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長編10
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幼馴染み⑧

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ブロロロ

キィ

真「…到着よ」

川「 つ、つつ、着いたんですか真子さん?!

ま、まさか、こっこっこっこっこ、ここが?!」

真「 川口くん… 相変わらずあなたはリアクションが大きいわね。

ええそうよ、ここが現場の廃校よ」

川「 な、なんか想像してたよりも全然気持ちが悪いっすね!」

真「 川口君、怖ければ別にあなたは来なくてもいいのよ。てか、来ないで頂戴。

今回の仕事にあなたはいてもいなくても一緒だから。てか、邪魔だから」

川「 ちょ、ちょっと何言ってんすか真子さん?俺も行きますよ!元はと言えば、俺の責任でもあるわけなんだし…」

稲「 ひひひ、なかなか勇気がありますね川口くん。でも北野くんが言う通りよく考えた方がいい。正直、今回ばかりは私も無事で帰れる自信はないんだ。

考えてもみなさい。もしここでみんな奴らに取り込まれてしまったなら、この事件を知る者がだれ一人といなくなってしまう。また行方不明者が五名分増えるだけだ。

こうなれば厄介ですよ…

やはり一人くらいは、車に残っていた方がいいかも知れません」

真「 そうよ川口くん、先生の言う通り。万が一の事を考えると、あなたは車に残っていた方が賢明だわ。

この娘たちが心配かもしれないけど、先生と二人でなんとかしてみせるから信用して待ってて。はいこれ」

川「 な、なんすかこの封筒?」

真「 それはもし私達がここへ帰ってこなかった場合に開けてちょうだい。その中にある番号に連絡して欲しいの。

すぐに事情と場所を教えて助けを呼ぶのよ 」

川「 はぁ… 」

ガチャ

真「じゃあ、頼んだわよ」

川「 えっ?ちょ、ちょっと!もう行っちゃうんすかー?俺こんな所に一人とかすんげー不安なんすけど!」

真「 もう川口くん!あなたちゃんとおちん◯ん付いてるんでしょ?男のくせにしっかりなさい!!

ほら美穂さんと希美さんを見てみなさいよ。怖がるどころか行く気満々じゃない!」

川「 えっ?この二人って寝てるんじゃ…

うわ、起きてるし!!つか、なんで二人ともにやにや笑ってんだよ?! 怖えーよ!」

美「 ……… 」

希「 ……… 」

川「 さっきまで眠たい眠たいって言ってたくせに、なんかスゲエ目とかギラギラさせてさ。まるで別人みたいだ… 」

真「 さっ、もう時間も時間だから早く行きましょう。美穂さんも希美さんも心の準備はいいわね? 」

美「 ……は…い 」

希「 ……は…い 」

真「 じゃあ、川口くん後は頼んだわよ。もし太陽が昇っても私達が帰って来なかった場合は必ずそこに連絡する事。分かったわね?」

川「 は、はい、分かりました!」

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ミシミシ

真「 ふう!ここは本当に古い造りの学校みたいですね。入り口が引き戸になってるのは初めてみましたよ先生」

稲「 ほっほっほ。北野くん、これはなかなか雰囲気があっていい所じゃないですか?次のお話はこの廃校を題材にしましょうかね?」

真「 それはいいですね先生!毎月連載の月刊『本当にあったかも知れない怖すぎる話』。先生のお話を心待ちにしている読者様が沢山いますからね 」

稲「 ええ、北野くん。この雰囲気を忘れない為にも少し早いですが、もうここら辺りからカメラを回しましょうか?

万が一、良い画が捉えられたら『本当にあったかもしれない心霊動画ちゃん 』の方にも売り込めますからねぇ。ひひひ」

真「 分かりました!じゃカメラ回しますね」

ジーー

真「 ところで先生。やっぱりこの娘たち二人はもうダメなんですか? 」

稲「 ええ、残念ですがもう手遅れでしょう。既に二人は自分の意識がほぼ無い状態です。 無意識に歩いているだけです。

私達二人は結界を張っているので相手からは見えていませんが、この二人は猛獣の檻の中に放り込まれた「餌」と同じですよ。

まず生きては帰れません。相手の思うツボです。ひひひ」

真「 ふふ。川口くんのおかげで作戦は順調ですね。

この二人が霊にさらわれる瞬間を映像に残し、明日の朝、川口くんに心霊番組担当のプロデューサーに連絡させてこの事件を明るみに出す。

連続失踪の謎をこのカメラだけが知っているという素晴らしいシナリオ。まさに「稲川淳二」ここにあり!!

