそ・・・まぁいいや」

 寧ろ、露にはサキが付いていてくれた方が安心だ。この蛇も、胡散臭いように見えて案外信用できる。

「鈴那、一緒に居てやれなくてごめんな」

「え?いいよ~!しぐは明日お仕事頑張って!あたしそろそろ学校の課題に手を付けなきゃだから」

「そっか、ありがとう」

 俺も鈴那も苦笑した。こんな平凡で楽しい日々が、いつまでも続いてほしい・・・なんて、少し我が儘なことを心の中で呟いてみた。

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空海まひる様
はじめまして。長編は大変ですよね。頑張ってください。

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