これは間違いなく先生の時代が来ますよ!!」

稲「 北野くん。私は稲川淳二先生ではなくて、「稲河淳太 」なんですがね… 」

真「 はっ!!す、すいません!私とした事がとんでもない失敗を!」

稲「 ふっ、いいんですよ。むしろあの方と間違われるなんて光栄だ。憧れの方ですからね。

ささ、北野くん。あの方に一歩でも近づけるように今は「目の前の敵」に集中しましょう。私達だって確実に帰れる保証なんてただの一つもありませんからね!気を抜いたら負けですよ! 」

真「 はい先生!!」

ミシミシ

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男子トイレの中

ミーンミンミンミーン

ジジジジ

優「 あ、あっちいー」

亮「 ゆ、優人… ここは? 」

優「 おー、やっと気がついたんかよ亮輔」

亮「 トイレ?な、なんで俺達こんなとこにいるんだ?そういえば廃校に忍び込んで… 男子便所に引き込まれて…

あっ!優人おまえ、もしかして俺を助けに来てくれたんか?! 」

優「 そうだよ! お前を助けに来たらこのザマだよ最悪だよマジで。なんで俺までこんな蒸し風呂みたいな場所に閉じ込めらんなきゃいけねーんだよ」

亮「 おいなんだよ、俺の責任みたいに言うなよ! 元はと言えば優人がこんなとこに連れてくるからいけねーんじゃないか! だから俺は何度もやめようって止めただろ! 」

優「 ちっ、とにかくここから速えとこ脱出しねぇと干からびちまうぜ… 喧嘩すんのはそれからだ! 」

ガタガタ

亮「ダメだ!ちくしょうなんでここの窓もドアもこんなに頑丈に出来てんだよ。このガラスもいくら殴っても割れないしさ!」

優「 てか、俺を引っ張り込んだあのくそガキはどこ行ったんだよ? あいつが俺達を閉じ込めてんだから、まずあいつを捕まえないといけねーんじゃねえのかたぶん? 」

亮「 だけど、このトイレの中にはいねーじゃん。さっき個室も全部チェックしたけどいなかったし」

優「 うるせーな、分かってるよ!お前の汗だくの顔見てっと、余計に暑さが増すんだよ。あっちに行ってろよ馬鹿が! 」

亮「 そ、そんな言い方ないだろ!暑いんだからしょうがないじゃないか! いい加減にしろよ優人! 」

優「 なんだ?やんのかよ?!」

タタタタ

亮「 ちょっ、ちょっとタンマ!誰か来たんじゃねぇか? 外から足音がするぞ」

優「 …ああ、この足音は一人じゃねぇな」

ガラガラ

おい、正一!お前は今日もここで一人で遊んでろ!

「も、もうやめてくれよ… 」

おっ、偉そうに口答えすんのかよ? お前みたいなノロマはトイレの中がお似合いなんだよ。どうせ友達もいねえんだから、外で遊んでてもつまんねーだろ?ぎゃはは

「や、やめて…」

早く入れよばーか!授業終わったら開けてやるからよ!素直に従わねーとまたぶん殴って水引っ掛けんぞ。

「はあ、はあ、やめて… せめて薬だけでも飲ませて…」

はっ?薬?そんなん知らねーよ、ばーか!

バチン!

「うっ!!」

ちょ、ちょっと川口くん!殴ったらさすがにマズイんじゃないの?! 先生にバレちゃうよ?

大丈夫だよこのくらい!光代はすぐにビビんだな。だいたいこいつはすぐに口答えするし生意気なんだよ!

で、でも。お薬だけでも飲ませてあげたら? 正一くんてたしか心臓が悪いんじゃなかったっけ?

へっ、大丈夫だよ!心配ばっかしてさ。おまえもしかして正一の事が好きなんじゃねぇの?!

ちがう!

へへへ、やっぱり好きなんだー。

ば、ばか! そんなワケないじゃん何言ってんのよぉ。

うわあ、お前赤くなってんの!!やっぱ好きなんだー。

バカじゃないの川口くん! もう知らない!

タタタタ

おーーい川口ー!なんか外でサッカーやるらしいぞー。おまえも来いよー。

おー、分かった吉岡今いくよー。おい正一!お前この事先生にチクったら承知しねーからな!

あとお前の母ちゃんにも絶対に言うなよ! お前の母ちゃんめちゃくちゃキ◯ガイで怖えんだからさ!ぶはは!とにかく俺が来るまでそこで大人しくしてろよ。分かったな!

ガラガラ

ダダダダ

亮「 …な、なんなんだ今のは?」

優「 ……… 」

亮「 おい優人! 今のおまえも見てただろ?! なんだったんだよ今の? あの子供達は誰なんだよ? 」

優「 亮輔、これは夢だ… うん、悪い夢だ!光代婆ちゃんがあんな悪ガキ共の仲間なわけがねえ!もし夢じゃなかったとしたら、正一とかいうガキが見せてるただの幻覚に違いねぇ…

な、なんだよ畜生!大人をからかいやがってよ!! 」

亮「…そう思って俺、さっきからほっぺたつねってるんだけどさ。めっちゃくちゃ痛てーんだけど… 」

優「じゃ、じゃあ幻覚だ! あのガキは狐か狸なんだろ! ?

おい糞餓鬼!! 聞こえてんだろ?もうこのくだらねー「術」を解きやがれ!テメーには付き合ってらんねぇんだよ!! 」

『………… 。』

優「 おい!正一とかいうガキ!そこの個室に閉じ込められてんだろ?見てたんだよ!!早く出てこいよ!」

正一『…はあ、はあ、苦しい。薬…薬がないと。胸が…苦しい…だんはあ、はあ…』

亮「 お、おい… この子マジで苦しそうだぜ優人! 早く開けてやんないとやべえんじゃねぇか?! 」

優「… おい亮輔。お前なに狐に化かされてんだよ。だからこれは全部幻覚だって言っただろ?

おい小僧! お前は何が目的で俺達をこんな所に閉じ込めてんだ?! お前が何者か知んねーけど俺達は帰らなきゃいけねーんだよ!もう、いい加減にこのしょうも無い幻覚から解放してくんねーか?! 」

正一『…はあ、はあ。苦しい…はあ、はあ」

優「 おいおいガキ、無視すんじゃねぇよ!聞こえてんだろ!俺達になんの恨みがあってこんな事してんだよ!

今まで俺達以外にも沢山の人間をこの便所に引きづり込んでんだろ?! そいつらは一体どこに隠しちまったんだよ!? おい、返事をしやがれ!! 」

『 …あ』

優「 あっ?何だって?!」

『…あ…あきタ…みツ…ヨ…』

優「 秋田光代?」

『…あきタみつよ

あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ…』

優「 おい!やめろ!!俺のばあちゃんがどうしたってんだよ!!」

『…あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… あきタみつよ… が… 殺した…あきタみつよが…殺した…あきタみつよがミゴロシにした…』

優「 ば、ばあちゃんが見殺しにしただって?!テメエ、顔を見せろ!」

ギイーーーイバタン!

優「 あれ?さっきのガキじゃねぇじゃん。だ、誰だよお前!? 」

『…秋タ光代が、私ノ息子を見殺しニした、許サない』

亮「 あ、赤い服の女!あわわ!」

『許さナい、おまえノ全て、根絶ヤしにしてやる、ユルサ…ナイネ絶やし、オマエの全て… コロス…ネダヤシ』

ベチゃ、ベチゃ、ベチゃ

優「 や、やめろ来んな!こっちに来んじゃねー!! 」

亮「 おい止まれよ!くっそ、こうなったらこれでも喰らえー!!」

バサァ!

『おい…おまエ今、私に何ヲかけた?』

亮「 へへ、塩だよ塩!! こんな事もあろうかと粗塩持って来てたんだよバカめ!へへざまーみろ、効いたかこの赤女! 」

『お… おまえも…シニタイのか?』

優「 おい亮輔! この女、塩なんか全然効いてねぇぞ!よけー怒らせてんじゃねぇかよバカ! 」

『 おまエ、秋田優人、光代のマゴ、秋田ケ最期のひとリ…』

優「 最後の一人? あーやっぱりそうか…

おい女! お前の言いたい事はだいたい分かったよ。…つまりは俺の婆ちゃんが昔、お前の息子をイジメてたって事で恨んでんだろ!? そういう事だろ?

婆ちゃんずっと言ってたよ。昔クラスでイジメられてた男の子が死んじゃってから変な事が続いて、もう学校に行くのが怖くなったってよ。

イジメグループの男の子達はみんな死んじゃったり行方不明になったりして、もう私以外ほとんど残ってないって。イジメを止めないで見てた私も同罪だから連れていかれるって…」

『 ………… 。』

亮「 やっぱりイジメてたのか?」

優「 婆ちゃん、いつかあの母親に私も殺されるってずっと言ってた。毎晩、夢に赤い服の母親が出てくるってよ!

俺の婆ちゃん最近になって急に弱り出したんだ。お、お前だろ?お前がばあちゃんを殺しに来たんだろ! 」

『もうおまえの家族は皆んな死んダ、後は、おまえダけ…おまえ…だけだ…』

優「 俺の家族だと?畜生… 一つだけ教えてくれ。兄貴が母さん達を殺したのは、もしかしてお前の仕業なのか?」

『笑笑、www 』

優「 や、やっぱり!…お、お前がやったんだな…ぐぅ…くそぅ…くそぅ…!! 」

亮「 ゆ…優人」

『おまえの周りモ殺す、ものたりない、物足りない、モノタリナイ、根絶やしにシテやる』

優「 周りも殺すだあ?もう俺に家族なんていねーよ!いったい誰を殺すんだよ?」

亮「 くそぅ、そうは行くか!!これでも喰らえ!」

バサァ!

『コ…コロス!』

優「 許す!!」

亮「 ちょっタンマタンマ!!今のウソウソ!無し無し!!」

『…吉岡美ホも…殺ス…』

優「 おいおいおいおいちょっと待てよ!おまえ今なんつった?美穂って言ったか?おい赤女、答えろ!! いま、吉岡美穂って言っただろ?! 」

『オマエ…たち…許さない…コロス…マトメテ…ソレマデ…げ…@$イロ…マトメテ…それまで%#〆ていろ』

優「 なんだ? なんて言ってんだ?!」

『 …………… 。』

フウウウ

亮「 あっ、消えた! 」

優「 どこいったんだよあの女!?」

亮「 うう。な、なんだよこの異常な眠気は!?」

優「 や、ヤベェ… 意識が…意識が… と…と…ぶ」

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続く

Concrete
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